新創世紀(18話)神話創生-意地悪ばぁ~さん- | anemone-baronのブログ

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落書き小説根底にあるもの!
私の人生は、「存在しなければ、何を言っても正しい」という数学の存在問題の定義みたいなもの。小説なんか、存在しないキャラクターが何を言っても、それはその世界での真実なのだ。


キラとトラ、ね、二人はとっても仲良しで、いつも一緒に冒険の話を作ったりしてるの。

この日もね、「クォンタム 君の不確定な冒険」というすごく面白いお話を作ってきたんだよ。


だから、地域Dの広場で、子供たちを集めてその話を聞かてくれるんだ。

広場は、大きな木があって、その木の下にみんなが集まったの。

 

僕たちはわくわくしながら、広場の中央に座り、キラとトラが話し始めるのを待っていたんだ。

おやつの時間も近かったから、お母さんたちが手作りのムカデチップスや羊の脊髄ゼリーなんかを用意してくれて、それを食べながらお話を聞くことになったんだよ。


キラとトラの話が始まったよ。


 昔々、クォンタムっていう、ね、量子の神様がいるんだよ。

この神様ね、宇宙のちっちゃな粒子を動かすのが得意なんだけど、自分がどこにいるのかいつも分かんないの。


だから、宇宙のこの端からあっちの端まで、「自分、どこにいるの?」ってひょこひょこ走り回ってたんだって。

でもね、走るたびに、「速くなった?遅くなった?」って、どれだけ速く走ってるかもさっぱりわかんなくなっちゃって。

「もう嫌だ〜!」ってクォンタムが言いながらもっとビュンビュン走ってみたけど、それでさえもどこにいるのかさっぱり!

そのことを他の神様たちが見てて、クォンタムが次にどこにポンと出るか賭け事を始めたんだ。

「あいつ、次はどこかな?」「俺はブラックホールに一票!」「俺は、 シュレディンガーの箱の中!」ってね、クォンタムが見えなくなるたびにおかしくて。

クォンタムはね、鏡で自分を探そうとしたんだけど、鏡には自分の姿が映らなくて、代わりに変なものがポンポン出てきてくるんだ。

一回は大きなアヒルが出てきて「クヮッ!」って言ったら、クォンタムはビックリして宇宙の反対側まで飛んでっちゃったの。

それからね、クォンタムは自分の影を追いかけて、「ちょっと待ってよ!」って自分自身に叫んで、あちこち走り回るんだけど、それがすごくおかしくて。

でもね、最後には「あれ?僕ってどこにでもいるのかも?」って気づいたんだって。

そしてね、「みんなも不確定性を楽しもうよ。そうすれば、どこにでもいられるから!」って天界の掲示板に書いたんだって。

その話、他の神様たちも笑ったけど、クォンタムのこと、ちょっと尊敬しちゃったんだって。クォンタムのお話、宇宙中のお話になったんだよ。 おわり。


 キラとトラの「クォンタム 不確定な冒険」の話を聞いた村の子供たちは、おやつを食べながら目をキラキラさせていた。

そして、彼らなりにこの話から学んだことを直ぐに遊びの中でで試し始めた。

「僕もどこにでもいられるかな?」と考えた男の子は、自分の影とかくれんぼを始めた。

 

太陽が高くなると影が小さくなって、見つけにくくなるんだけど、「ほら見て!今、どこにもいないみたい!」と大はしゃぎ。友達は「でも、そこにいるじゃん!」と大笑い。

 また別の子供は自作の魔法の杖を作り、「これで僕もどこにでも行ける!」と言い張り、村の中で「テレポート!」を叫びながら、広場から鍛冶場からお庭へと走り回っていました。

 女の子はは、クォンタムの話を絵に描こうと思い立ち、不確定でふわふわしたクォンタムの姿を描た。

 

彼女の絵には、どこにでも浮かんでいけるクォンタムが描かれていて、「クォンタムはきっとこんな感じで宇宙を旅してるんだよ」と友達と話し合っていた。

 最後に、子供たちは「クォンタムごっこ」を始め、誰かがサイコロを振って、出た目に応じてその場で思いついた不思議な力を使って遊ぶことにしました。

 例えば、「”6”が出たから、今、僕は見えないんだ!」とか、「やったー!”1”が出たぞ。僕の速度は無限大!」とか言いながら、皆んなで村中を走り回り、母親たちから「雷神みたいに大騒ぎしないで!」と怒られていた。(あんなおやつを食べてれば、元気も出るだろ笑)

 クォンタムの話を聞いた村の子供たちは、それぞれユニークな方法で話を自分たちの遊びに取り入れ、一日中楽しく過ごし、そして、夜になって星空を見上げながら、「クォンタムもきっとどこかで笑ってるね」と話していた。



キラとトラが子供達の神話を伝えたその日の夜に、 ヴィータ、セレナ、リーラとゾラの四人は、村の女性たちの心をとらえるため、女性専用の神話会を企画していた。
 
この夜、彼女たちは星空の下、男性の姿を一切許さない、女性たちだけの秘密の集いを催した。

 彼女たちが選んだのは、村の郊外、開けた野に広がる一角。ここから見上げる夜空は、星がきらめき、まるで別世界の入り口のように神秘的だった。

女性たちは、日々の忙しさを忘れ、星々の美しさに見とれながら集まってきた。

期待に胸を膨らませる女性たちの間には、わくわくするような緊張感が漂い、彼女たちは普段は語られることのない、女性の視点から描かれる神話に、心からの興奀と好奇心を抱いていた。

村の女性たちは、この瞬間を待ちわびていました。日々の生活で感じる小さな不満や大きな夢まで、全てを忘れて神話に没入できる特別な時間。

彼女たちの間には、共感や感動を分かち合う、見えない絆が生まれていく。

火が焚かれ、その揺らめく光が参加者たちの顔を照らし出します。

 

暖かい光の中、ヴィータたちは準備した粘土板の物語を始めました。

まずは、ヴィータから語り始めた。

ヴィータ「昔々、太陽がいつも温かく照らす平和な国がありました。その国は、太陽の光そのものである天照大神(アマテラスオオミカミ)と、海の美しさを体現した神、瀬織津姫(セオリツヒメ)によって治められていた。」

ヴィータ「この二柱の神々の慈悲深い統治の下、国は常に豊かで、住民たちは幸福に満ちた日々を過ごしていました。」

ヴィータ「しかし、その平和を羨む者が一人いました。鸕野讃良皇女(うののさららのひめみこ)と呼ばれる魔女です。」

村の女性「うののさららのひめみこ…舌噛みそうな名前ね」周りから、「シィー!」

ヴィータ「魔女は一年に一日しか眠らず、その目を天照大神と瀬織津姫の幸せな生活に虎視眈々と狙っていました。

 

魔女はこの国を奪い統治するためにどうしても「天照大神」の名前が必要だったのです。」

ヴィータ「魔女は二人が一緒にいる限り自分の魔力が及ばづ、目的を達成できないことを悟り、二人を切り離すために、天照大神を欺く計画を立て、瀬織津姫が重い怪我を負い、動けなくなったという嘘をつきました。」

村の女性「うののさららのひめみこ!酷い奴ね。目の前に居たら張り倒してやるわ!」

 次はセレナが語り始めた。

セレナ「心配した天照大神は、魔女の言葉に騙され、岩穴に入ると、岩で塞がれて「騙したな!鸕野讃良皇女!」と叫ぶが時既に遅く、閉じ込められてしまいます。」

セレナ「天照大神は肩を落とし「すまない。瀬織津姫」と。」

村の女性たちから「うちの旦那じゃないんだらから、なんとかしなさいよ!神様でしょ」などと天照大神の不甲斐なさにお腹立ちの様子。

セレナ「天照大神がいなくなると、国は暗闇に包まれ、瀬織津姫は深い悲しみに沈みました。」

村の女性たちの顔つきが真剣に成っていく。誰かが「瀬織津姫!騙されちゃだめよ!」

セレナ「その時、魔女はさらに瀬織津姫に近づき、「天照大神は他の女を作り、大神様(おおがみさま)の怒りを買い閉じ込められた」とささやき、彼女の心を苦しめました。」

村の女性の中から憤慨の声が「あ~っこいつ、絶対許さない!」などと言いながら眼の前の草をむしり取って食べてた。

セレナ「そして、「お前が天に登って百万の星座を作れば、大神様は許して天照大神は戻ってくる」という別の嘘を吹き込んだのです。」

セレナ「瀬織津姫は、愛する夫への思いを胸に、天への長い道のりを進みます。」

村の女性の中から諦めの声が漏れ「あ~ぁもう。だから、騙されちゃだだって!」

 リーラが続きを語りだす。

リーラ「日々、星々を繋ぐ作業に身を捧げ、その過酷さに手は荒れ、血がにじむまでになりました。」

リーラ「食を忘れ、体は次第に衰えていくものの、彼女の愛の炎は決して消えることはありませんでした。」

女性の中からすすり泣く声が聞こえてくる。「分かるわ!愛したら負けなの……」
さらには、感情がこみ上げるような声が「ああ、愛のためならどんな苦労もいとわないわ…」


リーラ「瀬織津姫が天に登り星座を作り出すと、魔女は地上の瀬織津姫が祀られている。石像や碑をことごとく破壊することで、瀬織津姫の存在を永遠に消し、天照大神を女性神に変え自分の都合の良い伝説を作った。」

リーラ「鸕野讃良皇女(うののさららのひめみこ)の力は絶大で誰も逆らうことが出来なかった。」

リーラ「百万の星座が完成した時、瀬織津姫は「これで夫は返ってくるのね。」と魔女に問いかけましたが、魔女は冷酷に「ばかな女だ。天照大神は、とっくに岩穴で命を落とした」と告げました。」

女性の中から泣きながら怒りの声も「どうしてそんな、悪魔みたいなこと出来るの~!」と言って持ってたクルミをバリバリっと握りつぶしてる。

セレナ「瀬織津姫はその事実を知り、深い絶望の中で涙を流しながら息を引き取りました。」

ゾラ「彼女の最後の涙は、静かに宇宙を流れ、美しい天の川となり、その川は、二人の愛を永遠に隔てる悲しみの象徴となり、二人の切ない愛の物語は、星々を通じて語り継がれることとなりました。」

女性の中から泣きながら「あぁ~かわいそうすぎるわ。もうだめ、許してあげて~!漏れそう」
隣の女性が「何が漏れるのよ」と。

 
ゾラ「しかし、地上の神々と人々の心は、天照大神と瀬織津姫の切ない運命に深く触れられました。」

ゾラ「彼らは、二人の愛の物語に敬意を表し、一年に一度、鸕野讃良皇女が眠る短い時間に限り、天と地の間に祈りと祝祭を捧げることを決めました。」

ヴィータ「この祈りの力により、天の川に幻の橋が現れ、二人が再び一日だけ一緒に過ごせるようになりました。それが、愛と繋がりを象徴する七夕の日です。」

ヴィータ「七夕を祝うことで、私たちは今も天照大神と瀬織津姫の永遠の愛に触れ、彼らの愛が時間を超え、どれほどの力を持つものかを再確認します。」
  
ヴィータ「そして、鸕野讃良皇女(うののさららのひめみこ)の血を引く一族は、天の怒りを買い七夕の日は外へ出ることを永遠に禁止されたのでした。」
 
最後はリーラが締めくくります。

リーラ「彼らの愛の物語は、悲しみを越えた愛の力の証として、美しくも哀愁を帯びた調べと共に後世へと語り継がれていくのです。………………おわり」
 
村の女性たちは、瀬織津姫の物語を聞いて心を深く動かされた。
 
 物語が進むにつれ、彼女たちの表情には様々な感情が浮かび上がり、ヴィータの言葉には、初めは期待と興奮があふれていたが、徐々に心配と不安が交錯し、瀬織津姫が天に昇る決意をしたときには、彼女たちの目には勇気と尊敬の光が宿ります。

そして、瀬織津姫の悲劇が語られると、空気は一変し、静寂の中、星空の下で集まった女性たちの目からは、共感と哀しみの涙がこぼれ落ちる。

星々の輝きが彼女たちの頬を照らし出し、涙は星の光のようにきらめき。

彼女たちの反応は、ただの物語を超えたものになっていた。

瀬織津姫の愛と犠牲は、彼女たち自身の心の奥深くにある愛の経験や失失に対する恐れ、そして未来への希望に強く響き渡った。

「こんなにも愛しても、結ばれないなんて……」一人の女性が声を落とし、他の女性たちは頷きながらその感情に共鳴します。

一瞬、彼女たちの間には深い静寂が流れますが、それはすぐに瀬織津姫への敬意と慰めの言葉で満たされます。

そして、彼女たちの心に残るのは、愛の永遠性とその力の大きさでした。瀬織津姫と天照大神の愛の物語は、悲しみを越え、希望と絆の象徴として彼女たちの心に深く刻まれます。

村の女性たちは、物語の終わりに深い溜息をつきながらも、新たな力を得たように立ち上がる。

 瀬織津姫の物語は、彼女たちに愛の不変の価値と、試練を乗り越える強さを教えてくれた。

 そして、この夜、彼女たちは星空の下で新たな絆を結び、互いに支え合うことの大切さを改めて感じるのでした。
 
夜空には、無数の星が織り成す天の川が流れ、それはまるで悲しみを乗り越えた愛の光が、永遠の希望へと続く道を照らしているかのようだった。(おしまい)

 

 

う~ん タイトルなんとか為らないの?