デスティニー 【第2章 12話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

☆津川輝

・・・綾たちが遅い。

冷たかったコーヒー牛乳の瓶は、俺の手の熱ですっかりぬるくなっている。

隣にある綾たちのコーヒー牛乳は、温泉から出てくる人たちの蒸気で結露していた。

「・・・・ふぁー・・・」

拓が眠そうに欠伸をした。

「お前、新幹線でも寝てたじゃねぇか。まだ眠いのか・・・・ふぁあ・・・」

「お前人の事言えねーぞ(笑)」

「つーか、拓が旅行編で喋った一発目が欠伸って拓お前・・・作者に嫌われてんな(笑)」

「・・・・ええやめてっ嫌わないで(泣)」

「(笑)」

・・・・にしても遅い。

「なぁ・・・綾たち遅くね?」

「ああ・・・俺もそう思ってた」

「輝見てこいよ(笑)」

「はぁ!?(笑)」

「いーんじゃん別に。今日の夜、身体なんて全身くまなく見るんだろうし」

「・・・・・・・」

お前・・・


何を考えてんだよ。


すると、優斗は拓と俺のジトっとした視線にはっとして、


「しねぇよんなもん!だけど・・・輝たちはそんなふーになりそうだったから」

「・・・しねぇよんなもん」

「え」

俺の言葉に即座に反応したのは、拓だった。

すると、優斗がにやっとして、

「・・・何・・・手ぇ出すつもりだったのか(笑)」

「しねぇよんなもん!・・・てゆーか、輝しないの意外」

「・・・え、俺そんな軽く見えんの?」

「「うん」」

・・・・地味にショックだ。

「・・・・ま、こんなむさくるしい会話やめて真面目に。

 ・・・・・今日、ゴールインしたいと本当に思ってる人」

「「はいっ」」


・・・・・え・・・


お前ら・・・・!!!


俺は手を挙げなかった。

俺は。


俺は。


俺は!


「・・・・お前ら・・・・・・

 自分の年知ってて言ってんの?」

「「うん」」

「・・・・・・・えー・・・」


大切にしなさいよ。

「・・・・・キミ達・・・」

「ちょっと校長みたいな説教の仕方ヤメロ気持ち悪い!!」

「そうだよー今日だけは校長に目ぇ付けられないだろうと思ってたのに・・・」

「いやお前らの事2年になるまではよく知らなかったしよく知ったの最近だけどお前らそんなヤバイことしてたの!?」

「「うん」」

「え!?」

「給食の時間抜け出してコンビニでパン買ってそのまま屋上直行して食ったりとかー」

「職員室行って鍵ぱくったのは他ならぬこの俺です」

拓が腹黒い笑みを浮かべて手を挙げる。

「・・・それいつの話?」

「中1の・・・1学期だっけ?」

しょっぱなかよ。

「確か入学式当日だったなー、鍵ぱくったの」

しょっぱなのしょっぱなかよ。

「で、先輩に目ぇ付けられてー」

当然だろう。

「カツアゲされそうになったからぼこぼこにした」

えー・・・・

「俺らの出会いは運動会の練習のときで、屋上ね」

「・・・サボり?」

「内申点クソ下がったろうね」

拓がへらっと笑う。

「・・・・お前ら高校行けねーぞ?」

「中卒gj」

ええええええ・・・・

「・・・お前ら・・・お兄ちゃんが勉強教えたるから同じ高校行こうぜ友よ・・・」

「タメと年上どっちなんだよ」

「そこかよ!ってか俺はお前らと同じ高校行きたかったんだよ畜生!」

「もし仮に内申点良くても学力はない。gj」

「グッジョブじゃねぇぇ!!」


「何やってんのー?(笑)」


・・・・・ん?


振り向くと、


・・・・・・・うわ。


濡れたうなじを晒しながら、笑って俺の後ろに立つ、


綾がいた。


「あ・・・おう。何でもない」

「・・・・?」

「・・・・」

・・・・・・!!

何考えてたんだ俺・・・!!

「うん。何でもないです」

「・・・・本当に?」

綾が訝しげな視線を俺に投げる。

「・・・・何でもないです。帰りましょう」

「は、はぁ・・・?」

不思議そうに俺を見つめる綾からさりげなく距離を取りながら歩くと、同じく自制のためか距離を取っていたらしい拓にぶつかった。

「・・・お、おう」

「・・・は、はは」

「・・・・」

「「俺何考えてんだアホ!!!!!!!!!!」」

・・・・

思わず拓と顔を見合わせる。

すると、拓がふっと自嘲するように笑って、

「どうしたら・・・この変な思考回路を止められるのかなぁ・・・」

「・・・はは・・・そんな方法ないと思うぞ、絶対に」

「・・・・・だよねぇ・・・・」


***


☆速水綾


部屋に着いた。

・・・・言わなきゃ。

引っ越すことも、ぜんぶ。


私は畏まって、座イスに正座して待っていた。

すると、輝が入ってきて、

「なに畏まってんの(笑)」

と、笑う。

ああ、

この笑顔を見ることも、もう無いのかな。

・・・なぁんて。

そんなことを、考えてしまう。

「・・・・・輝、

 話があるの」


***