昔は公務員になれば安泰だった・・・


「定年後、5人に1人は生活苦 国家公務員、準備不足に後悔も ー 2022年度に60歳で定年退職した国家公務員のうち、5人に1人は常に家計が赤字で生活苦―。・・・・・・・・・退職前からもっと年金や投資に関心を持てば良かったとの後悔も強く、老後の備えの大切さを示唆している。」こんな共同通信社の配信に目が止まりました。

調査は人事院が、退職後の生活状況を把握するため、3年に1度実施するものです。今回は、各省庁の出先機関などを含む一般職5233人が回答しているそうです。記事によれば、退職後の家計を「常に赤字で生活が苦しい」としたのは18.2%、「時々赤字」23.3%を合わせると41.5%となります。「ゆとりはないが赤字でもない」の38.8%なので、公務員2割しか退職後の生活にゆとりがないことになります。また、24.3%は定年後も自宅のローン返済を続けているとの調査結果となっています。昔は、公務員は安定していて公務員になりたがる人が多かったんですが、このような現実をみると驚きます。

  周りに流されて就職しても・・・


以前は何にも考えずに退職を迎えても大きな問題はありませんでした。自分なども何にも考えずに周りに流されて就職をしました。入社してすぐに職場に来る生命保険のおばちゃんに「あなた、今から生命保険くらい入っておかなければダメよ」と言われて、「よくわからないけれどまぁ入っとくか」と言われるがままに生命保険に入りました。

皆んながやっているから財形積立に入り、持株会に入り、マル優(少額貯蓄非課税制度)で定期預金をしました。振り返ってみると無駄な保険料の支払いもありましたが、結果として資産形成ができました。1980年代までは、多くの人は真面目に働いていれば自然と収入が増えて行ったので、退職後に不安を残すことはありませんでした。

  真面目に働くだけでは・・・


2022年度に60歳を迎える人たちは、大学を卒業した人なら1984年に社会人になった人が多いと思います。翌年の1985年には、先進5カ国で円安是正のためのプラザ合意があり、その結果バブルが発生し1990年にはじけました。これらの人たちは、社会人になり最初の5年くらいは空前の好景気を経験しました。その後はバブルが弾けて失われた30年の経済停滞を経験して、退職前の2020年から2022年まではコロナ禍での不景気を味わい、そして退職を迎えた人たちです。

人事院の調査では「退職前からもっと年金や投資に関心を持てばよかったとの後悔」が強いとのことです。しかし、この人たちが社会に出るときは、あまり将来のことを考えなくても、真面目に一生懸命働いていれば、生活は豊かになり老後も心配なかったのです。特に公務員は安泰と考えられていました。だから、年金や投資に関心を持つこともなかったのでしょう。

ところが、バブルが弾けたあとは、世の中は変わってしまいました。真面目に一生懸命働いていても豊かになるとは限らず、結果、老後を安心して暮らせる保証も無くなったのです。おまけに、低金利の時代が続くなか、銀行の過当競争も重なり、過大な住宅ローンを借りてしまった人も4人に1人くらいいらっしゃるようです。今、多くの銀行では「住宅ローンの完済時年齢を80歳以下」としています。驚くべきことです。60歳の定年を迎えても4人に1人は住宅ローンを返済しきれていないのは、当然といえば当然なのです。

  人生、キャリア、資産形成・・・


これから退職を迎える人や若い世代の人たちは、自分の人生のこと、キャリアのこと、そして資産形成のことは、今から自分自身で真剣に考えておかなければなりません。2019年に金融庁が退職時に2000万円の預貯金が必要と公表したことをきっかけとして、「老後2000万円問題」として議論を呼び起こしました。もちろん、定年後も働くのかどうか、倹約生活を送るのか、ちょっと贅沢に過ごしたいのかなど、定年後のライフスタイルの選択によって必要な貯金額は変わります。

自身のライフプランはどうするのか?その上で、自分にはどういうタイミングでいくらお金が必要なのか?今から自分のキャリアと資産形成のプランを立てておかなければなりません。もしかして人生で本当に束縛がなくなるのは、退職後ではないでしょうか?住宅ローンの返済などに追われることのない自由な退職後を迎え、自分がやりたかったことを実現しましょう。そのために、もっと年金や投資のことに関心を持ち、退職後に不安がないように、今からしっかりと準備をしましょう!