デスティニー 【第2章 13話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

☆速水綾

「・・・・話、て・・・何だよ、かしこまって(笑)」

・・・・ああ。

ごめんね・・・・・


もう、君の輝くような笑顔を。

笑った唇からこぼれる白い歯を。

頼もしい背中を。

大きくて、あたたかい手を。


もう、


見ることも、触れることもできないんだ。


「・・・・綾?」


私の気持ちを察したかのように、輝が私に近づいて顔をのぞきこむ。


・・・・言わなきゃ。

・・・・決心したんだ。

亜衣にも寿々にも、言ったんだ。

言われたんだ。

言えって、言われたんだ。


・・・・・・・ちゃんと、言うんだ――――


「―――――・・・・・・輝、私ね」

「うん」


「・・・・・・・・・おばあちゃんのいる、新潟に引っ越すの」





まるで、時が止まったかのようだった。

輝の表情が強張る。


「・・・・・・言ってなくて、ごめんなさい・・・」



「・・・・・」



視界が滲む。


輝の姿と背景がぼやける。


ごめんなさい。


ごめんなさい・・・・




輝、


嫌いにならないで・・・




「・・・・・・・い・・・・いつ、だよ・・・」



「・・・・・・・・・・明日の夜・・・・」



輝の目に映っていた何かが消えた気がした。


「・・・・・・・うそ・・・・だろ?」


辛いよ。


もう、言いたくないよ・・・・・。



一粒の涙が零れ落ちる。


儚げに作った頬笑みも、無残に崩れた。


「・・・・・・・嘘じゃ・・・・ないんだ・・・よ・・・」





そう言ったところで、輝が膝をついて座り込んだ。


「・・・こ、輝・・・!」


「なんとか・・・・・・ならないのかよ・・・・」


ぽたっ、と音を立てて、輝の目から涙が零れ、畳に落ちた。


すると輝が立ちあがって、私の方に歩いてきた。


・・・・・・・・・え?


輝が勢いよく手を広げたかと思うと、輝はこれまでにないくらい力強く、私を抱きしめた。


「・・・・・こっ・・・輝・・・?!」



「行くな・・・・・・」



ぐっ、と抱きしめられた腕に力がこもる。


「・・・・・・・行かないでくれ」


「・・・・・・っ・・・・」


「なぁ・・・・!!!!行かないでくれよ・・・・・!!!!!」



「―――――っ――――・・・・・!」


ぼろぼろと、とめどなく涙があふれた。



中学2年生のふたりに、何ができるわけもなく。

出来ることと言えば、抱きしめ合ってひたすら泣くことくらいで。


それほどに、運命は私たちを無残に引き裂いたのだ。

もう一生癒えることはない・・・・、

深い、 深い、 傷を残して。


「綾・・・・・!!!」


「・・・・・・っ・・・、は・・・いっ・・・」


「・・・・・・抱きしめて、くれ・・・」



「・・・・・・・っ・・・・」


輝が、私をもっと強く、きつく抱きしめた。


私は力が緩んでいた腕に、また力をこめる。


「・・・・・輝・・・・」


離れたくない・・・・。


どうして、こうなってしまうの?


どうして、こうなったの?


・・・・・・言うまでもない。


全て、私の、

・・・・私が、


 新潟に行くと言ったことからだ・・・。


自業自得、


・・・・って、やつだ・・・・


「綾・・・・・?」


「・・・・・はい・・・・」


「・・・・・・夢、か・・・・?」



「・・・・・・・・・・夢じゃ、ないです・・・・」




「・・・・・・・・・・現実じゃねぇよ、こんなの・・・・」


「・・・・・・・・輝・・・・」


「・・・・・・・まだ・・・・半年経ってないんだぜ・・・・?」



「・・・・・・・・っ、こ・・・・」


「・・・・・・なぁ、夢で終わらせてくれよ・・・・・!!!」


そう言った輝の口を、私は唇でぐっと押して塞いだ。


「・・・・!?」


輝の涙に濡れた目が、驚きで白黒する。


涙でひりひりする頬がくっ付きあって、余計に胸が痛んだ。



「・・・・・・夢じゃ、ないから・・・・」


・・・・・・夢なんて、言ってほしくなかった。


受け止めてほしかった。


無理な事だと、分かっていたけど。


期待してしまった。


・・・・・期待してしまったんだ・・・・。




「・・・・・・夢じゃないんだって・・・・

 私だって、認めたくないよ・・・・


  だけど、認めないとっ・・・・・・・・・・・・・・・・・


 さよならが、言えな―――――」



―――――――――えっ・・・?


「・・・・・・・・・・それ以上言うな・・・・・」


私の骨が折れそうなほどに、輝がきつく私を抱きしめた。


「うう・・・・っ、苦しい・・・・」


「・・・・・・・嫌だ・・・・・・・」



私の首筋に、大粒の涙がぽろぽろと降ってくる。




「・・・・・・・・・・・・・・・綾・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・行かないでくれ・・・・・・・・・」




窓から見えた流れ星が、


私たちの涙のように光って消えた。



***




お久しぶりの更新です*


只今、再び「デスティニー」の構成を練り直しております。


ただのつまらないラブコメにならないように・・・


頑張りますので、どうかよろしくお願い致します。


愛咲