中国の格言で、一生幸せになりたければ釣りをしなさいとは言いますが、釣り好きが高じると、釣りバカと呼ばれる精神疾患のようになりまして、その症状が治まらなければ、そのまま釣りキチ〇イという不治の病に冒されてしまうってぇもんです。
こうなったらもう手がつけられない。キチ〇イなんて全くもって不名誉な蔑称も頭に釣りが付くだけでまるで褒め言葉のように捉えちまう。SNSのプロフィール画像は魚を抱えた自分の写真、携帯は船宿と釣り仲間の番号ばかり。ストラップも魚。水があれば真っ先に魚を探し出し、生活の中心が釣り一色になっちまうわけです。
さて、そんなどうしようもない釣りキチの中でも極め付きの野郎がおりまして、その名も八吾郎と言いますが、この男そりゃあもう毎日毎日釣りのことが頭から離れず、毎週末にはどこぞの港まで出掛けて行って船釣り三昧。天気が悪くて釣りに行けない日は釣具屋に何時間でも入り浸るような始末。おまけに夜な夜な仕掛け作りに没頭してやがるってなもんだからしょうがない。
しかしそんな八吾郎にも年貢の納め時はやって来るものでして、これまた釣りの取り持つ縁とやらで結婚と来りゃあ、いろいろあって十月十日も経てば子供だって生まれることもあるってぇもんです。
「おぎゃあ~!おぎゃあ~!」
産科医「生まれましたぁ!元気な男の子ですよ!」
かみさん「ほらほら、あーた抱いてあげて。」
八吾郎「おお~!すげぇじゃねぇか!この子ピチピチの新鮮だよぉ~!」
かみさん「あーた魚じゃないんだから!」
八吾郎「それにマダイみたいに真っ赤だよぉ~!」
かみさん「もう、しょうがないわねぇ…。きっと将来はヒラマサみたいなイケメンになるわよ♪」
八吾郎も八吾郎なら嫁も嫁。夫婦揃ってお馬鹿な祝福を受けたこの子にも14夜のうちに名前を付けてやらにゃあいけません。しかしどうにもこうにもピンと来る名前が思い付かない。
そこで、市役所に届ける期限の前日、八吾郎は早朝からトコトコ出掛けて行って、お寺の和尚さんの所へ。この和尚さん、何でこの八吾郎と知り合いなのかというと…
八吾郎「いや~和尚さん!先日のアジータチウオのリレー仕立ての際はえれぇお世話になりやした!」
和尚「おお、八吾郎ではないか!ふふ、アジでは遅れを取ったがタチウオはお主の修行がまだ足らんかった様じゃな~。ぬふふ。」
八吾郎「生臭坊主が何言ってやがんでぇ!坊主なら坊主らしくオデコでも食らっちまえば良かったんだよ!」
和尚「だまらっしゃい!お主、わざわざそんな悪態をつくために朝っぱらからわしを呼び出したのか?」
八吾郎「いやいや、すまねぇ、すまねぇ。実はあっしにも漸く子供が産まれやして。」
和尚「ほう、それはめでたい!して、お主は…ははあ、なるほど名前の相談か?」
八吾郎「さすが和尚さん!話が早ぇや!」
和尚「ふふふ、これまで500人以上の子供に名前を付けて来たわしが、お主の子供に相応しい名前を考えてしんぜようではないか。」
八吾郎「この子には将来立派な釣師になってもらいてぇと思っておりやしてね。釣りがうまくなって、毎日美味ぇ魚がたらふく食えそうな名前を是非とも考えていただきてぇと思っておりやす。」
和尚「あいわかった、いくつか考えるからしばし待つが良いぞ。」
この和尚さん、八吾郎にも負けず劣らずの釣りキチなもんだから妙に張り切ってしまって、何十もの名前を書いた半紙をドヤ顔で八吾郎に渡してきます。
八吾郎「和尚さんありがてぇ!恩に着るぜぃ!」
ほくほくと家に帰って、早速名前をどれにするか考えて考えて、夜中まで考え抜いたが一向に決められない。どの名前もこっちが良いからといってそっちも捨て難いと半紙がボロボロになるまで考えて結局は徹夜。
八吾郎「もう考えたって仕方ねぇ!これしかねぇや!」
次の日、八吾郎が再びお寺を訪ねると待ってましたと言わんばかりの和尚さん。
和尚「おお、八吾郎よやや子の名前は決まったかの?」
八吾郎「決まりましたとも~。それはそれは良い名前でしてね~姓名判断がうんたらかんたら…、」
和尚「能書きは良いから早く教えてくれんかのぅ。。。」
八吾郎「わかりやした、では…」
すぅ~、
かんぱちかんぱちまだいのさしみたいこうぼうでんどうりーるすぴにんぐりーるりょうじくりーるくうのるところにつるところあげさんぶのさげしちぶまぐろまぐろまぐろのかっくらきんかっくらきんのそことんとんそことんとんのほんぴんぐのべたべたのちょうすけ。」
和尚「な~むあみだぶつ…。」
八吾郎「こらクソ坊主!お経じゃねぇっつうの!」
和尚「いやぁ、すまぬすまぬ。よく聞き取れなかったもんでの。」
八吾郎「しょうがねぇな!もう一度言うからよく聞いておくんなまし。」
すぅ~、
「カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助ですよぉ~。」
和尚「お主…まさかわしの考えた名前を全部つけてしまったのか?」
八吾郎「へい、せっかく和尚さんが考えてくれたんだから、どれも捨て難くていけねぇや。何なら全部採用にすれば良いじゃねぇかと、こりゃあ我ながら妙案だと思いやしてね。」
和尚「なるほど、それはまた坊主冥利に尽きるというか光栄であるぞい。しかし…、最後の釣助というのはわしは考えて無いような…。」
八吾郎「ああ、全部和尚さんに頼りきりってのも父親としてどうかと思ってよ~。そこだけは俺が考えたんだ。どうだい?良いだろ?」
和尚「じゃがしかし、それなら…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太の方が良いのではないか?」
八吾郎「いやいや、いくら和尚さんでもそこは曲げられねぇな!そこだけは何度も半紙に書いて練習したからな。だから…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助で良いんですよ。」
和尚「むむむ、しかしどうも…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助だと、
どうも釣りを助けてもらうみたいでいかんではないか。やはり…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太の方が太い魚が釣れそうでしっくり来るんじゃがのう。」
八吾郎「カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助の助は乗合船に乗る時の助け合いの意味が込められているんだから絶対外せねぇよ!」
和尚「お主も頑固よのう。わかった、ではカンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太助にすれば文句も無かろう。」
八吾郎「なんか一文字増えても読み方が一緒みてぇな感じじゃねぇか。」
和尚「わしに名付けを頼んだんじゃから素直にわしの言うことを聞けい!お主の子供の名前はカンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太じゃ!決まり!」
八吾郎「い~や!絶対にカンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助にする!」
和尚「人がせっかく親身になってやってると言うのに聞き分けの無いやつめ!このバチ当たりが!」
八吾郎「何を~坊主のくせにお魚さんの殺生ばかりしやがって!この破戒野郎!」
ボカボカ!ポカポカ!
かみさん「あーた達!もう何時だと思ってんの!あまりに遅いから、もう市役所に命名書出して来ましたよ。」
八吾郎・和尚「ええ~!?」
かみさん「釣助で良いんでしょ?あーたが練習した半紙が何枚も散らばってたから、それで届けて来ましたよ。」
八吾郎「そうかい、まぁ名前なんてそれくらいシンプルな方が呼びやすいってなもんだな。釣助…うんうん、良い名前じゃねぇか。」
かみさん「和尚さん、うちの人が迷惑かけてすみませんねぇ。でもおかげ様で良い名前が付けられました。本当にありがとうございました。」
和尚「いやいや、わしは頼まれたから当然のことをしたまでじゃよ…。」
家路につく八吾郎とかみさんと釣助を見送りながら和尚は気付いた。
和尚「…って!わしの考えた部分ゼロじゃん!」
おあとがよろしいようで。
チャンチャラチャン♪
こうなったらもう手がつけられない。キチ〇イなんて全くもって不名誉な蔑称も頭に釣りが付くだけでまるで褒め言葉のように捉えちまう。SNSのプロフィール画像は魚を抱えた自分の写真、携帯は船宿と釣り仲間の番号ばかり。ストラップも魚。水があれば真っ先に魚を探し出し、生活の中心が釣り一色になっちまうわけです。
さて、そんなどうしようもない釣りキチの中でも極め付きの野郎がおりまして、その名も八吾郎と言いますが、この男そりゃあもう毎日毎日釣りのことが頭から離れず、毎週末にはどこぞの港まで出掛けて行って船釣り三昧。天気が悪くて釣りに行けない日は釣具屋に何時間でも入り浸るような始末。おまけに夜な夜な仕掛け作りに没頭してやがるってなもんだからしょうがない。
しかしそんな八吾郎にも年貢の納め時はやって来るものでして、これまた釣りの取り持つ縁とやらで結婚と来りゃあ、いろいろあって十月十日も経てば子供だって生まれることもあるってぇもんです。
「おぎゃあ~!おぎゃあ~!」
産科医「生まれましたぁ!元気な男の子ですよ!」
かみさん「ほらほら、あーた抱いてあげて。」
八吾郎「おお~!すげぇじゃねぇか!この子ピチピチの新鮮だよぉ~!」
かみさん「あーた魚じゃないんだから!」
八吾郎「それにマダイみたいに真っ赤だよぉ~!」
かみさん「もう、しょうがないわねぇ…。きっと将来はヒラマサみたいなイケメンになるわよ♪」
八吾郎も八吾郎なら嫁も嫁。夫婦揃ってお馬鹿な祝福を受けたこの子にも14夜のうちに名前を付けてやらにゃあいけません。しかしどうにもこうにもピンと来る名前が思い付かない。
そこで、市役所に届ける期限の前日、八吾郎は早朝からトコトコ出掛けて行って、お寺の和尚さんの所へ。この和尚さん、何でこの八吾郎と知り合いなのかというと…
八吾郎「いや~和尚さん!先日のアジータチウオのリレー仕立ての際はえれぇお世話になりやした!」
和尚「おお、八吾郎ではないか!ふふ、アジでは遅れを取ったがタチウオはお主の修行がまだ足らんかった様じゃな~。ぬふふ。」
八吾郎「生臭坊主が何言ってやがんでぇ!坊主なら坊主らしくオデコでも食らっちまえば良かったんだよ!」
和尚「だまらっしゃい!お主、わざわざそんな悪態をつくために朝っぱらからわしを呼び出したのか?」
八吾郎「いやいや、すまねぇ、すまねぇ。実はあっしにも漸く子供が産まれやして。」
和尚「ほう、それはめでたい!して、お主は…ははあ、なるほど名前の相談か?」
八吾郎「さすが和尚さん!話が早ぇや!」
和尚「ふふふ、これまで500人以上の子供に名前を付けて来たわしが、お主の子供に相応しい名前を考えてしんぜようではないか。」
八吾郎「この子には将来立派な釣師になってもらいてぇと思っておりやしてね。釣りがうまくなって、毎日美味ぇ魚がたらふく食えそうな名前を是非とも考えていただきてぇと思っておりやす。」
和尚「あいわかった、いくつか考えるからしばし待つが良いぞ。」
この和尚さん、八吾郎にも負けず劣らずの釣りキチなもんだから妙に張り切ってしまって、何十もの名前を書いた半紙をドヤ顔で八吾郎に渡してきます。
八吾郎「和尚さんありがてぇ!恩に着るぜぃ!」
ほくほくと家に帰って、早速名前をどれにするか考えて考えて、夜中まで考え抜いたが一向に決められない。どの名前もこっちが良いからといってそっちも捨て難いと半紙がボロボロになるまで考えて結局は徹夜。
八吾郎「もう考えたって仕方ねぇ!これしかねぇや!」
次の日、八吾郎が再びお寺を訪ねると待ってましたと言わんばかりの和尚さん。
和尚「おお、八吾郎よやや子の名前は決まったかの?」
八吾郎「決まりましたとも~。それはそれは良い名前でしてね~姓名判断がうんたらかんたら…、」
和尚「能書きは良いから早く教えてくれんかのぅ。。。」
八吾郎「わかりやした、では…」
すぅ~、
かんぱちかんぱちまだいのさしみたいこうぼうでんどうりーるすぴにんぐりーるりょうじくりーるくうのるところにつるところあげさんぶのさげしちぶまぐろまぐろまぐろのかっくらきんかっくらきんのそことんとんそことんとんのほんぴんぐのべたべたのちょうすけ。」
和尚「な~むあみだぶつ…。」
八吾郎「こらクソ坊主!お経じゃねぇっつうの!」
和尚「いやぁ、すまぬすまぬ。よく聞き取れなかったもんでの。」
八吾郎「しょうがねぇな!もう一度言うからよく聞いておくんなまし。」
すぅ~、
「カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助ですよぉ~。」
和尚「お主…まさかわしの考えた名前を全部つけてしまったのか?」
八吾郎「へい、せっかく和尚さんが考えてくれたんだから、どれも捨て難くていけねぇや。何なら全部採用にすれば良いじゃねぇかと、こりゃあ我ながら妙案だと思いやしてね。」
和尚「なるほど、それはまた坊主冥利に尽きるというか光栄であるぞい。しかし…、最後の釣助というのはわしは考えて無いような…。」
八吾郎「ああ、全部和尚さんに頼りきりってのも父親としてどうかと思ってよ~。そこだけは俺が考えたんだ。どうだい?良いだろ?」
和尚「じゃがしかし、それなら…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太の方が良いのではないか?」
八吾郎「いやいや、いくら和尚さんでもそこは曲げられねぇな!そこだけは何度も半紙に書いて練習したからな。だから…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助で良いんですよ。」
和尚「むむむ、しかしどうも…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助だと、
どうも釣りを助けてもらうみたいでいかんではないか。やはり…カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太の方が太い魚が釣れそうでしっくり来るんじゃがのう。」
八吾郎「カンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助の助は乗合船に乗る時の助け合いの意味が込められているんだから絶対外せねぇよ!」
和尚「お主も頑固よのう。わかった、ではカンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太助にすれば文句も無かろう。」
八吾郎「なんか一文字増えても読み方が一緒みてぇな感じじゃねぇか。」
和尚「わしに名付けを頼んだんじゃから素直にわしの言うことを聞けい!お主の子供の名前はカンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣太じゃ!決まり!」
八吾郎「い~や!絶対にカンパチカンパチ、マダイの刺身、太公望、電動リール、スピニングリール、両軸リール、食う乗る所に釣る所、上げ三分の下げ七分、マグロマグロマグロのカックラキン、カックラキンの底トントン、底トントンのポンピングのベタベタの釣助にする!」
和尚「人がせっかく親身になってやってると言うのに聞き分けの無いやつめ!このバチ当たりが!」
八吾郎「何を~坊主のくせにお魚さんの殺生ばかりしやがって!この破戒野郎!」
ボカボカ!ポカポカ!
かみさん「あーた達!もう何時だと思ってんの!あまりに遅いから、もう市役所に命名書出して来ましたよ。」
八吾郎・和尚「ええ~!?」
かみさん「釣助で良いんでしょ?あーたが練習した半紙が何枚も散らばってたから、それで届けて来ましたよ。」
八吾郎「そうかい、まぁ名前なんてそれくらいシンプルな方が呼びやすいってなもんだな。釣助…うんうん、良い名前じゃねぇか。」
かみさん「和尚さん、うちの人が迷惑かけてすみませんねぇ。でもおかげ様で良い名前が付けられました。本当にありがとうございました。」
和尚「いやいや、わしは頼まれたから当然のことをしたまでじゃよ…。」
家路につく八吾郎とかみさんと釣助を見送りながら和尚は気付いた。
和尚「…って!わしの考えた部分ゼロじゃん!」
おあとがよろしいようで。
チャンチャラチャン♪