デスティニー 【第2章 6話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

「私、新潟に行く」


家の中が、静まり返った。

「・・・綾ちゃん、いいの?

 お友達とも、皆離れることになるのよ・・・?」

「そうだよ、本当は綾ちゃんにそんなこと言わせたくなかったのに・・・・」

「・・・・いいの。東京よりは、新潟に行きたいから!

 ほら、冬なんて寒いしおばあちゃん大変でしょ?

 手伝いながら居候させてもらうよ」

「・・・・・そんな、私のことは・・・」

「おばあちゃん、叔母さん。

 本当にいいの。

 たった今だけど、決めたの。

 ・・・・これで、いいの」

「・・・・・・」


「手ぇ、洗ってくるね」

私は鞄を部屋に置いて、2階の洗面所に向かった。

「・・・・・」

冷たい水が、ひやりと手に伝う。

・・・・・・このことは、


輝には絶対に言わない。


・・・・・亜衣と寿々には・・・・


言っておくべきなんだろう・・・。


お父さん、お母さん。


私、間違ってないよね・・・・?


***


部屋で勉強をしていると、突然机の上の携帯が鳴った。

バイブ音が伝わってかなり驚きながら画面を見ると、輝から着信が入っていた。

「はいっ」

「もしもし、綾?・・・大丈夫か?」

「・・・・うん、大丈夫!

 あ、お通夜とお葬式なんだけど、お通夜が今日の夜で、お葬式が明日に決まったから・・・

 皆に伝えておいて貰っていいかな?」

「・・・・ああ」

「・・・ごめんね、輝はどうしたの?」

「あ、ああ・・・・

 寿々と拓に伝えておいたけど良かったか?」

「・・・うん。ありがとう。

 言うの辛いから・・・・

 ごめんね、言わせちゃって」

「・・・・いいんだよ、俺のことは・・・・

 それと、旅行行かねえか?」


・・・・旅行?


「・・・・・え、旅行・・・?

 ・・・えっ?いつ・・・?え・・・・っ?え・・・?」

「こんなときにどうかと思ったんだけど、

 亜衣がどうしてもって・・・・。

 そしたら寿々もそうしたいって言ったから。

 皆親が許可してくれたらしい。

 ・・・ま、渋々だけどな」

「・・・・・で・・・でも、中学2年生のあたしたちが泊まれるとこなんて・・・」

「親が必死に手配してくれてる。今」

「・・・・・え、でも・・・」

「18歳に見える格好すれば、ま・・・平気だろ」

「・・・・でも、無理だよそんなの・・・・!」

「無理じゃねえ!てか俺たちが行きたいだけだから・・・

 お前に、付き合ってくれたらうれしいって・・・・

 誘ってるようなもんだからさ」

「・・・・・・・・・・だって・・・・」


分かっていた。

皆が、私のことを必死に慰めようとしてくれていることも。

私の悲しみを、少しの時間でも紛らわそうとしてくれていることも。


「・・・・・・・いいか?

 来てくれるか・・・?

 電車と新幹線乗り継ぐから、かなり大変で金もかかる。

 ・・・・・いいか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

私の頬に涙が伝った。

声にならない悲しみが、私の喉を詰まらせる。

「・・・・・・・・・うん」

「・・・・え、いいのか?」

「・・・・・・ありがとう、・・・・輝。

 みんな、ありがと・・・・・っ」

見えない画面の向こうの輝に、

会いたい気持ちが重なる。

「・・・・・・・ああ。

 皆、喜ぶよ・・・」

「・・・・・・・・・・・本当に・・・・」


ありがとう。


君と、一緒にいれて・・・・



良かったよ・・・・


***


このことを叔母さんとおばあちゃんに伝えなければと思い、

私は1階に降りた。

「叔母さん、おばあちゃん」


ふたりが振り向いた。


「あのね、お葬式が終わったら、・・・10月1日くらいに、みんなで旅行に行くことになったの。

 行かせてもらっても・・・いいかな」

「・・・・・旅行?」

「誰とかね?」

「・・・・輝と、亜衣と、優斗と、寿々と、拓」

「・・・・男の子もいるの?」

「うん。

 ・・・みんな、私を元気づけようとしてくれてるの・・・。

 お願い、最後に行かせてください。

 お願いします・・・!!!!!」

私は精一杯頭を下げた。


分かっていた。


男の子と一緒に旅行なんて、先が知れている。


すると、叔母さんが口を開いた。

「・・・うん。行きなさい。

 行っていいよ」

「・・・・・・うん。

 行っといで」


「・・・・・・・えっ・・・・・

 い、いいんですか・・?!?」

「・・・・そのかわり、荷物はちゃんとまとめておくこと」

「・・・・・帰ってきたら、すぐ出発になるけど・・・

 いいかね?」

「・・・・・・はい」

「・・・・学校は?」

「休むことになると思う」

「・・・そう。しょうがないわね」

「・・・・いいわよ・・・

 最後なんだから、思う存分楽しんできなさい」

「・・・はい!」


***


「もしもし、輝?

 叔母さんもおばあちゃんも、旅行の許可出してくれたよ!!」

「マジか!!良かった~!!

 それとな、旅館泊まれるとこあったぞ!!!」

「・・・えっ、うそ!?」

「親のコネでな!

 拓の父さんが、旅館経営してたんだよ(笑)

 あいつ、そんなことも秘密にしてたんだな・・・」

「そっか・・・・!!!

 本当にありがとう、輝・・・!」

「他の奴にも礼言えよ(笑)」

「分かってるよ~(笑)」

「じゃ、9月30日・・・明日か!明日の朝7時に駅で待ち合わせ。

 箱根に行くからな」

「は、箱根・・・!」

「スバラシーだろ?(笑)

 じゃ、また明日な!」

「・・・・うん。」


ぴっ。


・・・・・また明日、か・・・




また明日まで、・・・・・・


***


次回、旅行編です!

綾と輝の絆は深まるのか?


必見です!(笑)