凍える空気の中、上野の森美術館で2月4日まで開催中の
「生頼範義展」に行ってきました。
生涯3000点の中から選ばれた絵の中には
下絵というにはもったいないような着彩作品があって、
これは貴重なものでした。
入ってすぐの部屋には手がけた装丁がタワーになって陳列されています。
圧倒的!
カラーも白黒も一眼で生頼作品とわかるタッチです
いずれの作品も手で描き出すことにこだわった絵肌は
近くに寄って鮮やかな手捌きに、離れて観てその空気感に感嘆します。
下絵と完成作品を並べた展示もあって、
絵を描く人は是非観に行っていただきたいです。
非常に特徴的なゴージャスボディーの美女たちに混じって
少女めいた絵に惹かれて見ると
描かれていたのはジャンヌ・ダルクでした。
迷い無く描かれたように見える筆致に、上手い人は仕事も早いのであろうと感心しました。
もちろん、その後ろにある研鑽の日々は言うまでもありません。
後の世代のイラストレーターにも多くの影響を与えた作家の数々の作品を撮影できる部屋もあってじっくり楽しめる展示です。
生頼範義作品に影響された作家として、イラストレーターの寺田克也さんと造形作家の竹谷隆之さんのコラボレーションの立体展示もありました。
幻魔大戦をテーマにしたカバーアートからのベガ。
堂々たる体躯の細部にプラモデル、背中のディテールは髭剃りなどパーツの転用もあって楽しい。このあたりはギャラリートーク中のご子息生頼太郎さんの裏話から。
撮影禁止の部屋のゴジラは2018年カレンダーになっていたので買って帰りました
絵描きとして、長きに渡って一線で活躍したイラストレーターとして、生涯の一端を垣間見た思いがします。
絵を志す若い方にも是非観ていただけたらと思います。
暖房の効いた館内で作品を観てのぼせたせいか外の冷気も心地良く、
ついつい上野公園内に咲く花に吸い寄せられました。
この時期、梅かと思えば桜。
プレートによると十月桜という品種だそうです。