おかあさん あなたは 家族の万能薬

 

 

 

 

長崎市在住の詩人 藤川幸之助さんに

「 母の眼差し 」 という作品がある

 

母が 昔のまま そのままの

認知症も どこにもない顔で 

わたしを 生み育てた母そのものの眼差しで

じっと わたしを 見つめるときがある

言葉ではなく 目で母と対話する 

 

母キヨ子さんは 60歳でアルツハイマー型認知症と診断された

歩くこと 放すこと 食べることが 徐々にできなくなる

小学校教諭だった藤川さんは

認知症の進む母と 末期がんだった妻を支えるために 教壇を去る

妻を看取った後 介護のかたわら 思いを綴るようになります

  

二時間もかかる母の食事に 苛立つ私を尻目に

母は 静かに宙を見つめ ゆっくりと食事をする

苛々や 怒りも 藤川さんは隠さない

「 あなたは 笑っていた

  本当は 泣きたかったのに

  はじめてオムツをはめた日 」

 

介護の日々は いつ終わるとも知れない

「 母は 息ができなくなって咳き込んだ

  背中を たたきながら 私は

  このまま 母が 死んでくれれば

  母も私も 楽になれると ふと思ってしまった 」

 

胸にきざした 暗い感情も うたう

七年前の秋 キヨ子さんは 84歳で旅立った

「 介護を通じ 逃げずに考え抜く習慣が 身に着いた

  生とは何か 母が最期まで 私を育ててくれました 」 と 話される

 

 

昨日は 世界アルツハイマーの日 

 

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