今日の読書「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー | ハーゼスト丸の航海日誌

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ハーゼストのMURAKAMIです。

この記事、先週書こうと思ったのですが、
公開ボタンを押したつもりが押せていなかったようで、
公開されていませんでした。反省。

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー/新潮社

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嵐の二宮さん主演でドラマにもなっている作品です。
ストーリーについては極力書かないようにしていますが、嫌な方はネタバレ注意してください。


もともと本作は、小説新潮に連載されていたものです。
当初は政治家のルポタージユの予定だったのですが、
Number誌で「弱者の兵法」で取材した開成高校野球部の話があまりに面白かったため、
急遽変更されたのだとか。


ご存知、年間200人が東大に進学する、
超頭良い学校の代表ともいうべき、開成高校野球部のルポタージユです。


想像どおり、野球には恵まれない環境!

開成野球部は、強豪の高校と違って、普通の頭のいい学生の集まり。
どちらかと言うと運動は得意でなく、むしろ下手。
しかもグラウンドは共有で、全員集まる練習は週一度しか出来ないという
ハンディキャップがあります。

弱くても勝てる!そんな弱者の兵法とは

要は、普通にやってては、
毎日しっかり練習を積み重ねた学校には勝て無いという事です。
そこで生み出したのは「大量得点で、ドサクサで勝つ戦略」。

例えば大事なのは、打撃で思いっきり振ること。
守備は基本的な捕球が出来れば、ファインプレーは出来なくとも良し。


「必要十分条件な」練習方法


具体的には、守備はどんなボールが飛んでくるかわからないので、
技術を磨きこんでも効果が出にくい。基本的な処理が出来れば良しとしましょうと。

対して打撃は、必ず一試合最低でも一人三回出番があり、打てるチャンスがある。
打撃が爆発すればコールドに出来るので、ドサクサに紛れて勝とう、というもの。
勝つために必要最小限で十分な練習を指向しています。

多分サッカーみたいな、選手同士が接触し選手の能力差がモロに実力に出るスポーツでは
下手なチームは絶対競合に勝つのは難しいけど、野球のように多少でも偶然性があり、
選手同士が接触しないスポーツだからこそ。

実際、これで関東ベスト16に入ってしまうから大したものです。

開成の生徒の声が面白い!

この本で、実は一番面白いのは、学生の一言一言なんです。
決して体格や運動神経に恵まれていない彼らが、
自分の実力を踏まえて、客観的に野球というものを考えている。

理屈っぽいな~と思うところも多々ありますが、
彼らの妙に醒めてるけど子どもっぽい視点が面白い。

「勉強と違って、野球の試合は真面目である必要はないと思うんです。
勉強は真面目にやれば、それだけ成績は上がります。
でも野球の試合は真面目に一生懸命やろうとすると、それだけ緊張しちゃうんで、
むしろ不真面目が良いんじゃないでしょうか」


「大体、僕らみたいに運動神経が無い人間は、他の競技だったら、
その運動神経の無さがモロに出て、やりようが無かったと思うんです。
でも野球は違う。野球は運動神経がないならないなりにやりようがある。
投げ方にしても打ち方にしても、ちゃんと考えることでできるようになる。
哲学してるみたいで楽しいんです」




テレビドラマと違ってルポタージユ形式で淡々と描かれますので、
グッとくる感動とかはありません。

でも、どう考えても体格的には弱い開成野球部なりの戦い方を読むにつけ、
読後「俺も弱いけど勝つにはどうしようか?」みたいな事を考えさせられる本です。

ちょっと視界を変えたい、そんな時にお勧めの一冊です。