物語の始まりというものは――
主人公の特徴を際立たせるため、そして短編で終わらせないためにも、気合の入ったものでなくてはいけない
…と、私は勝手に思っている
長編と思って書き始めても、とっかかりが悪ければ読んでもらえないことも多いだろう。
逆に…。
最初はつまらなかったのに、突然面白くなる作品も多い。
漫画などは、「第七巻」辺りを読んでみるのが一番判断しやすい
…と、私は勝手に思っている
「玉城」などとっとと通り過ぎろよ、と思っているかもしれない方々に軽く言い訳しておいて…。
前回の『吉祥紋蓮花楼』はこちら(笑)
*急ぎたいのはやまやまだが、私自身がまだ、原作を全て読み終えてないからな。
李蓮花が寝室で襲われた!
誰にだよ
あの夜から、早くも七、八日が過ぎ――
雲嬌は宗政明珠の客室を出た後すぐ、玉城の護衛兵に見つかり、玉紅燭に捕らえられ…。
それ以来、幽霊の影も歌声も玉城では出現していなかった。
雲嬌は玉紅燭の厳しい拷問にも何も言わなかったため、李蓮花は非常に残念に思った。
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
画像引用元:©BEIJING IQIYI SCIENCE&TECHNOLOGY Co.,LTD
雲嬌の代わりに拷問を受ける、李蓮花の姿をどうぞ
拝みたい(。-人-。)
そして…。
玉穆藍が李蓮花の奇妙な処方「六味雑草湯」を服用し始めてからも、すでに八日が経っていた。
だがしかし。
病状は以前として改善しなかった。
この六味雑草湯には一体どんな「奇効」があるのか? 玉紅燭だけでなく、玉城内の皆が疑問に思っていた。しかし、第九日目に玉穆藍の狂気の病が突然治った。
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
第九日目の朝、部屋から出てきた玉穆藍は、まるで風格のある中年の書生のように、堂々と立派ないでたちだったという。
もちろん彼は、自分が発狂してからのことを覚えていなかった。
- 玉城を放火で焼いたこと
- 娘を護送してきた五十六人の護衛に自決を命じたこと
そして、それを聞かされた玉穆藍は死者の墓前で悲しみ、悔やんでみせたのだ。
ところが、そこは我らが神医・李蓮花。
李蓮花が玉穆藍の病状を確認しに来た時、彼はただつぶやくだけだった。
「なぜ薬が第九日目に効いたのか? 本当に奇妙で不可思議だ!」
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
私は何気に、この李蓮花の台詞がお気に入りである(笑)
朝食の席にて…
事のあらましを玉紅燭に聞く玉穆藍。
もはや、すっとぼけているのは誰の目にも明らかだと思われるので、二人の間の会話は華麗にスルー
ドラマのように――
影絵がどうとか…。
博打の借金がどうとか…。
そういう話は、一切ない
こちら原作『吉祥紋蓮花楼』の崑崙玉城チームは、ただ単に、恋愛のもつれが引き起こした悲劇なだけだ。
もちろん、金鴛盟とも何の関わりもない。
ちなみに…。
「博打の借金」の話は、別の事件で出てくる。
『天涯客/山河令』でも思ったけれど…
原作をバラシて、再度組み立てる技術に恐れ入る
全てを「宗政明珠を得たい」がための、雲嬌の仕業と決めつけている玉紅燭。
忘れてはいけない…。
画像引用元:©BEIJING IQIYI SCIENCE&TECHNOLOGY Co.,LTD
原作の宗政明珠は、女子が憧れる貴公子なのだ。
ただ単に…。
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美魔女・玉紅燭の魅力にハマってしまっただけの、世間知らずな宮廷三世だ。
ところで…。
「宰相の孫」とは言われているが、父親は何をしているのだろう。
何故、昭翎公主の相手が宗政明珠ではなく、方多病なのだろう…。
などと、どうでもいいことが気になっている。
「まさかあの小娘が玉家でこんな大罪を犯すとは思わなかった。霜児と同じように火刑にしなければ、私は母親として失格です!」
玉穆藍の目に怨恨の色が浮かんだ。
「夫人、今日の正午に彼女を処刑し、霜児の仇を討とう!」
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
画像引用元:©BEIJING IQIYI SCIENCE&TECHNOLOGY Co.,LTD
実は原作では一番の食わせ者、玉穆藍…。
李蓮花は雲嬌に、彼のことを話して欲しかったのだろう。
そんな会話を交わしていた時――
二人の元に、護衛が駆け込んでくる。
宗政明珠が戻って来た!
…。
……。
…あ。
そう言えば、原作中の宗政明珠は、李蓮花に何かを頼まれ、下山していたんだった
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
忘れてた
玉秋霜と婚約し、すでに玉城では客人扱いではない宗政明珠が戻って来たからと言って、何をそんなに騒ぐことがあるのか。
そう、怒りをあらわにする夫妻。
問題なのは、宗政明珠とともに現れた二人の人物だった――
ドラマでは…。
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李蓮花が狐狸精を使って、程雲鶴に援軍を頼み…。
(原作の程雲鶴は、最初に李蓮花に依頼しに来たっきりで、玉城の追っ手から逃げ回っているはずだ)
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白川院の石水と監察司の楊昀春が登場したこの場面…。
(原作の石水の本当の姿に驚愕するはずだ)
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石水を撮り忘れた(笑)
【捕青天】と【花青天】
…なる見覚えも聞き覚えもない人物が二人、宗政明珠を枷鎖で拘束し、現れる。
現在の朝廷には、大理寺に属する二人の朝臣がいて、聖上に代わって全国の事件を巡回調査している。一人は「捕青天」と呼ばれる卜承海、もう一人は「花青天」と呼ばれる花如雪だ。この二人はこれまでに十一人の皇族を捕らえ、九人を処刑し、二人を流刑にした。彼らは朝廷内外で非常に恐れられている人物だった。
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
大理寺…。
『成化十四年』や『慶余年』を思い出すな…。
『蓮花楼』では、第三十六話で李蓮花が捕まった時に出てくる。
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ここだここ! ここが大理寺内部(笑)
「捕青天」卜承海
- 長身すぎて、官袍が小さすぎる
「花青天」花如雪
- 痩せて小柄なため、官袍が大きすぎる
- 皮膚が黒い
- 鼠鼻
李蓮花が宗政明珠を遣わしたのは、この二人の元だった。
平雁楼とやらに滞在していた二人を訪れた宗政明珠に、彼らが渡された手紙には、こう書かれていたのだ。
「速やかに信使を捕らえよ。この者は玉秋霜を殺害した犯人であり、事件を解決するために玉城に連れて行け」
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
ぼんやりしながらも、やることはやっている李蓮花である。
ちなみにドラマでは、監察司に手紙を送ったようだ。
その時――
卜承海の目に入ったのは、殿中でのんびりお茶を飲んでいた若者だった。
玉家夫妻がお互いに、「雲嬌の単独犯だ!」いや、「宗政明珠も共犯だ!」とやり合っている間、お茶を淹れ、愉快そうに飲んでいる人物。
「お前は何者だ?」と聞かれ…。
「ただの閑人です」と答える、飄々とした男…。
もちろん、李蓮花だ
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
「李蓮花! あなたなのね――やっぱりあなた! あなた……あなた……この――妖怪!」
李蓮花は「あ」と言い、玉紅燭の顔を見て申し訳なさそうに言った。
「夫人を失望させてしまいましたね。申し訳ない、申し訳ない」
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
あまりの怒りに、欽差の目の前で李蓮花に掌打を繰り出す玉紅燭。
【欽差】
天子の命により、特定の任務を遂行するために派遣される使者の官職
その掌打は李蓮花を撃つことはできなかったが、彼が座っていた椅子を粉々にしていた。
…逃げ足は速いからね。
李蓮花はゆっくりと入口から戻ってきて、玉紅燭に壊された椅子の隣の太師椅に座り、心地よさそうにため息をついた。そして、李蓮花特有の微笑みを浮かべた――それはとても穏やかで静かなように見えるが、どこか「少し楽しみすぎている」感じが隠れているようにも見える。
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
画像引用元:©BEIJING IQIYI SCIENCE&TECHNOLOGY Co.,LTD
どんな表情、どんな様子か想像できないので…。
とりあえず、こんな感じでどうだろう。
李蓮花が宗政明珠を犯人だと判断したのは――
「なぜなら、玉城主は劈空掌を使えないからです」
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 五、一代神医」より翻訳引用
ここから…
やっと「碧窗有鬼殺人」編の謎解きが始まる――
話の核心を知る雲嬌を牢から出し、連れてきてもらう李蓮花。
謎解きと言っても、その辺はほぼドラマと一緒だ。
ただ、ドラマでは宗政明珠の掌打と玉穆藍の暗器、二つが原因となっていたけれど、原作では宗政明珠の「劈空掌」だけで亡くなっている。
画像引用元:©BEIJING IQIYI SCIENCE&TECHNOLOGY Co.,LTD
宗政明珠が「劈空掌」を放っている場面は、当然のごとくブレブレだったため、李蓮花の台詞で代替えさせていただこう。
←「はい! 喜んでっっ」
初めに程雲鶴に話を聞いた時、あまりにも「幽霊のようだ」と思ったらしい李蓮花。
- 「誰かが幽霊のふりをしている」と
鶴行鏢局、玉秋霜、玉城の護衛、雲嬌、と関わった者たちのうち…。
- 最後に生き残ったのは、雲嬌のみ
- ゆえに、彼女と玉秋霜の死には何か関係があるはず
- 彼女には他の人とは違う条件があるのかもしれない
- 皆が知らない何かを知っている、とか
そして、玉城に入城して、二つの奇妙なことに気づいた。
<ひとつめ>
- 宗政明珠が玉秋霜の亡くなった翌日に玉城に来たこと
- どんなに速い駿馬を持っていたとしても、翌日に崑崙山に到着するのは早すぎる
- 故に、彼はもともと崑崙山にいたか、玉城の近くにいた
<ふたつめ>
- 婚約者が殺害されたという知らせを聞いたのに、現場の小棉客桟に一度も立ち寄らず、直接崑崙山に入ったこと
- 未来の義父母を心配していたとしても、不自然すぎる
そこで、話を聞いていた花如雪に、「あなたも行っていないのでは?」とツッコまれる李蓮花。
- 雲嬌が嘘をついている可能性に思い至り、玉秋霜がもともと貨箱の中にいたと結論づけたため、行く必要はないと判断した
- 玉秋霜が死んだのは、小棉客桟ではないためだ
「だから宗政明珠は少し怪しい」
李蓮花は続けた。
「でも、彼が小棉客棧に行かなかった理由が私と同じかどうかは分かりません……しかし、彼よりももっと怪しい人がいます」
藤萍『吉祥紋蓮花楼』
「碧窗有鬼殺人 六、奇怪的凶案」より翻訳引用
…と言うように…。
李蓮花の語りのみで、真相が明かされていく「碧窗有鬼殺人」編。
画像引用元:©BEIJING IQIYI SCIENCE&TECHNOLOGY Co.,LTD
犯人はお前だ!
…と指を差して終わるタイプのミステリーではないことは確かである(笑)
ドラマではその辺、必ず最後に「どんでん返し」を入れるようにしていた…ような気がする。
←そこまで「返し」てなかったような気もする
(ΦωΦ)フフフ…
次回…
全ての謎が明らかになる!
…といいね