デスティニー 【第2章 7話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

引っ越しと旅行の準備を兼ねて、箪笥の服やら物やらを一気に出していく。

「・・・・・はー」

机のものまで出し終えると、足の踏み場がないほど部屋はごちゃごちゃになった。

まず箪笥から大きなリュックとショルダーバッグとエナメルバッグを出して、服を詰め始める。

時折小さなかごや手提げに分けながら。

良い機会なので、着れなくなった小さな服はベッドの上に置いておくことにした。

思い切って冬服も出して、冬服は全てバッグに入れた。

そんなこんなで、エナメルバッグとリュック丸丸ふたつを使って、服は詰め終わった。

次に、勉強道具やら暇つぶしの道具やら・・・・

物。

物はがちゃがちゃしている上に収納力がないので、私としては一番嫌いだ。

まずドリルなどの紙物、それにどうしても持っていきたい本などをショルダーバッグに詰めた。

紙物なので、気をつけて整理しながら入れていけば、かなり収まるものだった。

次に、アクセサリーなどの雑貨。

折りたたみ式の大きめのミラーと、すこし高めの箱を用意して、棚などに化粧台が作れるようにした。

勿論箱は有効活用して、中に小さなアクセサリーなどを入れたりした。

バスタオルなどは結構多く入れた。

そして、3つめのバッグも埋まってしまった。

最後に、かなり大きい手提げを引っ張り出してきた。

この中に、余ったバッグや生活用品を放り込んでいく。

鉛筆削りは中身を捨ててビニール袋に入れて放り込んだ。

充電器、ミニゲーム機・・・・


・・・・そして、準備が終わった。

旅行にもっていくものだけは、残してある。

「・・・・・・はー・・・」


妙に寂しさが増したこの寂しい部屋が、私の鼻をつんとさせた。

***


朝。

旅行の朝・・・・。

今日と明日で、皆には会えなくなる。

・・・・・・寂しすぎて、泣けるけど・・・・


不思議と、悔いはないんだ・・・・



ピンポーン。


・・・?

誰だろう?

「綾ちゃん、輝・・・くん・・・?よ!」

「・・・・えっ、輝!?」

「うん。荷物持って降りてきなさい」

「はい!」

急いで荷物を全部持って下に降りた。

まだ6時半なのに・・・

がちゃっとドアを開けると、輝がいた。

「よ」

「おはよっ・・・・」

「一緒にいこーぜ、駅」

「・・・・・え、でも・・・」

「何迷ってんだよ。なんかおかしくね?お前」

「・・・・や、そういうわけじゃ・・・」

「じゃ、決まり。行こうぜ」

ぐいっと手を引っ張られる。

「あっ、あ・・・行ってきます!」

輝に手を引かれて、



君と最初で最後の旅行に旅立つ。


***


「・・・・ふう、一応バス停だな」

「荷物重いね~」

「1つ持ってやるよ(笑)お前見かけによらず貧弱だからな」

「しっつれー!いいよ(笑)大丈夫ですー」

「・・・・やっぱお前、なんか今日おかしくないか?」

「・・・・へっ?!」

・・・・やばっ。

危ない反応しちゃった・・・

だって、君の笑顔を見るたびに・・・

これが最後なんだって、思い出しちゃうから・・・

「・・・・・・・・・お通夜と葬式、今日なんじゃねえのか」

「・・・・うん」

「うん、って・・・・・良いのか、行かなくて・・・ってか、行かなくていいわけないだろ」

「実はね・・、もう先にお通夜・・・っていうか、済ませたの。私だけ」

「え?」

「お葬式は、明日帰ってきてからちゃんと出る。

 でもお通夜だけは出れないから、朝会ってきた・・・」

「・・・・・・そうか。ごめんな」

「う、ううん・・・・輝は悪くないよ」

「・・・ま、忘れろなんて無理な話だけど、今日は楽しもうぜ」

「・・・・うん!」


***


駅到着。

「あ、皆来てるーっ!」

私がはしゃいだ。

「(笑)はしゃいでるお前、普通でもレアなのに珍しーな(笑)」

「へへへっ、超楽しみっっ!!!!」

本当に、これは素で楽しみだった。

ここが駅だってことも忘れて、はしゃぎまわりたかった。

バスの中で揺られながら、思ったんだ。

今日は思う存分楽しもうって。

輝だって、きっとそれを望んでくれてるって。


「輝、行こうよっ!」

私が輝の手を引いた。

「ちょ、おま・・・・(笑)」

輝がくすっと笑ってついてくる。

本格的に秋が始まった、9月下旬の朝7時。

君と、最初で最後で最高の笑顔を、ともに。

***