神社に参詣するのは初詣くらいという人がほとんどでは?
昨年は珍しく神社がTVや新聞・雑誌をにぎわせました。
伊勢神宮で神を祀る本殿を新築し、ご神体を移しました。
20年に一度の遷宮です。
伊勢神宮はパワースポットとして人気の高い観光地です。
今でこそ足の便はよくなりその気になれば、
訪れることができる地です。
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それが江戸時代ともなると、庶民の移動手段は徒歩です。
今ほど簡単に伊勢を訪れることができる訳がありません。
昔、何日も、何十日もかかる旅は、
家や職場をそれだけの期間空けられる環境、
歩くことができる体力、そして費用の工面に、
さぞかし苦労したことでしょう。
◆
なのに、江戸時代には社会現象といえるほど、
我もわれもと伊勢に向かったようです。
旅人たちも、旅人を受け入れる人たちも、その行動は
そのきっかけといい、その人数といい、振る舞いといい、
読む前に漠然ともっていた想像を遥かに超えていました。
ほんとびっくりです。知恵と心意気に脱帽です。
- お伊勢参り - 江戸庶民の旅と信心 (中公新書)/中央公論新社
¥840 Amazon.co.jp
江戸時代、けっこうな人数でお伊勢参りする例は
決して珍しくなかったようです。
現代ならPCの前でポチッとやれば、
宿や食事は旅立つ前に簡単に手配できます。
これが江戸時代となると、
どうやって大人数の旅の宿や食事を賄ったのでしょう?
ましてや徒歩の旅となれば、
予定通りに着く保証などありません。
雨がふれば、大きな川を渡るのに何日も待つことも。
江戸時代の大勢の人たちの旅に興味は尽きません。
そこには、そんな旅を支える仕組みが、
その時代なりにしっかりとあることを知りました。
◆
この本の価値はそんな疑問の答えを得ることに加え
著者をはじめとする学生たちが実際に大人数で、
お伊勢参りした体験が書かれています。
それも何十回にもわたり続けられています。
江戸時代のお伊勢参りの再現です。
◆
これが継続的に再現されるうちに、
交通の便がよくなり失われてしまったはずの、
昔こうした旅を支えていた仕組みまでが、
自然発生的に再生されている様が描かれています。
旅人と受け入れる人々との心動かされる交流です。
◆
200ページ足らずで好奇心をかきたてられ、
思わぬからくりに出会い、心温まる思いができました。
新書にも目が離せませんね。
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