きのうは、暖かい陽射しに誘われて、
ツレアイと散歩にでかけました。
横浜市内から電車を乗り継いで1時間ほどかけ、
地下鉄有楽町線江戸川橋に着きました。
◆
最初の目的地は鳩山会館、鳩山前首相の実家だったところです。
幹線道路に面した門をはいり、長いアプローチを登った丘の上で、
手入れのいきとどいた広い庭と大きな洋館は、
まさに「お屋敷」という言葉がぴったりです。
◆
鳩山会館を後にしてまもなく、ツレが私に訊きました。
「ねえ、ちょっと寄ってみていいかな。」
学生時代、彼女はここから歩いて行ける距離の場所に
住んでいたことがあるんです。
◆
彼女が住んでいたあたりに向かい、
ふたりで歩いた記憶のある道をたどります。
「ずいぶん変わったね。」
「ここには何があったんだっけ?」
背丈を伸ばした建物たちを、彼女は眺めながら、
すこし残念そうな声でぽつりとこぼしました。
「そうそう、この坂。」
江戸時代の名称を残した、
目にした憶えのある坂道にさしかかり、表情に明るさがさしました。
◆
「あっ、あった。そのまんまだあ。」
あのころ住んでいた建物は姿を変えずに、彼女を待っていました。
古びたコンクリート造りの建物を見上げています。
「ほら、あの部屋だよ。」
何年かをすごした部屋の窓を指さして、声は大きくなりました。
◆
「あんなところに、よく住んでたなあ。」
狭いスペースを、ルーム・メイトとシェアして暮らしていました。
ツレはそのルーム・メイトと今でも、便りをやりとりしています。
◆
そのあと、ファミレスで、飲み物と甘いものでひと休みしました。
あの頃、よくふたりで通った喫茶店は、
建物は残っていたものの、店は閉じられていました。
「まだ早いけど」
とツレはしばらく休んだら帰ろうと言いだしました。
この後あれこれとスポット巡るより、
久々にに甦ったあの頃の記憶のなかで、
いましばらく過ごしたいのかもしれません。
[end]