プルプル・・・。



「は~い。どーしたのぉ~?」




サキは、3回コールで出た。




「いつもお世話になっております。

 真島の妻ですが・・・・」


「(ハッ?!)」



「どう言うお付き合いですか?」


「何がです?」


「何が?じゃなくて、何なんです?」




何を、どう言うかもわからないまま、

感情のまま電話しちゃったので、

何が?って言われても、そりゃ、何もない・・。



ノリは、

「やめろよ!返せよ!」

と、携帯を取り返そうと必死だ。


その姿は、滑稽だ。


もちろんアタシも・・。





そう言えば、携帯のメール。


まだ、携帯メールも主流じゃなかった頃だった。

機械物に疎いノリからイロイロ聞かれたし、教えたりした。



「お前、ツーカーじゃん?

 ドコモからツーカーって、メールできんの?」


「どーやってやんの?」


「え?普通にできるでしょ?」


「何?アタシにメールくれるの?嬉しいじゃん!」


「まぁね。ツーカーってさ・・・・・」



アタシはノリからメールが来るのが嬉しくて、

いっぱい教えてあげたのに・・。


なんの事はない。

サキもツーカーなんじゃん。









「とにかくいい加減いしてください!!」



と、言うしかなかった。


何のまとめもないまま、

サキは何も言わず一方的に電話を切った。


まだ、アタシは興奮している・・。



そのまま携帯を握りしめていたら、

ノリに取り上げられた。



「おまえ、いい加減にしろよ。」





ノリの冷たい目に、悲しくなる。


自分に・・。




でも、一度爆発したら、もう止められない。


喧嘩の度に、物に当たるようになった。

ノリに、手を上げるようになった。






「もう、いい加減にして!」


「全部知ってるんだから!」


「サキの話しなくなって、怪しいと思ってたけど

 どーゆー事!!青木ユミって誰?!」


「えっ?お前なんで青木知ってんの?」


「携帯見てるのか?」


「そーだよ、夫婦だったら見てもいいんだから!」


「そーなのか?でもサキもユミも関係ないよ。」



ま、そう言うだろう。

冷静な時は、そう言う展開もわかる。


しかし、興奮状態の時にそんな会話は成り立たない。



「ふざけんなーーー!!!全部全部我慢して、がんばってやってきたのに!」


「ノリを遊ばせる為に、がんばってきたんじゃない!!!」


「どうして、どうして・・。」



もう止まらない。


アタシは、ノリを叩き続けていた。

髪の毛を引っ張り、ケリも入れて・・。

爪を立てて、顔を引っかく・・。



「やめろ!やめろ!」



ノリもそれしか言わない。


でも。

自分でも止められない。






悲しかった。

こんなノリにも、自分にも。


どうにもならない気持ち。






そして、

ノリの携帯を取りに行き、サキに電話した。






車で30分。

場所は大体しかわからない。

行った事もないレストラン。

今日は7時に終わるから、その時間に合わせて。


子供たちにご飯を食べさせ、ノリの夕飯の支度をして

車に乗った。



この間、妙にドキドキした。

妄想癖があるのか、あんなこんなのシチュエーションを

思い浮かべ、泣いたり笑ったり悲劇のヒロインだったり。


全然道がわからない。

しかも時間がない。

焦る気持ち。


近くの人に尋ねると、ナビで探してくれた・・。

しかし彼は使い方がイマイチで、四苦八苦。

「時間がないからもういいです・・。」って

言い出せなくて40分も費やした。


そして、上がりの時間の7時を過ぎた。


「もう、だめだ・・。これも運命なのかぁ。」


とりあえず、ナビの彼にお礼を言いまた探して見る。







何のことはない、次の交差点を右だった・・。

8時ちょうどに目的地に着く。







「ノリ?今迎えに来たんだけど、どこにいる?」


「えっ?もう帰り道だよ。」

「お前、なんでそんなところにいるの?」


「逢いたかったからさー。」

「じゃ、とりあえず帰るね。」




帰り道もまた妄想!?

すごくすごく気分がヘコむ。

イライラする。



30分掛けて帰ってきたら

ノリは、夕飯を食べていた。


かなり機嫌が悪い。

シカトだし。


なんで?

なんで、アタシがシカトされなきゃいけない訳?









アタシは、また突然キレる!!!






休憩時間にメールが来る。



「今日は、忙しい。」

「昼飯は、カツどんだった。」

とか。



多分、休憩時間は暇だと思われ・・。


このメールは、アタシとサキの二人に送っている。

全く同じ文面で。


帰りも「今から帰る。」のメール。

それからアタシはノリの為に夕飯を作る。

子供たちのご飯が終わってからの支度なので

二度手間だけど。


友達に話すと

「作ったものチンでいいじゃん。」

「2回もやるなんて無駄だよ。」

と言われてもアタシは出来なかった。


温かい物を温かく出したい。


そうだなぁ。

コレもアタシが

「こーしなきゃいけない。」

の一つだったもかも知れない。



ある日の休憩時間。

「今日の昼飯は、ハンバーグだったよ。」


アタシは速攻の返事を返す。

サキよりも早く。

彼女よりもあなたを心配してるのよ。の思いを込めて。


「そっか、疲れてない?今日は早く帰る?

 おいしいご飯作っとくね~。」



いつもなら、すぐに返事が来るのに。

暇なはずだし。

でも、すぐに返事が来なかった。

で、返信は15分後。


「参ったよ。残業してくれだって。

9時までだから10時には帰る。」



ん??

おかしくない?

またまた、「ピン!」ときた。


サキと約束したに違いない。


「よし。迎えに行こう!」




アタシ 「どうして?」


ノリ   「いや、小遣い欲しいしさ、

      サーフィンもやりたいし。

      家にも金入れなきゃいけないだろ?」


アタシ  「なんで?仕事してるんだし、休みないじゃん。」


ノリ   「いや、家にいても仕方ないしさ。

      もう、決めてきたし。」





なぜ?

アタシも土日しか休みじゃない。

家の事もしなきゃいけないのに、子供達はどうするの?


それで疲れた顔して帰って来られるのは、アタシも辛いよ・・・。

家にいても仕方がない。って、どう言うこと?





そして、決めてきた仕事は、どっかのウェイター。

え?ウェイター??

ウェイターの仕事が悪いわけじゃない。

ただね。

土日使って限られた時間での副業であれば

時給850円はないんじゃない?

am11::00~pm6:00までの7時間。

月7日出勤。41,650円!?

もちろん助かるけど、ノリのお小遣いにもなるんだろうけど、

もっと効率の良い仕事ならともかく、

体も疲れるし、アタシも淋しいよ。

でも。

初日は、次男の始めての運動会の日に

ウェイターの仕事が始まる。