見憶えのある風景 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

きのうは、暖かい陽射しに誘われて、
ツレアイと散歩にでかけました。

横浜市内から電車を乗り継いで1時間ほどかけ、
地下鉄有楽町線江戸川橋に着きました。

   

最初の目的地は鳩山会館、鳩山前首相の実家だったところです。

幹線道路に面した門をはいり、長いアプローチを登った丘の上で、
手入れのいきとどいた広い庭と大きな洋館は、
まさに「お屋敷」という言葉がぴったりです。

    

鳩山会館を後にしてまもなく、ツレが私に訊きました。

  「ねえ、ちょっと寄ってみていいかな。」

学生時代、彼女はここから歩いて行ける距離の場所に
住んでいたことがあるんです。

    

彼女が住んでいたあたりに向かい、
ふたりで歩いた記憶のある道をたどります。

  「ずいぶん変わったね。」
  「ここには何があったんだっけ?」

背丈を伸ばした建物たちを、彼女は眺めながら、
すこし残念そうな声でぽつりとこぼしました。

  「そうそう、この坂。」

江戸時代の名称を残した、
目にした憶えのある坂道にさしかかり、表情に明るさがさしました。

    

  「あっ、あった。そのまんまだあ。」

あのころ住んでいた建物は姿を変えずに、彼女を待っていました。
古びたコンクリート造りの建物を見上げています。

  「ほら、あの部屋だよ。」

何年かをすごした部屋の窓を指さして、声は大きくなりました。

    

  「あんなところに、よく住んでたなあ。」

狭いスペースを、ルーム・メイトとシェアして暮らしていました。
ツレはそのルーム・メイトと今でも、便りをやりとりしています。

    

そのあと、ファミレスで、飲み物と甘いものでひと休みしました。

あの頃、よくふたりで通った喫茶店は、
建物は残っていたものの、店は閉じられていました。

  「まだ早いけど」

とツレはしばらく休んだら帰ろうと言いだしました。

この後あれこれとスポット巡るより、
久々にに甦ったあの頃の記憶のなかで、
いましばらく過ごしたいのかもしれません。


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