実は自分はとても社会が苦手です。
というか、文系科目が苦手。
国語も、古文も、現代文も、もちろん日本史も世界史も。
子供と一緒に日本史をもう一度はじめから読み返してみて、
「今ならわかるかな?」と読み始めた本。
ビジネス書でもとりあげられるライフネット生命の出口会長兼CEOの一冊です。
仕事に効く 教養としての「世界史」/祥伝社

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中国の文明を加速させたのは、「紙」だった?
長く歴史に語られる、メソポタピア文明やエジプト文明の、他の文明との違いは何だったでしょうか。
著者は、それは「言語を長い期間残す方法が確立されていたこと」と解説します。
例えばメソポタミア文明では、文字は粘土板に刻まれました。
エジプト文明では壁画。つまり、文字で残すことができるから長い歴史を後世まで残すことができた。葉っぱに書き残すインドなんかは歴史が残らなかった。
で、中国では革新的な方法で文書を残すことができた。
紙です。
そして始皇帝は、この紙を使って、文書行政を行います。
文書行政とは、紙に伝令を書いて、各所に伝えるもの。
人づてとは違い、命令の情報にデータロスは発生しませんから、
確実に伝えることができる。
権力者が自分の信じる人間に『まるっと』任せる「封建制」から、
自分の伝令をそのまま実行できるようになった。そして、部下は能力こそが重要になった。
『官僚制』の登場。
この変化は、部下側にも変化をもたらします。
今どきの言葉でいうと「エビデンス」が残るため、
記録を残す近代的な手法が確立されました。
また、紙は軽く保存性も高い。
これにより、多くの歴史を中国は記録することができたといわれています。
現在の社会にも通じるところがありますね。
世界でも変わった国、人工国家アメリカ
歴史が苦手な私でも、
アメリカ大陸が1492年コロンブスによって発見されたと
教科書に書かれていることは知っていますが、
その後1620年のメイフラワー号での移住開始まで何が起きていたかは全く知りませんでした。
新大陸って、どのように開拓されたのでしょうか?
開拓というと、聞こえはいいですがある意味では原住民を侵略したわけですよね。。。
その答えの一つは、旧大陸(ヨーロッパ)からの病原菌による、
先住民の全滅なんだそうです。
コロンブスが新大陸に来て、コホンと咳をした。
その咳から、天然痘が一挙に広まり、先住民が壊滅的に減少したのだとか。
とまあ、上記のような歴史があったので、
アメリカは初めから歴史を持ち合わせていませんでした。
原住民が生きていればその歴史をアップデートした使ったのかもしれませんが。
そのような背景から、アメリカは初めから文書化された理想(憲法)を
元にした社会を作ります。
なんでも白黒つける契約社会であり、世界でも特殊な国と語られています。
これを言い換えると、何か問題があったとき、歴史をよりどころにしたり、
グレーな落としどころをに帰着させないのがアメリカということができます。
そんな人工的な国であること、
また先住民が壊滅したため、肥沃な大陸がどこまでも続き、
何度でも失敗できることが今のアメリカの風土を作った、と著者は語っています。
世界の警察であり、また人種差別や男女平等などの理想論の国として。
なるほど、確かにアメリカで生まれたスポーツは、アメフットにしても、
野球にしても、妙にルールがシステム化している気がしますね。
本書には、これらの内容以外にも、
イスラムや、ヨーロッパの王国の歴史た、
教養として知っておきたい世界の歴史が語られます。
受験でしか歴史を見ていないとどうしても点で見てしまいますが、
面でみていくとまた新たな発見がありますし、
教養という意味では全体感をつかんでいることが大事なのでしょう。
それは歴史という、人類共通の資産について、
何かしらの自分なりの「視点」を持っていることなのではないかと思います。
残念ながら私は基礎データが足りないため、
読みながらかなり眠くなってしまいましたが、
歴史に素養がある方は、是非。
また若い方にも、素敵な大人になるための教養としても一読いただければと思います。