今日の読書「採用基準」 | ハーゼスト丸の航海日誌

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先週に引き続き、啓蒙書。
以前、自分の上司が元マッキンゼー出身者だったことから、ふと手に取った一冊です。


採用基準/ダイヤモンド社

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なんとなくイメージ的には「地頭が良い人を採用している」というイメージがある同企業ですが、実は一番大事なのは『リーダーシップ』。

12年間、マッキンゼーの採用マネージャを担当された著者が、
マッキンゼーの採用の基準である『リーダーシップ』について教えてくれる一冊です。


元マッキンゼーの上司が教えてくれたこと

私がマッキンゼーの上司を持ったのは、もう十数年以上前になります。
当時、勤めていた会社がある投資ファンドに買収され、
そこでやってきた社長がマッキンゼー出身者でした。

そのころの自分はかなりチャランポランだったのですが、
(若かったからか)事あるごとに教えを乞うていました。

教えていただいたのは2つ。

一つは物事を論理的に考える能力で、
『MECE(Mutually Exclusive,Collectively Exhaustive):漏れなくダブりなく』や、『ロジックツリー(問題を分割する手法)』などテクニカルなスキル。
そしてもう一つは『自分が主体者としてやりきる姿勢』だったかと思います。

本書は、「リーダーシップ」という言葉のもと、後者に関する人物像を語る一冊です。


全員に必要なリーダーシップ

マッキンゼーでは、「リーダーシップ」を重要な採用基準としています。
ここでいうリーダーシップとは、「チームの使命を達成するために、必要な事をやる人」。

「船頭多くて船山に登る」という言葉がありますが、リーダーシップは「単なる自分の主張を押し通す人」ではなく、目的に対し(自分の主張を押し通すのではなく)何が必要か考えられる人、と定義されています。
そしてリーダーシップを全員がもっているからこそ強い組織だできると説きます。



救命ボートの漕ぎ手を選ぶ

さて、ではどんな人がリーダーシップをもっているのでしょうか。
著者は「例えば救命ボートに乗らなければいけないとき、命を託して預けられる人」と言います。
極限状態で成果を求められるとき、そこに必要なのは「頭の良さ」でも「コミュニケーション力」でもなく、どんなに難しく普段は近寄りたくない人でも、それは「成果を出す人」。

自分に当てはめると、とても耳の痛い言葉で、
思わず胸に手をあてて考えてしまいました。

お世辞ではなく、私の今の上司にも通じるところかと思います。


人身事故で大行列のタクシー待ち、「私は〇〇に行きますが、同じ方面に行く方はいますか」と声を掛けれるか?

さて、リーダーシップというと仕事のシーンばかりが浮かびますが、
それは日常でも発揮されます。

例えば、人身事故の際の、ターミナルのタクシー乗り場。
緊急事態でみんな急いでいるはずで、
皆の利害は「早く目的場所に移動したい」であることは明らか。
目的を達成するには、同じ方面の方がまとめてタクシーに乗った方が効率的なはずですが、その一言を発せるひとはなかなかいません。

このような極端な場でなくても、
全体利益を見据えて行動できるかは重要なリーダーシップの要素です。


うーん、書くほどにさらに胸が痛くなってきましたが…


リーダーシップとは「自分で自分の人生のハンドルを握る」こと

仕事の進め方からプライベートの行動様式まで、
マッキンゼーの採用には一見関係ない話も出てきましたが、
著者が伝えたかったのは上記の一文なのではないかと思います。

で、きっとリーダーシップを持つことで、もっと人生は自律的になるし、
キラキラしてくる。そんなことを伝えたい一冊ではないかと思います。


最後に・・・

さて、冒頭でお話した私の元上司の方ですが、
頭も良くいつもスマートな仕事ぶりでしたが、ぽろっと私に言った昔の思い出がとても心に残っています。

ある韓国系の外資企業を担当していたころ、連日連夜の徹夜にも関わらずハードな交渉を重ねる中で、クライアントから灰皿に注がれたマッコリを飲んだ思い出です。

自分の忠誠を示すため、灰が灰皿に沈んだ頃を見計らって一気に飲む。時間が経つと中毒になってしまうからね。彼は笑って言っていました。


物腰柔らかでいつもスマートで尊敬していた上司の一面に驚き、
より尊敬の念を深めた事を思い出します。

もう十数年もお会いしていませんが、そんな事を思い出させる一冊でした