前章ラストにて――

自分の父親が「聖手」温如玉であることを認めた老温。

それにしても、さすが元「天窗」の首領は物知りである。

 

作品名やらキャラ名やらを聞いたその場で忘れて行く私としては…

その記憶力が非常にうらやましい鉛筆セキセイインコ青

 

年々衰えていく記憶力を補うべく綴り続ける…

前回の『天涯客』上矢印こちら上矢印

 

 

 温客行は微笑んでいるようだったが、また言いようのない悲しみを身に纏っているようにも見えた。

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

父親の話をする温客行には、哀愁が漂っている。

「秋明剣」が引退したのは二十年以上も前のことで、その後、夫婦がどこへ行ったのか、またどうなったのかを知る者はいない。

老温も今、そこまでを語る気はないだろう…。

 

篝火の横に、背を少し丸めて座る温客行をじっと見つめる周子舒。

そんな温客行はただ、彼が教えた剣法を不器用に練習する張成嶺を静かに眺めている。

 

そこで突然歌い始める温客行。

「彼黍離離、彼稷之苗。行邁靡靡、中心揺揺。知我者謂我心憂、不知我者謂我何求。悠悠蒼天! 此何人哉? 彼黍離離、彼稷之穗……」

 

【『詩経』「国風・王風」黍離より】

 

あのモチキビは、穂がよく実って垂れている。

あのキビは芽を出している。

歩みは遅くなり、心は落ち着かない。

私のことを知るものは悲しんでいると取るだろう。

私を知らないものは何を求めているのだろうと思う。

悠々と広がる大空!

(私は)いったいどんな人物なんだろうか?

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

歌うというから…。

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

こんな感じかと思わせておいて…。

実は「詠」うだった件鉛筆セキセイインコ青

 火は薪を燃やし、パチパチと音を立てている。張成嶺は理解出来ない技の動きがあり、聞きに行こうと思ったが、遠くも近くもないところでこの歌声を聞いて、なぜか急に足を止めてしまった。

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

この歌声…。

  • とても低く…
  • わずかにかすれて、くぐもり…
  • 不明瞭な言葉でぼんやりとしている
勘違いしてはいけない。
決して、下手なわけではないカラオケ

彼は今、悲しみに酔っているのだ。

わかってるってな(笑)

 

この歌は――

栄華を極めた世界が滅び、捨て去ることのできない過去世を歌った悲しい歌であるらしい。

 

温客行は自分の境遇を詠っているはずなのだが…。

張成嶺にもこれはあてはまるようで…。

その境遇に思いを馳せた心優しい周子舒は、酒の辛味にかこつけて、涙が出そうになるほど咳き込んでいる。

 

 私を知る者は、私の心が憂えていると言うだろう。私を知らぬ者は、私が何を求めていると思うのか……
 温客行は微妙に自嘲めいたように、この言葉を繰り返し口ずさみ、目尻をゆっくりと上げると、少し笑ったように見えた。

 彼が求めているのは何だろうか?

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

彼が求めているのは、君だニヤリキラキラ

←違うから。

 

 

  どれくらいの時間が経ったのか…

結局、温客行の歌声を邪魔することはできず…。

←あくまで私の感想(笑)

 

わからなかったことを質問することもせず、いつの間にか眠りにおちた張成嶺。

 

 周子舒は起き上がって上衣を脱ぐと、そっと彼の体にかけ、低くため息をついた。
「お父上の秋明十八式は、武林に広まっていると言われているが、お前は彼に三つの技しか教えてない。私が見たところ、一つとして十八式の中にないようだ。しかしよく考えると、秋明十八式は千変万化でありながら、その全てがこの三つの技から派生しているのだろう。温兄は……本当に出藍の誉だな」

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

 

剣法は語られてもわからないのでスルーしてもいいとして…。

何気に張成嶺に上衣をかける阿絮をスルーしたら、彼の推しさんに刺されると思ったさ

( ̄∇ ̄;)ハッハッハ

 

『山河令』では、医術にも若干精通していた老温。

『天涯客』の温客行は、医術に関しては全くの素人となっている。

 

温如玉の剣術に詳しい周子舒に、他に何を知っているかを尋ねる温客行。

「江湖には医術と毒を区別しない、神秘的で不可解な巫医谷と、傷ついた者を死から救い、医術によって世界を救う神医谷がある。聞くところによると、神医谷は武功に長けていないとされているが、誰も彼らを軽々しく挑発しない。慈谷女侠は神医谷の谷主の弟子で、若い頃は蜀中一の美女とされていたが、その後突然嫁ぐという噂が流れ、多くの人々の心を傷つけたとか」

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

この「慈谷女侠」が老温のママ、谷妙妙ということでいいのだろうか?

今頃確認するなって話よね(笑)

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

蜀中一の美女だった件鉛筆セキセイインコ青

道理で美しいはずよ、老温。

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

ついでに、パパも貼っておこうか。

それにしても…。

この人を最近、どこかで観たような気がする…。

 

 彼らの身上には、ある種の何か、言い表せない共通点があるのだろうか。周子舒は彼の歌声とため息を聞いた途端、何かがわかるような気がして、彼に同情し、慰めるつもりで優しく語りかけた。

「ご両親とも、どちらも稀に見る善人で、神仙のようなご夫婦だった。江湖を旅して、その後連れだって隠居なさった。もし私がそのような日々を送れるならば、明日死んでもいいと思う」

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

『天涯客』では出てくることのない「安吉四賢」

悦樊楼にての阿絮の心のつぶやきは、老温の両親に対する羨望だった件よ。

 

この夜は――

何故か周子舒の心を穏やかに優しくさせたようだ(笑)

張成嶺に対しても、温客行に対しても、いつもとは違う対応をみせているニヤリキラキラ

 

そんな周子舒の言葉に少し戸惑う温客行。

「こんなに長い年月が経っても、まだ彼らのことを覚えていてくれる人がいて、彼らにいい言葉をかけてくれる人がいるなんて思わなかった。君は……何をもって善人だと思う? また人は何故、善人であろうとするのだろうな?」

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

善人であること…。

善人であろうとすること…。

 

長いのでまとめようと思ったのだけれども…。

私の頭では無理だったので、そのまま載せさせていただこう。

「この世の全ての人が善人と言うわけではないが、ほとんどの人は善人になろうとしている。たとえ本当に善人でなくても、できるだけ善人のような振りをしようとするだろう」
 彼は少し間を置いてから、また続けた。
「なぜかというと……それは多分、他人に対して優しくして、心の中では人を傷つけたくないと思っているからだと思う。良いことをすれば、他人も自分に優しくしてくれる。善人でいれば、友達や家族、恋人を持つことができて、たくさんの人が自分と一緒に居たいと思ってくれる。考えてもみろ。もし一生涯を自分一人だけで生き、いつもいつでも自分以外の全ての人を警戒し続け、誰とも親しくなれず、誰にも感情を持てず、自分だけが自分を可愛がるなんて、そんなのとても哀れじゃないか? 悪人になると、辛すぎる」

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

『七爺』の天窗時代の自分のことを皮肉っているような感じもする、周子舒の重~いお言葉である。

深すぎる…。

 

だがしかし。

真面目で深い場面はここまでで。

いつもの老温が戻って来る(笑)

「阿絮、気がついたのだが。たとえ君が美人でなくとも、ますます私の好みになってきているよ」

 周子舒は、彼が真面目になったと思ったその瞬間から、すぐにまた悪い癖が出ることをすでに承知していたので口角を引き攣らせ、彼を無視した。

 

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

 

 

  翌朝――

とりあえず、張成嶺を高家荘に送ろうとする周子舒。

 

温客行の軽口はともかくとして。

まるで三人家族のようになってきた彼ら

(ΦωΦ)フフフ…

 

もちろん…。

温客行はあくまでも自分が父親だと思っている。

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

『山河令』では最初、阿絮に「物語」をねだっていた張成嶺。

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

『天涯客』では、老温が自ら進んで、物語を聞かせようとする。

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.

もちろん、室内などではなく、歩きながらだ。

「さて、五行山の麓に、妖の子供がいた。名前は紅孩児。一味の妖魔鬼怪と一緒に住んでいたんだ。もちろん、彼は心の中では彼らを見下していた。彼らが一日中何もないところに問題を起こしているのが、とても嫌だと思っている……」
 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

温客行の語る「お話」は途中から、アレンジが入り混じる。

自分の境遇を何気に比喩しているのだろうが…。

その適当さに――

 周子舒は急に石につまずいて、危うく五体投地するところだった。
 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

簡単に言うと、

「ずっこけた」ということだろう鉛筆セキセイインコ青

あの周子舒がね。ふっ。

画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.
老温の優しさに、調子に乗って違う話もねだり始める彼がいる。

 温客行はようやく忠実な聴衆を見つけ、この少年は自分に気を使ってくれていると感じ、話が弾んだ。それで次々と『梟と赤い水の入ったお椀』や『姜子牙と白骨の精の大戦』、『崔鶯鶯は怒りで百宝箱を沈める』など、目新しく、面白い物語を話し始めた。

 そんなふうにぺちゃくちゃと話しながら、洞庭の高家庄へと戻って来た。

 

priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

それらの話の内容は…。

申し訳ないが、割愛させていただこう(笑)

私は張成嶺にはなれない

(ΦωΦ)フフフ…


高家荘に到着したところで、三人はいきなり曹蔚寧とでくわす。
 

もちろん、張成嶺が消えたことで大騒ぎになっているのだが――

「趙大侠/趙敬が必死に捜している」という言葉に、事情を説明しようとした周子舒の言葉を曹蔚寧は全く聞いてはいない。

 

何故なら…。

彼は別に、張成嶺を捜していたわけではないのだ。

残念ながら、多分きっと、それが真実。

 周子舒が答えた。

「私たちはたまたまこの子が一人で飛び出していくのを見かけたので、挨拶もせず、すぐに彼を追いかけたんだ…… 」
  彼が言い終わる前に、曹蔚寧が彼を引っ張って言った。
「あなたは大きな事件を見逃しましたよ。早く行きましょう! あちらで騒動が起きています!」


priest『天涯客』第23章「故事」より翻訳引用

人の話を聞け

曹蔚寧

Ω\ζ°)チーン

…と
阿絮が思ったかどうかは定かではない