・・・・・・・・・・「1組の教室の空気って、2組や3組とか・・・他の組と大違い!」
・・・・あの言葉がよみがえる。
そりゃ、いじめがあったりしたら・・・・違うにきまってんじゃん。
平和な奴らには分かんないんだよ。
「・・・5時限目の、体育が・・な、なくなりました」
「なんでないんですかー」
「・・・3年生の、都合・・・らしい、です」
「聞こえませーん」
ひゃひゃひゃ、と冷やかし笑いがおこる。
・・・・星野さん、・・・可哀想・・・。
だけど、私は星野さんが少し苦手だった。
なんか、小学校でもきらいだったし。
「星野さん、分かったよ」
「・・・う、うん」
星野さんは、私の言葉に助けられたというような顔をして、席に戻った。
「・・・・綾」
「・・・え?」
「星野さんなんかかばって・・・危ないよ?」
「好乃、そんなこと言っちゃ可哀想だよ・・・まあ好きではないんだけどさ・・・私も」
「そりゃ、みんなに嫌われてるからいじめられてるんじゃないの?」
「好乃も痛いとこ突くね(笑)」
「へ?(笑)」
「・・・あ、先生」
「5,6時限目のことは、星野から聞いたな?」
「はい、」と言いかけた、その時―――。
「聞いてませーん」
・・・・・・・・・・・・え?
まさか、星野さんを・・・!?
「・・・・星野さん・・・・」
好乃が、ぽそりとつぶやいた。
「何だと!?星野、伝えなかったのか!?」
「えっと、伝えました――――」
「いーえ先生、僕らは何にも聞いてませーん。星野さんはウソをついていまーす」
「そ、そんな・・・!!」
「星野・・・、お前のことは見損なった。もういい。私が伝える」
「・・・・そ、そんな、織田先生・・・!?」
「なんだ、速水」
・・・・・・
「・・・な、なんでもありません・・・」
・・・そんな、星野さんにそこまでするなんて・・・!!
すると、そのとき。
ガラガラガラ、と教室の引き戸が開いた。
「授業中すみません―――・・・織田先生、USBメモリー貸していただけませんか」
・・・・輝?
すると、輝は私が見ているのに気付いて、他の皆には気付かれないように、口元を緩ませた。
私も少し笑って、なんだかさっきの嫌な気持ちとは一転、ほんわかした気持ちになった。
「・・・・失礼しました」
ぴしゃり、と引き戸が閉まる。
「・・・八木ってば、津川のことずっと睨んでたよ」
好乃が、こそこそ話で伝えてきた。
「・・・うん・・・」
八木とは、星野さんをいじめている奴らの、中心になっている奴だ。
「・・・・・・早くクラス替えしたいな」
そう言った好乃の声は、かすかにふるえていた。
***
「はぁ・・・」
トイレから出てきて、一番先に出たのはため息。
あの教室に戻るかと思うと、気持ちが重く沈んだ。
「よ、綾ちゃん」
「・・・ん?ああ、拓くん」
「あれ、そっちまでよそよそしい呼び方になってるよ」
「いや、そっちが綾ちゃんなんて呼ぶから、私もなんとなくで」
「・・・さっき輝が言ってたんだけどさ・・・・・1組どうなのよ」
「え?どうって?」
「なんてゆーか・・・こう・・・・状況てゆーか・・・」
「・・・八木が猛威ふるってるかな(笑)」
「・・・星野?」
「うん、星野さん―――――・・・って拓くん、星野さんと仲いいの?」
「・・・・・うん、ちょっと、ね」
「・・・・ふーん・・・・あ、授業始まっちゃうや・・・・じゃあまたね!」
「あ、うん。また」
・・・・拓くん、どうしたんだろ?
星野さんに、なにか思い入れがあるとか・・・?
・・・・・・・・なんだろう。
***
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