「高級料理屋では、
自分の好きなものばかり
食うわけにはいかないが、
寿司屋では、
まぐろ、あかがいを食うというように、
いろいろなものが食える。
この点、食べ物の自由がある。
したがってこれほど重宝なものはない。
しかし、これは、寿司屋と呼ぶより、
自由料理屋と呼んだほうが
ふさわしいように思う。
従来とはまったく様式の異なった
新日本料理が生まれたのだ。」
―北大路魯山人
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寿司職人ではないですが、
現代の寿司を語るのに、
この方の存在は避けて通れない気がしました。
書家、陶芸家などさまざまな顔を持ち
美食家として、寿司の魅力を世に広めたひとりです。
この文章は、戦後まもなくの随筆からの抜粋。
現在では「伝統」「老舗」と呼ばれる
“椅子のある寿司屋”が、戦後に生まれた
新しい日本料理屋のスタイルだ・・・
というところに、ちょっと驚きます。
伝統の中に、新しい息吹を作り出した
先達たちの心意気。
受け継ぐべきところは、そこにこそ
あるように思いました。