夢で兄ちゃんと逢えた
夢の中の日付は
兄ちゃんが旅立ちする
1週間前
ひょっこりと
兄ちゃんが遊びに来た
母さんの唐揚げと
回鍋肉食べたくなってさぁ
って言う
私は
いそいそと
作る
兄ちゃんは
成人してから
一人暮らしで
大学も遠かったし
勤務してからも
実家には
ほとんど
帰って来なかった
私も若い頃は
実家に帰ってこようなんて
思わなかったし
青春謳歌してほしいって
思っていたから
寂しくて
仕方なかったけれど
兄ちゃんが
充実しているなら
それでいい
って我慢していた
我慢して我慢して
そして
お別れに
なってしまった
夢の中の私は
今日が
兄ちゃんが旅立ちする
1週間前だと
分かっていた
でも何故か
夢の私は
悲しみは無くて
私の作った唐揚げと
回鍋肉を食べて
満足そうに
ニコニコしながら
畳に横になって
笑いながら
テレビを見る兄ちゃんに
一生懸命に
来週は
あそこに行かないでね
一歩も部屋を出ないで
居てね
なんなら
母さん迎えに行くから
1週間後の今日は
私と一緒に過ごそうよ
ねっ?いいでしょう?
って必死に兄ちゃんに
あの場所に
行かないように
頼んでいた
だって
あの場所に行ったら
兄ちゃんは
旅立ちしてしまうんだもの
どうにかして
兄ちゃんが
旅立ちしないように
しなきゃって
でも、
いつもみたいに
高笑いしながら
テレビを見ながら
兄ちゃんは
そんな私の頭を
ポンポンと優しく
撫でて
「大丈夫だよ
母さん
俺は何にも
後悔してないんだから
心配しなくて
大丈夫なんだよ
母さんが
俺の生き方を全部
認めてくれてるから
俺は母さんの子で
本当に
良かったよ
ありがとう母さん」
って
あの
いつもの
目尻を下げて笑う
あのいつもの兄ちゃんの
居間の畳に寝転んで
テレビ見ながら
笑う
いつもの兄ちゃんで
その笑顔に
いつもながら
私は
やられてしまった
たまらん
この兄ちゃんからの
優しいビーム
って
ニタニタって
しちゃって
次の瞬間
気づいたら
兄ちゃんが
居なくて
日付も
現実の
昨日の
日付になっていて
夢の中の私は
悲しい気持ちは
少しも無くて
ただ
ただ
あたたかい
幸せな気持ちだけで
兄ちゃ〜ん
逢えたね
っていう
幸せな気持ちだけで
何故か
そのあとは
嫌な夢を見てしまった
目が覚めた時
嫌な夢の方が
思考を覆っていた
でも
ここで
書き始めたら
兄ちゃんが
帰ってきた夢が
リアルに鮮明に
思い出されて
涙が溢れて
止まらない
兄ちゃんは
生ききった
私は
兄ちゃんの全てを
尊重したし
尊重してる
そう兄ちゃんが
言ってくれた
兄ちゃんは
「俺はしたい事するよ
これまでみたいにね
これからもしたい事する」
って満面の笑みで
満足そうに私に
言ってた
そうなんだよね
分かってる
今も
兄ちゃんは
イキイキして動いてる
兄ちゃんが
満足している事も
兄ちゃんが
苦しんでいない事も
理解してるはずなんだけど
ただ
母さんの
心だけが
追いついていないの
だって
大好きなんだもん
大好きなのに
逢えないんだもん
ミディアムさん通して
兄ちゃんからの
言葉が
私の中で
繰り返し流れる
「母さん
俺を尊重してくれて
ありがとうね
直接逢えなくて
俺だって寂しいよ」
兄ちゃんに逢いたい
兄ちゃんに
逢いたい