デスティニー 【第1章 4話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

「・・・・・・っ・・・・」

涙はもう乾いてきて・・・・、私は部活に出直そうと思って、鞄とリュックを持ち上げた。

その前にトイレに行こうと、渡り廊下前を通ったとき。

「・・・・・・・・・・・・・・・は、速水?」

その低めの声には、なんだかあたたかい感じを覚えていて。

・・・・・・・なんだか、安心するなって思った声で。

・・・・・・・・・・大好きな、ひとの声で――――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「な・・・・にお前、泣いて・・・んの?」

「・・・・・・な、泣いて・・・・ないしっ・・・!」

必死にごしごしと涙をぬぐって、鼻をすすったら、ずびっ。

・・・・完全に、涙声に泣き顔。

「・・・・・な、何あったんだよ・・・・」

「・・・・・ううん、何でもないよ」

「いや、何でもねーだろ!」

腕を掴まれて、がっと引っ張られた。

抗っても、抗えなかった。

「・・・・・・・・・・や、・・・・・・そ・・・の」

「喧嘩?」

「・・・・・ん・・・・・喧嘩・・・では・・・ないと思うけど」

「・・・・・・じゃあなんだよ」

「・・・・・・・・さ、さあ??!」

「・・・・・・・・・・・いや、俺のほうが分かんないんだけど」

「・・・・・い、やだからっ・・・な、何でもないですっ!」

私はなんか嬉しくて、ふにゃっと下手に笑った。

すると、輝も笑って、

「・・・ま、お前なんか心配するガラでもねーか」

といった。

いつもならかちんとくるこの言葉も、あんな声聴かされたあとなら、全然嫌じゃなくて。

「ん、へーき!」

と、今度は上手に笑いながら言えた。

***

「あ、綾・・・」

「・・・・・・・・・ありがと、二人とも」

「「・・・え?」」

「応援してくんなくていいよ」

「・・・・は?!」

「・・・・ん、私が大好きなら、それでいいんだって思えたから」

・・・・これ以上、追及されたくないな。

私は、鞄やらを乱暴に投げ捨てて、体育館に向かって走った。




「・・・・・・・・・え、もう終わり?」

「そーですよ?だってもう5時半」

・・・・・・・・・・な、なる・・・・・ほど。

だから、輝が・・・・部長の輝が、あそこにいたのか。

・・・・・なるほど、・・・うん。

「・・そ、っかぁ!ごめんなさい、練習してなくて・・・・」

「いいよ、綾ちゃんいっつもまじめにやってるし!今日は大目に見るよ」

「あ、ありがとうございます・・!」

・・・先輩が優しくてよかった・・・。

皆が、バチやら練習台やらを、ミュート箱に投げ入れていく。

少々どころじゃなく乱暴な片づけ方だが、私たち3年や2年がやっていてはどうしようもない。

「・・・・・・・・・・・・さ、てと」

「部長さんに報告してきます」

「ん、ごくろうさま」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は・・・・あ、・・・・なんか・・・疲れたなあ・・・」

「綾ちゃん、帰るよー?」

「あ、大丈夫ですっ・・・!ちょっと疲れちゃって・・・」

「ははは(笑)じゃあ、気をつけて帰ってね?あとで部長来ると思うけど」

「はい・・・!すみません・・・」

ぺたん、と座り込んでしまった。

「・・・・うっわああああ!?」

「・・・・・・・・ひゃあ!?だだ誰!?」

「・・・・・・・・・・・・え、お前・・・・・・・・って速水かよ」

「・・・・ん?・・・あっ、輝かあ!」

「お前がそんな背ちっちゃいとはなー」

「・・・・ちっちゃくないし!」

悔しくていきなり立ったら、めまいが襲ってきた。

「・・・・・・・は、っと・・・・お・・・」

あれ、予想以上に・・・ひどいな、これ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・やばいかも・・・・・

そう思ったときには、もう遅過ぎたようで。

「・・・・・・」

「速水?」

「・・・・あ、大丈夫大丈夫・・・・・・・・」

座れば、なんとかなるから。

・・・・・・・・でも、よくなんない・・・

立つにも、立てない・・・

「・・・・っ、・・・・もー・・・」

「速水?!」

「・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・」

次の瞬間、私はもう、輝の腕の中にいたようだ。

***

・・・・・・・・・・・・・・?

・・・・・ここ、どこ?

・・・・・保健室じゃない・・・・な。うん。

やけに冷たい布が腕に当たってる。

「・・・・・・・あ、綾起きた!?」

「今日ねー、保健の先生いなかったからさっ、ごめんね、ソファで!」

・・・・・・、あ、練習部屋のソファか・・・!

「・・・・・・・・・・私、どーやってここに?」

「・・・・・・ん、輝が切羽詰まってここにきてね」

「なんか、綾が倒れたとか気絶したとかなんか言ってて」

「で、私と亜衣と輝で・・・おもに輝だけど、運んできたってわけさ!」

「・・・・・ほ、かのみんなは・・・?」

「もう6時だし。帰ったよ?」

「え?!ふたりは・・・!?」

「ちょっとねー、隠れたの!ま、そこは追及しないで♪」

「こ、輝は・・・?!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん、そこだよ」

「え!?」

「・・・・・・・・・・」

無反応?

「・・・・・・こ、輝?」

「・・・・・・・・・寝ちゃったんじゃない?安心してさ!」

「・・・・・・・輝・・・・!」

「ま、私らはもう帰んなきゃだし!じゃねー!」

「え、あ!?ちょ、亜衣!!寿々・・・!!?」

「・・・・・・ん」

「・・・・・あ、輝・・・!」

「・・・・え、・・・・あ、速水?!」

「な、帰ってよかったのに!!」

「俺だって帰りたかったけどな、あいつらが、もし運ぶことになったらって言って――――――
・・・あいつらは?」

「・・・・帰った・・・?」

「は!?」

「・・・・・・・ん、帰ったよ」

「・・・・マジかよ・・・!!一発殴ってやろうと思ったのに・・・」

「・・・・そ、それより、輝、・・・・ありがとうございますっ・・・。」

「・・・・・は?何いきなり」

「いや、なんか・・・輝がみんな呼んで、運んでくれたって・・・重かったでしょ」

「いや別に。そこまでやわじゃねーし・・・てかもう6時過ぎてんぞ?帰ろうぜ」

「・・・あ、うん」

「・・・・大丈夫なのかよ」

「・・・・ん、まあへいきかな」

「まあって・・・・なんか頼りねーな」

「そりゃあ男子ほどの頼りがいはありませんよ」

「・・・・あ!鍵!!ごめんね輝、待たせておいて悪いんだけど、さき帰ってもらっていい!?返さなきゃ・・・!!」

「・・・・あ、おう。じゃあ、気をつけろよ・・・?どっかでぶっ倒れてもしらねーぞ?」

「・・・あ、あぁ大丈夫!・・・本当にありがとう!」

「だからいいっつーの!!」

輝は、くるりと私に背を向けて帰って行った。

・・・・・・・

何だろう、・・・・・

好きだって自覚したとたん、もうどうすればいいか分かんないよ。

・・・・・

・・・・好き、

・・・・か・・・・。

***

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