親子

今日は一日いろいろ感じさせられる日だった。

カットさせてもらうようになって１２年。

最近ではスタッフにバトンタッチしてたけど、今はすべてを私がこなす毎日。

５年ぶりくらいにカットさせてもらった。

１０歳のときから病気を発症した彼女。

ずっと面倒を見ていつもお父さんが連れて来てくれる。

言語にも問題があり、知能は１０歳くらいのままの彼女。

いつも何かを訴えてくれるけど分からなかった。

だからお父さんの言われるがままカットする。

落ち着きがないから急いでカットを終わらせる。

そんな繰り返しを見てきた。

でも久しぶりにカットさせてもらえるこの日が何故かとっても楽しみだった。

そしたら軌跡が起きた。

彼女の喋りはいつもと同じ。

だけど何を言ってるのかが分かる。

週に１度くらいしか洗えない頭は汚れがたまる。

シャンプーしてて何故か彼女が愛おしくてならなくなり、自分が納得するまで洗ってた。

その間にお顔のお手入れもさせてもらってツルツルにさせてもらった。

いつもじっとしてられない彼女が今日は全く動かず、シャンプー台から上がったときに一言。

『気持ちよかった』

ちゃんと聞こえた。

涙が出たよ。。。

その後のカット中、お父さんがいままでのことを沢山語ってくれた。

辛いことも苦労もいっぱい乗り越えての笑顔なんだと感じた。

『この子は何をしでかすか分からないし１０歳から時が止まってるけど、悪いことは何にも知らない心の純粋な子。これがこの子のとりえだよ』

この親子に出会わせてもらい私は１２年間かけて見せられ今日気づかされた。

親が子を想う愛の深さ。

彼女がまだ健常者だったころも障害者になった今も子を想う気持ちは変わらない。

彼女のお肌はとってもツヤがある。

目がとってもキレイ。

内側の純粋な心は外側にも影響がある。

そして周りにいる人にも影響を与える。

お父さんのぶっきらぼうな態度の内側から感じられる優しさ、強さ。

この親子の出逢いは私の心を内側に向かせてくれるためのご縁だったのかと想えるくらい、心の振動があった。

初めて赤ちゃんを抱く彼女。

悠太郎は笑って彼女をぎゅっと握る。

彼女の優しさが伝わってる証拠。

今年８７歳を迎える元気なお父さん、彼女６０歳。

彼女が元気なお父さんを生み出してる。

お父さんがありのままの子を受け止めてるからこそ、今の彼女がある。

ふたりともその年齢には見えない若さがある。

これこそ、内側の美しさがオーラとなって輝くのだろう。

“ありのまま、あるがままを受け入れるようになって今の平和がある”と魅せてくれたこと。

私の仕事は相手を想う心が姿、形となって現れる。

そう気づかせてもらえたことに感謝


外側の世界で感じられる“幸せ”“心地良さ”には

必ず限界があります

得たと思えば失う宿命なのです

内側にある

“幸せ”“心地良さ”は

決して失われることがありません。

by　アーシャ