最近、高殿円先生の『忘らるる物語』(角川書店)を読ませていただきました🙏




この本の予告がでたとき、帯に【男が女を犯せぬ国があるという】と、衝撃の言葉が並んでいたことから、心待ちにしていた一冊でした。

なぜ衝撃だったのかというと、今のところそのような国が存在しないからです。


この物語は、辺境の王族に生まれ、子を産んだばかりの少女が、突如いにしえの占いによって次期皇帝を選ぶための人間みくじにされ、心も体も奪われ絶望するなか、誰にも支配されない力を得るため『男が女を犯せぬ国』を目指すというファンタジー小説です。



私は日頃、性暴力・性犯罪のご相談に乗る機会が多いです。

私は痴漢に遭ったことぐらいしかありませんが、それも本来であれば許されることではないのに

「痴漢に遭ったことぐらいしかない」

という感覚が、すでに麻痺しているのかもしれません。


女性が性暴力をふるわれないためには、性的な搾取をされないためには、そんな世界は実現できるのか…この物語はファンタジー小説ですが、舞台は確実に私たち人間の心の中であり、現実の社会で繰り返されていることでした。


性被害に遭った女性からお話しを伺うとき、「死にたい」という言葉を聞くこともあります。

そのたびに、なぜこの女性が性犯罪に何度も殺されなければいけないのかと、強い怒りと悲しみがわいてきます。


「支配」とはなにか、支配しない、支配されない、は実現できるのか、そのようなことを沢山考えさせられる物語でした🙏


皆様も是非、ご一読ください📚



本当は「犯す」という言葉を見たり聞いたりすることじたいが嫌です。

「犯す」という言葉がこの世の中から消えて無くなって欲しいと思っているほどです。

そのため、ブログの記事タイトルに書くかどうか悩みましたが、皆様にもこのタイトルの衝撃を考えるきっかけにしていただけたらと思い、そのまま載せました🙏


「男が女を犯せぬ国」があれば、私は行ってみたいです。

もしかするとそれはお浄土や天国かもしれませんが、お浄土や天国に行かなくても、今、私たちが生きているこの世の中をそのような場所にできるよう、人間同士がみんなでお互いを大切にしていきたいですね🙏