経年劣化で境界標がなくなる?! 

 

経年劣化で境界標がなくなってしまうことは、よくあることだと思います。特に不満があるわけではないので、そのままにしておくことが多いですが、相続や、売買によって所有者が変わってしまうと争いになりやすいと思います。

 

ある相談会でご相談いただいたAさんは、40年ほど前に隣接地のBさんと所有者同士で境界線を口頭で確認し合い、互いに納得した位置に杭を打って境界を示していました。

しかし、年月が経つにつれ、状況が変化していきます。

Bさんの土地は買主のCさんへと所有者が移っていました。

 

売却時には境界の確認がされず、また境界杭も長年の経年劣化や庭の手入れで消失していたため、正確な境界線が曖昧なまま引き継がれてしまいました。

 

その後、買主さんのCさんが庭を整備してフェンスを設置しようとした時です。

Aさんが「その場所はうちの土地に入っているのではないか」と懸念を示したそうです。

買主のCさんもAさんの主張が正当なのかわからず、双方に確固たる証拠がないまま、

あやふやになっていました。

最終的にAさんが「境界を明確にしたい」と調査を求められた事例です。

 

 

 

 

境界調査の手続き 

 

調査士は、各自でお持ちの境界の資料を拝見し、法務局で該当する土地の登記情報や公図、地積測量図を取得し、過去の境界確定の履歴を確認していきます。また、あれば役所等に保管している測量図も取得していきます。

その上で現地測量を行い、現在の土地状況や隣接地との位置関係を詳細に記録します。

消失していた境界杭や構造物の配置も調査し、法的に妥当な境界線を特定するためのデータを収集していきます。

 

 

 

 

調査結果 

 

調査結果によると、当初の所有者同士の口頭合意による境界位置と、登記上の境界線(筆界)に若干のずれがあることが判明しました。(↓境界について参照)

 

これを受け、Aさんと買主のCさんに立ち会いを依頼し、測量結果を基に状況を丁寧に説明しました。調査士は中立的な立場から指摘させて頂いております。

当初、双方は困惑されていましたが、公正な説明と法的根拠の提示によって徐々に納得され、境界確定に同意していただきました。

その後、新たな境界杭を設置し、境界(筆界)線を正式に確定しました。

 

※境界(筆界)について

まず、調査士が示す境界については、基本的に筆界(ひっかい)と呼ばれます。

筆界(ひっかい)は公法上の境界と呼ばれ、土地の権利関係の登記や固定資産税額を決定するため等に利用されています。

基本的に当事者の意思表示では動かせない境界(筆界)といわれています。

当初、AさんとBさんはお互いの納得で境界を決められました。その位置を実際に調査した結果、登記上の境界線(筆界)と比べて少しずれが出ていたため、登記上の境界(筆界)で明示させて頂きました。

 

 

 

 

筆界確認書を交わします 

 

今後のことを考え、筆界確認書に今回の境界の図面、写真、「第三者に譲渡等された際にも引き継ぐ旨等」を記載し署名捺印頂き、お互いに保持するように取り計らいさせて頂きました。

 

 

売買や、相続や所有者の交代によって境界が曖昧になり、トラブルに発展するリスクがあります。特に境界杭の消失や境界確認の不備は、所有者間での不和を引き起こしやすい要因です。土地家屋調査士の専門知識と中立的な立場による調査は、こうした争いに円満解決においてお役に立てる感じています。

 

 

建物の表題登記について

通常、建物を新築したら建物の所有者が、法務局へ建物の内容及び図面等を申請し登録いたします。これが、建物の表題登記になります。

建物の表題登記は、報告的登記と言われ、申請しなければならない登記になります。

過料の規定もありますので注意が必要です。

昔の建物は、表題登記をしていないことが多く、相続の際や売買の際に発覚することも多いみたいです。

 

申請人について

基本的に申請人は、建物の所有者がすることになっています。建物を建築し表題登記をせずにすぐに売却した場合は、その買主が申請しなければなりませんし、相続が発生した場合は、相続人が申請することになります。

 

 

亡くなった方(被相続人)名義の建物の表題登記申請について

それでは、既に亡くなった方(被相続人)の名義で上記の建物の表題登記申請ができるのでしょうか?既に亡くなっているのに登記する意味があるのか?

と疑問に思われるかもしれませんが、相続が長期で揉めている場合や、未登記建物を売買する予定であり表題登記が必要になるケース等では、必要な登記と言えます。

 

よって実務では、既に亡くなった方(被相続人)の名義で建物の表題登記は可能です。

死亡者を所有者とする登記をするのは相当でないという意見もありますが、

相続人間で相続方法の協議がと整わないなどの場合には、死亡者を所有者とする登記はやむを得ないとされているようです。

 

実際は、未登記建物の相続が発生すると、その建物の相続人が建物の表題登記を相続人名義で申請することが多いと思います。

 

 

亡くなった方(被相続人)名義の建物の表題登記のご相談

先日、既に亡くなった方(被相続人)の名義の表題登記のご依頼がありました。

お話を伺った際に、まず相続人の中で誰が建物の相続をするかという遺産分割協議をしてから、建物の相続人名義で表題登記をすることをお勧めしようと思いました。申請数もその後の登録免許税も少なく済むからです。

ただ、今回は、他の相続人と連絡が取りづらく、相続が発生してから20年近く経過しており、今後の建物の保存や、売却等のためのご相談でした。

よって、被相続人名義の建物の表題登記申請をさせて頂くことにいたしました。

 

登記手続きについて

約50年も前の建物で、増築を数回繰り返しており、その際に一部土地を取得して合筆していたため、増築の年月日や形跡、増築の素材等を現地で確認し、年月日に相違ないように確認していきました。また、土地の区画について隣接と相違の部分があったので注意して区画を調整していきました。

 

申請の際に提出する報告書には、被相続人名義にしなければならない理由や、被相続人が所有者であったことを添付資料を基に説明していきます。また、新築、増築の年月日の理由、建物の構造、床面積、種類等を図面や写真を添付していきます。

 

法務局にも特殊な登記だったため、事前相談に伺い、被相続人の表題登記の有無と所有権証明書、申請の書式について問題ないかを相談し、承諾頂きました。

 

 

必要書類について

添付の書類は多いので一部紹介させて頂こうと思います。

 

〇所有権証明書

被相続人が所有していたことを証明しなければなりません。今回は、申請人の方が所有権証明書(建築確認済証)と、固定資産税評価証明書と納付済みの領収書(4年分)を持参くださり大変助かりました。

ただ、固定資産税評価証明書の床面積は、増築の経緯が表記されておらず面積に大きな差があったため、念のため本当に申請建物の評価証明書で相違ないか役所で確認しました。

また、増築の所有権の証明が必要だったため、成人2名の所有権証明書で所有権の証明をさせて頂きました。

 

〇相続証明書(被相続人の死亡が分かる戸籍、申請する人が相続人の内の一人であることを証明する戸籍)※相続人全員の戸籍は必要ございません。

 

 

登記の申請と完了

資料をすべてスキャンし、電子署名してから電子申請で申請させて頂きました。スムーズに申請できます。ただ、職務の責任があり、全て原本で確認しスキャンしていきます。

申請して3日後には、完了していました。通常一週間ほどかかるので結構早かったなという印象です。

その後、納品させて頂き、他に土地の調査した部分についても一緒にお渡しさせていただきました。無事に登記が終わって安心していただき、お礼まで頂戴してよかったです。

 

 

最近、建物の更正登記を申請し、所有権の証明がいろいろと大変でしたがなんとか申請できました。(^^)/

 

 

Q

表題登記は自分で出来ますか?

→→→

A

表題登記をするためには、必要書類の収集、現地での調査作業、建物図面・各階平面図の作成が必要になります。

 

必要書類の収集と現地での調査については自分で可能と思います。

 

図面類の作成につきましては、土地家屋調査士は専用のソフトを使用し作成してますので、同じような図面の作成は難しいかもしれません。

 

でも、手書き等でも登記は大丈夫ですし、できないことではありませんので、作成方法などご質問のみでも遠慮なくお聞き頂ければ大丈夫です。

 

本人申請だと実地調査が入ることが多いので、登記完了まで時間を要する場合が多いです。

測量すると滝のような汗が、、、まだまだ、暑い日が続きますね!!

そして、常に現場のことばかり考えてしまいます(^^)/

 

建物についてです。

Q

庭にプレハブの部屋を建てようと思うのですが、登記はできますか?

A

不動産登記法上建物として登記可能ないくつかの要件に「用途性」「外気分断性」「土地への定着性」があります。

今回のプレハブがコンクリートやブロックでしっかりとした基礎に建物が完全に固定されている構造であれば登記は可能です。

また、工事現場などでよく見かける仮設事務所は、「永続性」がないため原則登記はできないとされています。

たしか、展示場の建物も登記できなかったとように思います。

 

一日の時間が早く感じるというか、やらないことを決断できるようになりたいです('◇')ゞ

少しづつ涼しくなってきたように感じます(^^)/

 

Q

表示の登記申請って誰でもできるんですか?

→→→

所有者本人はもちろん可能です。あと同居している親族に、既に作成した申請書等を法務局へ提出することを依頼した場合や会社の従業員が自社の登記申請書の作成や提出を行う場合などは、その親族や従業員が法令違反に問われることはないものと考えられます。

 

基本的に専門資格を有しない方が、業務として登記申請手続を代理して行うことは難しいです。
土地家屋調査士法では、土地家屋調査士以外の者が反復継続する意思を持って登記手続の代理をすることや、書類の作成や相談を受けることを禁止していますので、このような法令に違反することがないように注意する必要です。


専門資格を有しない知人がたまたま登記手続に詳しいので、申請書の作成等を依頼したという場合などは、法令違反の可能性があります。

最近、一人で測量できるソフトを購入しましたが、

いろいろ手間取っています(^^)/

 

Q

親から譲り受けた建物ですが、登記されておらず、表題登記したいのですがどんな書類が必要でしょうか?

→→→

A
ご本人の親又はもっと上の世代が建てたまま長期未登記であった場合、その場合は施工業者からの引渡し証明などを出してもらうことは困難ですので、それに代わる所有権を証明する書類が必要になってきます。

 

必要書類
委任状(申請人の署名捺印)
住民票(申請人の現住所)
固定資産課税台帳登録事項証明書、未登記建物の課税状況がわかるもの。
申請人からの上申書(申請人の署名捺印(実印))及び申請人の印鑑証明書
第三者証明書(成人している2名の署名捺印(実印))及び署名して頂いた2名の印鑑証明書

等が必要になります。その他にも代用できる書類がありますのでご相談ください。

 

相続が発生している場合等イレギュラーな場合は次回のブログで紹介いたします。

('◇')ゞ

建物の滅失登記についてです。(^^)/

 

Q

自分の土地は更地なのに、建物の登記があるのですがどうしたらよいでしょうか?

 

A

建物の滅失登記が必要になります。

現状建物がないので滅失の登記をしなければなりません。

 

通常滅失登記は、以下の書類が必要です。

① 土地家屋調査士への委任状、(申請人の署名捺印(認印))
② 取壊し証明書(取壊し業者が記名捺印(実印))が必要です。
③ 取壊し業者の印鑑証明書、 取壊し業者の連絡先

イレギュラーな場合

1. 建物は無くなっていて登記簿だけが残っている、取壊し業者からの取壊し証明など出してもらうことは困難な場合は

申請人からの上申書(申請人の署名捺印(実印))と申請人の印鑑証明書があれば申請できます。

また、登記名義人が死亡している場合は法定相続人の1人からできます。その場合は戸籍が必要です。相続関係説明図も必要です。

 

2. 相当昔に売買により更地を取得したが、前所有者名義の建物登記簿が残っており、前所有者が行方不明などで協力が得られないときは、土地所有者からの建物滅失申出をすることができます。この場合は、職権で登記簿を閉鎖してくれます。

 

建物を取壊したら早々に滅失登記をおすすめいたします!!

(^^)/

なかなか、現場に出ることに躊躇したくなる暑さです。

Q

建築確認を受け、設計通り完成しているものの、 建物の表示登記をお願いしたら設計上の床面積(出窓と併用車庫部分)と登記上の床面積が減少しています。なぜでしょうか?

→→→
A
よくあります。
この原因は、建築基準法と不動産登記法とでは床面積の算出基準が違っているからです。
建築確認図面(確認通知書に添付)や建築設計図面などでは床面積に算入されていても、
不動産登記法上床面積に算入されないものに、玄関ポーチ、ベランダ、出窓、吹き抜け、屋外階段などがあります。
不動産登記法は、現況主義で建物についての基準がありますのでそれに当てはめて床面積を計算していくことになります。
例えば車庫部分は、構造上一体で車庫として利用されていても、車庫部分を囲んでいる壁が二方向しかないような場合には、
外気分断性に欠け不動産登記法上床面積には算入しない取り扱いになっています。

よく聞かれる境界線についてです。

 

みんな境界、境界って言いますが、境界ってハテ?って

なること多いのではないでしょうか?

 

一般的に「境界線」と言われているものには大きく2つの意味があります。
一つは、ブロック、石垣、構造物で囲まれた「所有権界
そして、もう一つは財産を示す「筆界」です。

 

「所有権界」は、お隣との合意(話し合い)で決めることができます。
しかし、「筆界」は、目には見えない、大昔に元々決まっていた線という認識です。

ですので「筆界」は特定するという考え方になります。

昔の線などはどうやって決めるかいろいろな資料や証言を基に明示していくことになります。
そのためには、立会をし、境界確定測量を行い境界標を設置する必要があります。

ご不明点ありましたら、なんなりとご相談ください。

 

暑さで頭ふらふらになりますが、コツコツ精神で頑張っております。(^^)/

暑い日が続きますね。なんとか頑張らないと!!

 

隣地所有者の方から境界の立会をお願いされることがあります。

そんな時のご質問です。

 

隣地の方から「境界を立会してほしい」と言われました。

隣地さんとは先代同士のときからあまり仲が良くなく、正直なところあまりかかわりたくありません。

お隣さんからの境界立会の要請に応じる義務があるんでしょうか?

→→→

お隣さんの要請に応じる義務はないと思いますが、

ただ、そのお隣さんの要請で立会することで、

原則として費用の負担をすることなくその土地との境界を確定できることになります。

そういった意味で、境界立会に応じるメリットは大いにあります。

 

事情によっては、逆に隣地の方にお願いする場合だってあったかと思います。

差し支えなければ要請に応じてあげていただきたいです。