「ホウレンソウ」の由来
会社の中で「ホウレンソウ」ができない社員は必ずいるものです。それが組織運営の障害になることがあります。どうして「ホウレンソウ」ができないのか?おそらく「ホウレンソウ」が組織運営の中で重要な意味を持つことを理解していないことが原因の一つだと思います。野球をするにしても、サッカーをするにしてもチームでプレーをする以上、チーム内でのコミュニケーションは欠かせません。
組織の中で仕事をすることとは、 1人ではできない組織目的を複数の人が責任を分担しあって、成し遂げていこうとすることに他なりません。そのためには、組織内の円滑なコミュニケーションは欠かせないのです。
「ホウ・レン・ソウ」は、「報告」、「連絡」、「相談」の最初の漢字を使った略語で、「ほうれん草」にかけて、馴染みやすく、覚えやすくした略語です。私が社会人になった30年以上も前から「ホウレンソウ」という言葉は、盛んに使われていました。今では、「ホウレンソウ」に関する本もたくさん出版されています。これほどビジネスで注目を浴びている言葉はないでしょう。
なぜなら、「ホウレンソウ」が企業の内部統制を機能させるうえで重要な役割を担っているからです。これから、内部統制からみた「ホウレンソウ」についてお話します。そもそも「ホウレンソウ」が何なのか?「ホウレンソウ」を上手に行うことが、なぜ重要なのかを考えてみたいと思います。
内部統制とは?
内部統制とは、一言でいえば、組織が健全に機能するための基準や手続きなどを定めて、その基準や手続きに則った業務の管理・運営をすることを言います。組織の業務を適正に運営するための体制を構築するシステムで、組織の目的を効果的・効率的かつ適正に達成するために、組織内で運用されるプロセスと言えます。内部統制の目的は以下の4つです。
① 「業務の有効性および効率性」
組織の業務が効果的に遂行され、効率的に実施されることを保証します。
② 「財務報告の信頼性」
財務報告が正確で信頼性のあるものとなるよう確保します。
③ 「事業活動に関わる法令等遵守」
法令や規則を遵守し、違反を防止します。
④ 「資産の保全」
組織の資産を適切に管理・保護するための仕組みを提供します。
また、これらの目的を達成するために、内部統制は以下の6つの基本的要素から構成されます。
⑴ 「統制環境」
組織文化やリーダーシップ、委任のあり方などを含む環境を整備します。
⑵ 「リスクの評価と対応」
リスクを評価し、適切な対応策を講じます。
⑶ 「統制活動」
組織内のプロセスや手続きを設計・実施します。
⑷ 「情報と伝達」
組織内の適切な情報の共有と伝達を確保します。
⑸ 「モニタリング(監視活動)」
内部統制の効果を監視し、必要に応じて改善します。
⑹ 「IT(情報技術)への対応」
ITシステムを活用して内部統制を強化します。特に「情報と伝達」を強化します。
内部統制において上記の6つの要素は、企業経営において不可欠で、組織内の役員や従業員、取締役会などが協力して遂行されことになります。
「ホウレンソウ」とは?
一方、「ホウレンソウ」は、上述の通り、「報告」、「連絡」、「相談」の頭文字をとったビジネス用語です。ビジネスにおけるコミュニケーションの基本とされています。「報告」は、任務を受けた者がその状況を上司や関係者に告げ、知らせることを指します。上司からの指示や依頼に対して、部下が進捗状況や結果を共有する際に使われます。
「連絡」は、情報を知らせることを意味します。関係者全員に事実を周知するために行われます。連絡に意見は不要で、事実のみを伝えます。「相談」は、物事を決定する際に他の人に意見を求めたり、話し合いをすることを指します。経験のない事態に直面した際に、上司や先輩、同僚にアドバイスを求めることが相談に当たります。
「ホウレンソウ」は、円滑な業務遂行やチームワークを促進するために重要です。もうお分かりになったかと思いますが、「ホウレンソウ」は、上述の内部統制の6つの基本的要素のうち、⑷「情報の伝達」にあたるものです。組織の中で「ホウレンソウ」を基本とした迅速かつ正確なコミュニケーション(「情報の伝達」)が行われなければ、内部統制の目的である「業務の有効性及び効率性」が損なわれてしまうことになります。
また、意図せずに事業活動に関わる法令等が遵守されないことが起こりえます。一方、上司も、部下も「ホウレンソウ」を正しく理解して、業務に臨めば、会社の内部統制は強化され、職場もよりよいものになります。
「ホウレンソウ」の効果!
効果的な「ホウレンソウ」は、組織の内部統制を強化するとともに、以下のような副次的な効果がもたらします。
ⅰ)仕事が円滑に進む
適切なタイミングで報告や連絡を行うことで、トラブルを未然に防ぎ、業務を円滑に進捗させることができます。
ⅱ)トラブルに適切に対処できる
問題が発生した際に速やかに報告することで、関係者の協力を得て組織として適切な対応が可能となります。
ⅲ)上司とのコミュニケーションが活発化する
進捗状況や問題点を共有することで、上司との良好な信頼関係を築けます。
「ホウレンソウ」が的確にできる人は、上司との良好な信頼関係を築くことができ、仕事を円滑に進め、トラブルに適切に対処ができるため、組織の中で確実に評価を上げることができます。また、以下のことに気をつけ、「ホウレンソウ」を実践して、あなたの「ホウレンソウ」のスキルをさらに向上させましょう。
「ホウレンソウ」の注意点
○ 「報告」: 適切なタイミングで上司に進捗状況や問題点を報告しましょう。失敗やトラブルがあった場合も迅速に報告することが大切です。
○ 「連絡」: 情報を適切に伝えるために関係者に連絡を取りましょう。誰に、どのような情報を伝えるべきかを考え、状況に応じて連絡をします。
○ 「相談」: 自身では判断できない点や困ったことがあれば、上司や同僚に相談しましょう。新入社員や転職者は特に積極的に相談することが重要です。
「ホウレンソウ」の実践で信頼関係の構築!
さらに、「ホウレンソウ」をする際に以下のポイントを意識して実践すれば、上司の信頼を間違いなく得られるでしょう。
❶ 「結論」から話す
伝えたいことを明確に伝えましょう。
❷ 伝わったことを「確認」する
相手が理解したかどうかを確認しましょう。
❸ 「自分なりの解決策」を用意する
問題が発生した際には解決策を考えておきましょう。
❹ 「経過報告」を欠かさない
進捗状況を都度報告しましょう。
❺ 悪い情報ほど「早く」伝える
問題やトラブルがあった場合でも迅速に報告しましょう。
「ホウレンソウ」を実践することで、適切な情報共有と円滑なコミュニケーションが可能になり、あなたの評価が向上することは間違いありません。さっそく今日から正しい「ホウレンソウ」を実践して、あなたのスキルにさらに磨きをかけ、あなたの評価を確実に上げましょう!