船木威徳さんのFacebookより転載させていただきます。
【 梅と健康 】
この春、使いきれないほどの完熟梅をいただいたこともあり、
かなりの量の梅漬けを作りました。
梅酢のなかに漬かっている梅たちがかわいくてかわいくて、
もう食べられるのですが、食べるのももったいなくて、毎日見つめています。
梅で有名な街と言えば、和歌山県のみなべ町でしょう。
さすがに梅の街です。
町で開催された「梅の医学的効能研究報告会」の記録を読んでいたら、
私も初めて聴く、興味深いことが記されていました。
https://www.town.minabe.lg.jp/ume_kanko/01/files/umeshiryo.pdf
骨を作る骨芽細胞という赤ちゃんの細胞があるのですが、
この骨芽細胞から分泌されるオステオカルシンというホルモンがあります。
私も大学病院にいたころ、腎臓と骨の関係を調べるために
よく測定したことがあります。
このオステオカルシンですが、最近では、全身を回る中で、
多くの重要な役割を果たしていることが分かってきています。
・脳:記憶力や認知機能を支える
・肝臓:肝臓の働きを整える
・膵臓:インスリン分泌を促す
・筋肉・脂肪:インスリンの効きを高める
・腸:栄養吸収とホルモン分泌を助ける
・男性ホルモン:男性ホルモンの分泌を促す
おもしろいことに、梅干しをたくさん食べるひとほど、
このオステオカルシン値が有意に高くなるというのです。
さらに、すでにわかっていることですが、
梅には、ポリフェノールやクエン酸、梅リグナンなどが豊富に含まれていて、
これらには抗酸化作用、抗炎症作用、腸内環境改善作用が報告されています。
認知症のなかでも、とくにアルツハイマー型認知症では、
その発症に酸化ストレス、慢性炎症、腸脳相関の異常が
関与すると考えられているため、
理論的には梅が認知症予防という観点で、良い方向に働く可能性はあります。
もちろん、こうした人の血液検査で得られるデータや、動物実験だけで、
梅をたくさん食べると、認知症予防ができるなどとは
安易に結びつけないよう注意すべきでしょう。
私が過去に腎臓と骨の代謝に関する臨床研究をおこなっていたころは、
骨芽細胞から出てくるホルモンなのだから、
それはせいぜい、骨の強い、弱いくらいにしか関連していないだろうと
思われていたのです。
それが、いまでは、糖尿病や免疫、一部のがんや、
もちろん認知症との関連まで解明されつつあることに、
私も正直、医学の発展のスピードには驚きます。
わかりやすく言えば、骨は「体を支えるだけではなく、
休みなく全身と情報のやりとりをおこなっている臓器である」
という事実が明らかにされつつあるわけですから。
だからこそ、いま改めて、
私たちは、バランスのよい視点を持たねばならないと感じるのです。
近代科学は、現象や物質をばらして、細かくして、
小さくすることで研究を進めてきました。
医学も、脳や心臓、骨や腸、皮膚などの臓器を、
いまでは分子のレベルに細かくして、病気の正体を解明し、
新薬の開発を行ってきています。
一方で、臨床医は患者さんに食事の話ひとつするのにも、
なぜこの食品が体によいのかを解き明かしてゆくうえで、
むしろ、その歴史をたどり、かつての日本人が摂っていた食事と
当時の病気の記録を学ぶのは必須でしょう。
そこで見るのは、昔のひとたちがなんとすばらしい組み合わせの食事を摂り、
その加工法を知っていたかという事実なのです。
つまり、成分と成分、品目と品目の組み合わせ、
統合にあった価値を検証することが重要となるのです。
私たちの小さい時は、風邪をひいたら梅干しのおかゆを食べさせられ、
この症状には、ネギと味噌・・・などと、
あたりまえのように、いつもよりも慎重に「食事」をさせられました。
いま、ようやくわかってきたことは
ごはんとみそ汁、ぬか漬けに納豆や梅干しなど、結局のところ、
最初から日本人が受け継いできた食事で十分なのだということなのです。
とはいえ、かえっていまは、
この普通の食事がなかなか摂れなくなっているわけで、
ある意味で現代に生きる私たちが、便利になったようで、
本当によいもの、必要な糧を手に入れるには新たな苦労を強いられる…。
そう、だからこそ、知識も大事ですが、
私たちの身体がもともと備えている「感覚」「勘」をばかにせずに、
大切なもの、必要なものを探し続けなければならないのではないでしょうか?
私たちが作っている動画のなかでも、
さらに詳しく、科学に裏付けられた真実や
臨床医の経験に基づく感覚的な話をお伝えしてまいります。
(ふなきたけのり・百姓医者 2026/07/08)