・・・・
なんか、もやもやもやもや・・・・
あっついし、・・・・
なんでだろうか。
・・・・そういえば、組体操ってどんな並び順なのかな・・・
輝は、・・・輝は、・・・・どこなのかな・・・・
・・・・・・・・・・・・私はどこだろう?
――――あーーやっ!!!
「・・・・」
――――――あや―――――!?!?!?!
・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・あっ!?ご、ごめんなさい!!」
「・・・・い、いや別にいいんだけど・・・業間なのに音楽室行かない綾って、珍しいなって」
「え?なんで?・・・あ、寿々と亜衣が行くなら行くっっ!!」
「いや・・・ん?寿々いないね。行ってみようか?」
「うん?」
・・・・寿々がいない。
・・・っていうのも珍しいな。・・・トイレとか?
「トイレには・・・・いない?上履きちがうしね」
「・・・んー・・・・って・・・あーあ」
「『あーあ』って・・・・・・・――――あららら」
私たちが見ているのは、まるで昨日の続きをしているのかのように、にらみ合いをする輝と寿々。
「・・・・・馬鹿じゃないの?あの二人・・・」
私が呆れたように言う。
「・・・ま、お互い意地っ張りって言ってあげたら?」
「・・・・まぁ言えてるけど」
「どうする?ほっとく?」
「・・・・・ん」
「・・・何、どしたの」
私は、なんとなく寿々と輝を見て、嫉妬してしまった。
なんでだかは、分かんなかったけど。
「・・・・どしたの!?」
「・・・・あ、ごめんごめん・・・!私、トイレ行くから・・・!」
「・・・?うん」
亜衣からそそくさと離れて、トイレに急ぎ足で入った。
「・・・・・」
水道台に取り付けられた鏡に映る、自分の顔を見つめた。
・・・・
なんか、今までの顔と、ちがう。
可愛くなったとか、そういうんじゃなくって。
・・・・
なんか、・・・・・あの人に恋をしていた、小学4年生の時の顔に戻ったような。
「・・・・なに、思っちゃってんだろう」
なんか、5,6時間目の組体操の時間が、ちょっぴり憂鬱に思えた。
***
「・・・・綾、帽子いらないんだよ?それに、靴下脱いで、水筒とタオルもってけって先生が・・・・って綾!?」
「・・・・・・・!!あ、はい!!?ああっ、全然違うカッコ・・・!ありがとう寿々!」
「・・・・なんか、今日の綾おかしいよね?」
「・・・うん。寿々もそう思う?」
「うん。・・・いや、あれはあの漫画のことじゃないよ、きっと・・・」
「亜衣もそう思うか・・・んー・・・・」
「「恋しちゃったとか!?!?!?!」」
「・・・・・・・(笑)!!」
「んー、ありうるけど・・・ある?てか誰?」
「んんー・・・・綾と特別接点のある男子って言ったら・・・・」
「同じ委員会の・・・・」
「玲?・・・あれはないでしょ」
「んじゃあ隣の」
「・・・・・・・・・・・・・村重って」
「「ないよなぁ・・・」」
「ど、どうしたの二人とも!?なんで行かないの!?先生に怒られるよ!?」
「綾待ってたんだよ!!!」
「あえ、あ、あ、ありがっととう・・・」
・・・・噛んだとたん、二人の目がキラリと光った気がした。
***
しょっぱなから校庭とか無いわぁ・・・・
と思いながら、靴を脱いだ。
ソーラン節とか、おととしからやってる組体操で慣れたせいか、そんなに痛みは感じなかった。
それに、今日は一人技と並び順くらいらしいし、まぁ平気だろ。
「・・・・はぁ、これ何の並び順だろ・・・・」
寿々は前のほう、亜衣は中くらいの上くらいだし・・・
すごく仲がいい人って、あんまり周りにいないもんだなぁ。
ま、前の子、好乃とは普通に仲いいんだけど。
「・・・・・はぁ。」
5.6時間目に体育っていうのは、私的にかなりキツイ。
昼休みと掃除、あわせて40分くらいしか経ってないのに、食べ物が消化されるわけない。
すると、なんかいきなり後ろからパンチが来た。
ごんっ。
「いったああ~・・・・誰!?」
いつもの癖で、ついガッつき気味に振り向いてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・あ。
この反応で、誰かわかった人は・・・・いるかな・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・なんだ、輝か」
「意外だな」
「は!?」
「お前って、殴ったら泣きそうなタイプかと」
「ええ!?そんな風に見える!?」
「いや、見えたから言ったんじゃん」
「・・・・・そうかあ・・・」
今のはかなり傷つく。
私にとって、人前で泣くなんてのは、プライドを1000000あるうちの100000.5くらい削られたっておかしくないことなのに。
「ま、お前って完璧主義者っぽいとこあるもんな」
「んー・・・そう?まぁ言われなくもないんだけど」
「てかお前さ、なんで水瀬と仲いいの?」
これは結構驚いた。
いきなりそんな質問されても。
「・・・・ん~・・・・・・・・?なんでって言われてもなぁ・・・なんとなく?」
「なんとなくって」
「・・・・いや、本当に。そこまで深い理由があるわけでもないし・・・」
「・・・・・・・・ま、・・・・そんなもんだよな」
・・・・?
そう、呟くように言った輝の言葉は、どこか裏があるようで、気にならなくもなかった。
すると、ピーっと、先生の笛が鳴った。
「集合ーっ!!!」
「「「「...はいっ!!!...」」」
校庭の中心に、裸足で駆けだしたとき。
私の本当の夏は、始まろうとしていたのだった。
***
↓1ポチお願いします!↓