特に…。
続けようとか思って書いたわけではない。
単なる思い付きで、つらつら遊んでみただけで、オチも何もない(笑)
←最近、多い( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
いいんだ、もう。
いや、ダメだろ!
もはや、ただの暇つぶし記事(笑)
「雲深不知処の奇妙な出来事」
男は蘭室に飾られていたソレを軽く指でなぞった。
うっすらとついたほこりが筋となって、掃われる。
悔しくはないか? 我が同胞よ……。
男はすっと目を細めると、ソレを持ち上げ、両腕の中に包み込んだ。
冷たい感触が衣を通して伝わってくる。
「一緒に行こう。弟弟……」
男が立ち去った後にそこに残されたものは、まるでソレを避けるかのようにふりつもったほこりだけだった――
****
次の朝、藍啓仁は静かに怒りを抑えていた。
君子たるもの、やすやすと声を荒げてはいけない。ましてやここは大声不可の雲深不知処だ。年を重ね、性格にほんの少し丸みを帯びた……わけもなく、最終的に雷は、藍思追たちへと落とされた。
「おまえたちは掃除をおろそかにしすぎだ! 何だ、このほこりは!!!」
重箱の隅をつつくかのように人差し指で棚をなぞる。彼はそのほこりばかりに気をとられ、昨夜までそこにあったはずのものが失われていることに気づかなかった。
「先生!」
最初に気づいたのは、藍景儀だった。
何故なら、藍景儀は密かにそれを気に入っていたからだ。そうでなければ、すでにそこに置かれて久しいその存在に、誰が注意を払っただろう。
藍景儀は心底驚いていた。叫ぼうとして、目と口を同時に開いたところで、はっとしたように声を抑える。
「先生……亀がいません。無くなっています……」
****
その知らせはすぐさま持ち主である魏無羨と藍忘機に届けられた。
内緒で置いたはずの陶磁の亀の置物は、あの後すぐ、本来の持ち主が判明してしまった。
その口に鍵をかけることのできない魏無羨自身が、投げ輪の技自慢をして、ポロリと漏らしたからだ。
「……」
黙して語らぬ藍忘機を横目に、魏無羨は大きくため息をついた。
「欲しい奴が持って行ったなら、それでいいだろ?」
「それでいいんですか!」
藍景儀が異常なまでに食い下がる。
その後に続いた言葉に、魏無羨は顔色を変えずにはいられなかった。
「あれは、含光君からの贈り物だったのでは!?」
ぽちゃん……
神仙の使いでも通り過ぎたのだろうか。
一瞬の静けさが訪れた。
その時……。庭の池にいくつもの水紋が広がり、雲深不知処に雨が降り出した――
****
「問題は、あんな……いや、あの亀の置物を誰が、何の目的で持ち去ったか、だ」
「うん」
こぽこぽと茶を注ぎながら、藍忘機は軽く頷いた。
結界が張り巡らされている雲深不知処を自由に行き来できる者と言えば、姑蘇藍氏以外には、令牌を持つ魏無羨ぐらいしかいない。
……となると、姑蘇藍氏の弟子たちを疑うことになるが、今さら、あの亀を持ち出す必要が誰にあったというのだろうか。
「そう言えば……」
それまで沈黙していた藍思追が、思い出したようにつぶやいた。
「最近、玄武さんの姿が見当たりませんね」
玄武……。
ある日突然、雲深不知処に現れた、屠戮玄武の仮の姿だ。頭が少々いかれた感じのあの大亀の気配が、言われてみれば感じられない。
「さてはあいつ、亀の国に帰ったか」
手を焼かされていた藍景儀が安心したように肩をすくめた。
「景儀、亀の国ってなんだ?」
「知らないんですか、魏先輩。なんでも東海の底に『龍宮城』とか言われる国があるそうですよ」
「龍……?」
「どうした、藍湛?」
「いや……」
龍宮城という言葉に、藍忘機が微かに反応した。
いつも多くは語らない藍忘機が考え込むと同時に、藍思追が口にする。
「玄武……朱雀……次は、青龍でも出てくるんでしょうか……」
「龍と亀に何の関係があるんだ、思追」
片膝を立て、姿勢を崩した魏無羨が陳情を手の上で回しながら、笑った。
「海の中は俺たちの管轄外だ。そういうことは神仙にまかせておこう」
「はは……ですよね」
「……」
藍忘機は黙ったまま、片眉を微かにあげた。
「……ってことで、藍湛。俺はおまえのことをものすごく愛してるけど、あの亀は諦めることにする」
「愛してる」の部分に過剰に反応した藍思追が顔を赤らめ、藍景儀は茶を噴き出した。
****
雲深不知処に降り出した雨は、止むことを知らなかった。
一日目……。
二日目……。
三日を過ぎた頃、各地で雨による被害が出始めた。
湖や河川は氾濫寸前になり、山では土砂崩れが発生した場所もある。
姑蘇だけではなく、雲夢、清河、蘭陵からも知らせが届き、彼らは頭を悩ませた。
いったい、天はどうしてしまったのだ――――
四日目の朝。
魏無羨は目覚めると同時に、自分の体に異変を感じた。
つま先から軽い舌触りが伝わり、それは徐々に足首、ふくらはぎ、そして大腿へと上がってくる。
「ちょ、ちょ、ちょっと待て、藍湛!」
このような状況では、さすがにこれはひんしゅくだろうと柄にもない考えを抱いた魏無羨は、あくまでも仕方がなく、本当に仕方がなく、その感触に身を委ねた。
「……魏嬰」
その声は意外と遠くから聞こえた。
とても同じ褥にいるとは思えぬほどに。
魏無羨はその目を見開いて、顔を横に向けた。
数歩離れたその先に、身なりを乱すどころか、息遣いさえ一糸乱れぬ藍忘機が立っている。
では、この舌触りは何なんだ?
魏無羨は慌てて布団を蹴飛ばした。
「へ――――――――?」
「蛇か……」
「と……と……とってくれ、藍湛! あ――っ、やめろっ、そこを噛むな! 噛むんじゃない!!!」
雲深不知処に魏無羨の悲鳴が響き渡った。
いつものことだ……。
もはや姑蘇藍氏の誰もが、その喘ぎに反応することもなく、黙々と朝の清掃をし始めた。
****
幸い……。
魏無羨の貞操は守られた。
たとえ蛇とは言え、大事な部分にまで舌を許す気はさらさらない。
藍忘機は無表情に蛇の顎をつかむと、ひょいとそれを持ち上げた。とたんに蛇はくねくねと折られた紙へと姿を変える。
「式神か……?」
「……文字が……」
藍忘機は先ほどまで蛇だった紙の折り目を丁寧に広げていった。
「助けてくれ……玄武」
「は?」
魏無羨は横になっていた体を起こした。
「……『東海の……小島さんちの……屋根裏に……我、住みついて……蛇とたわむる。助けてくれ、玄武』と書かれている」
藍忘機が淡々と読み上げる言葉を聞いて、魏無羨は脱力し、四肢を再び投げ出した。
<続きはしない>
←おいっ
深く考えて書いたわけではないので、破綻してるかもしれん(笑)
怖ろしいほど、内容がないな。
でも、自分は楽しかった(ΦωΦ)フフフ…