[本] 落ち着け / コロナ後の世界 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

主に旅行・運輸業への刺激策を例に出して、経済と医療のどっちを優先すべきかとか、いまの状況は第2波が来襲しているのかいないのか、といった新型コロナウイルス関連の二者択一の議論がTVでやたらと目につきます。

たしかに、4月以降に迎えた患者数のピークが低下し、記者会見に出てくるのも加藤厚労相から西村経済再生担当相にかわり、ちょっとイケイケモードになっていました。

でも、まだ外国人の日本への入国には制限かかかっています。世界の新規患者数も28万人(7/24)でうなぎ上り、死者も1日1万人近くにのぼります。
世界規模で見れば、まだ第1波の真っ最中です。
輸出は自動車をはじめとする機器類は諸外国の景気回復が欠かせません。
輸入もエネルギー源、半導体・通信機・コンピュータ、非鉄金属といった産業の立ち上げに欠かせない品目が上位を占めています。

国内需要の比率が高いとはいえ、世界の動きを観ずに日本の社会の行方を考えていては見落としが出てしまいます。


   ◆      ◆      ◆

見方はいろいろありますが、まだまだ予断を許さない緊迫した状況が続いていることは間違いなさそうです。

といいながら、日々の感染予防に目を凝らすと同時に。私は「コロナ後」が気になっています。
今は60代でフルタイムで働いて収入は得ているにしても、この先30~40年生きていくと仮定して考えると、どのように暮らしを成り立たせていくのか、選択の岐路に立っています。
そこにコロナ禍です。

一度、広く視野の利くところに立って整理しようと考えて手にとったのがこの本です。
ピンポイントの答えより、自分が選択するための考え方・アプローチの参考になることを期待しました。
結果は、手にとって正解でした。

 

2020年刊
お気にいりレベル★★★★☆

 

生物学・生理学、AI、人間の強さと柔らかさの限界、人材論・組織論、認知科学、デジタル・マーケティング、経済学といった分野の世界的に活躍する専門家がつぎのような視点から見解を寄せています。

独裁国家・民主国家の違いとパンデミック対策、景気回復の時期、蓄積されたデータの価値、データと誤解、AIにとって変わられる職業、新しい生活様式、定年の意味、これから必要になる人的資質、GAFAの価値観と正体、格差社会、ジャーナリズムとパンデミック報道 etc.

特定の国の例を引き合いにだしながら世界のこと、日本の社会への助言など、私にとって身近なことに焦点を絞って語っています。


   ◆      ◆      ◆
 

「落ち着け」(スティーブン・ピンカー)


このひと言に気が楽になりました。
進化心理学の専門家スティーブン・ピンカーは、人間の仕事がAIに奪われるという恐怖を前にこう言い切ります。
目の前の危機に惑わされないように、過去と現在を比べ、データで現在の状況を冷静に判断することを勧めています。そして、過去の進歩のように、これからも進歩できると楽観的であれと。

また、デジタル・マーケティングの第一人者スコット・ギャロウェイは、GoogleやFacebookのビジネスモデルと検索アルゴリズムの概要を説明して、それらが世界のあちらこちらで見られる社会の二極化を招いていると説きます。
これは、前出のスティーブン・ピンガーの言及している、メディアがいいニュースをとりあげないこととともに、メディアの限界や特性を見極めないと、自分の見解が歪んだものになるという警鐘に出会い、あらためて私自身の立ち位置をチェックしました。


   ◆      ◆      ◆

 

 

 

これまでいろいろな日本が抱える「問題」を見てきましたが、日本は思ったほど悪くない、というのが私の見立てです。どの問題にも解決の道筋が見えています。あとはやるかやらないかです。
(ジャレド・ダイアモンド)

 

明治維新や太平洋戦争の敗戦の極端な例をを引き合いにしながらも、これはなるほどと納得しました。
そしてこれは、国家という大きな話ばかりでなく、私個人についても言えそうです。



[end]

 

 

 

 

 

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