なんだかふと、浮かんでしまったので…。

今日は、これ上矢印の続編。

 

いつも以上に、内容はない(笑)

そして…。タイトルにも深い意味はない。

(仮)タイトルから考え直すのが面倒くさかったニヤリあせる

 

画像引用元:©Shenzhen Tencent Computer Systems Co.,Ltd.

ちなみに、単なるイメージ画像なので、内容とはなんの関係もない。

 

 

『深い絆は、ため息を紡ぐ。』

 

 

 その知らせは、蘭室にて自習中だった藍思追の元へすぐに届けられた。

<病篤し。すぐ、静室に来られたし>

 何ともクセのある、味わい深い筆跡……。

 見紛うことなき、魏無羨の手跡だ。

 課題を参考にしようと隣りに陣取っていた藍景儀が、首を伸ばし、脇から文を覗きこむ。

「……今度はいったい、何が起きたんだ?」

 藍景儀のつぶやきに、藍思追は彼らしくもなく大きなため息をつき、のろのろと立ち上がった。

 

 

 

「魏嬰……」

「何?」

「……私は、君が時々、わからなくなる」

 陽気に歌を口ずさみながら、魏無羨は布団を優しく整えた。まっすぐ見つめる藍忘機の、その色素の薄い双眸には、若干の困惑が浮かんでいる。

「藍湛。俺の一番の理解者が何を言うんだ。具合が悪い時には休むのが最良の策。そうだろ?」

 被せた掛け布団の位置が気に入らないのか、もう一度かけ直して整えると、魏無羨はぽんぽんと手で抑える。

「…………」

「お前は大人しく、思追が来るのを待ってろ」

 つい先日、藍思追をあれほど困らせたことなど、まるで気にしていない魏無羨に、藍忘機は吐息し、そして、かすかに口角をあげた。

 

 

 

「俺の気のせいか? 思追」

 藍景儀が振り向いた時、藍思追はゆううつな表情を浮かべ、特別ゆっくりと歩いていた。隣りに並び直し、再び一緒に歩き始めても、いつの間にか数歩の距離ができあがる。

「お前、もしかして、静室に行きたくない……とか」

 いまさらながらのその問いに、藍思追は力なく微笑んだ。

「景儀……。君がもし私だったら、喜んで行くと思うよ」

(それにしても……。最近の含光君は、どうしてしまったのだろう。忘機琴の件と言い、病だなんて……)

 思わず考え込み、また足が止まる。

「思追。俺が喜びそうなことをそんなに嫌がるなんて、それってもしかして、遠回しに俺とは気が合わないって言ってるのか?」

「……?」

 唐突なその言葉に、藍思追は目を見開いた。

「ああ、違うよ、景儀。君は……この間の『問霊』を聴いていないから……」

「だって、お前が教えてくれないからな」

「……景儀……そんなに聞きたいの?」

 突然、真剣な表情を作り、藍思追は藍景儀の両肩を掴んで、その顔をぐいっと覗き込んだ。

「あ……いや……あんまり、聞きたくないかも」

 鼻先に迫る藍思追の眼差しにたじろぎ、肩を掴まれたまま藍景儀が数歩後ずさる。

 とんっと背中が樹木に当たったところで、藍思追は両手を放し、はうっと頭を垂れた。

「景儀……大人になるって、大変だよね」

 

 

 

「遠慮しないで、入れよ、思追」

 子供の心、大人は知らず……。

 静室の外から慎重にかけられた問いかけに、魏無羨は陽気に声を上げた。

<病が篤い>と呼び出したわりに、その声色からは、心配の感情はひとかけらも感じ取れない。

「では失礼いたします、含光君、魏先……輩」

 寝台に視線を送る藍思追の口が、開いたまま固まった。

「どうした? 思追」

 藍思追の肩越しに覗いた藍景儀が、続けて瞼を瞬かせる。

「あの……魏先輩、これは……」

 寝台に横たえられていたのは、藍忘機の剣・「避塵」だったのだ――。

 

 

 「忘機琴」の反乱を「避塵」は羨ましく思っていた。

 何故なら避塵は、最近めっきり必要とされることもなくなり、反乱を起こしていることさえも気がついてもらえなかったからだ。

 戦いのない平和な世の中は尊ぶべきもの。

 だが、避塵の心は沈んでいた。

 二人の情事に弾き飛ばされ、蹴られるぐらい何だというのか……。

 存在を利用されることの方が、辛い時もあるのだ。

 だからやっとその機会が到来した時、避塵は鞘から抜かれることを断固拒否し、抵抗してみせた。

 

 

 

「……また『問霊』ですか……?」

「そうだ。お前の優秀な腕前は、前回、確認済みだからな」

 魏無羨が陽気に笑った。 

 久々に夜狩に出掛けたその先で、避塵が鞘から抜けなかった時の藍忘機の表情を思い出し、さらに身を捩って爆笑する。

「笑うな、魏嬰」

 魏無羨の腰に回した手に力を込め、藍忘機は魏無羨の脇腹を軽く抓りあげた。

「何故、ご自分でやらないんですか、含光君。忘機琴はもう、使えるんですよね」

 がっくりと肩を落としているように見える藍思追に代わり、藍景儀が素朴な疑問を口にする。

「当然、やってみたさ。答えは【藍思追を呼べ】だ」

「すごいな、思追。避塵に名指しされてるぞ」

「……景儀……私は時々、君が本当に羨ましくなるよ」

 今度は一体、どのような情事風景を聴かされるというのか。好奇心はあれど、遠慮したい気持ちの方が強い。

 そんな藍思追の思いを読んだのか……。

 魏無羨が唐突に切り出した。

「大丈夫だ、思追。尋ねるのは、お前が知りたいことだけだ。前回のように、お前が手を滑らせなければ、あれこれ聴かされることはないぞ」

「……思追。『問霊』は聞いた質問以外のことには応えない。忘れたのか」

 二人の尊敬すべき先達の言葉を聞き、藍思追はハッとした。

 いきなり訪れた真面目な雰囲気に、藍景儀だけがひとり取り残され、視線をきょろきょろさせる。

「そう……でした。私が『知りたく』ないことは質問しなければいい……」

「実際のところ、何で『避塵』が反乱を起こしたかの見当はついてるし、『忘機琴』の件で大方の解決法も予測済みだ。『避塵』がこのまま封剣するのもまたやむなしと、俺たちは思ってる。……だよな、藍湛」

「……うん……」

 寝台に横たわる避塵に言い聞かせるかのように、魏無羨は明るく声を張り上げた。

「だから、思追。避塵の御指名に遠慮なんかするな。お前の聞きたいことだけを聞け」

「……私の聞きたいこと……」

 藍思追の『問霊』に、避塵はあっけなく陥落した。

 

 

「思追、今回もまた、俺に教えてくれないのかな」

 最後の最後まで、蚊帳の外に置かれた風の藍景儀が寂しげにつぶやいた。

 静室を訪れる前は鈍かった藍思追の足取りは軽く、悩みが吹っ切れたように見える。

「景儀、君、本当に『問霊』をきちんと学びなよ。世界が広がるよ」

「……世の中には、知らなくてもいいこともあるんじゃなかったのか?」

「知ったらもっと楽しいこともある」

 藍思追は、藍忘機の剣・「避塵」にただ、こう聞いたのだ。

 

【僕たちはそれでも「含光君」が大好きだよね?】 と。

 

 

<終>

 

内容はないけど、私の藍湛愛は伝わったかと思う

((´∀`))ケラケラ

 

「避塵」の惨劇(笑)は、『魔道祖師』第四巻の番外編「香炉」を読んでる人にしか通じないかもしれないけれど…。

読んでなくても、「ひええええええガーン」なことに使われたのだと、思ってくれればそれでよし(笑)