新創世記(5話)メッセンジャー | anemone-baronのブログ

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落書き小説根底にあるもの!
私の人生は、「存在しなければ、何を言っても正しい」という数学の存在問題の定義みたいなもの。小説なんか、存在しないキャラクターが何を言っても、それはその世界での真実なのだ。

トンボを捕食する小鳥

 
 宇宙船「ノヴァファミリア」の中央コンソールで、ゼックス家族はトンボが地球の生態系に溶け込む様子を興味深く観察していた。

 モニターには、トンボが次々と小動物や昆虫に捕食される様子が映し出されていた。捕食されるたびに、トンボから放出される特別なmRNAは食物連鎖の中で広がり、地球の生物たちに新しい進化のきっかけを与えている。
 
 彼らの使命は、動物たちに捕食されることで特別なmRNAをコピーし、それを食物連鎖によって広げていくことだった。
 
「これで地球の生物たちは、私たちが想像もつかないような方向へ進化していくかもしれないね」とゼックスが感慨深げに言った。
 
「ねえ、見て!あのトンボが小鳥に捕まえられたよ!」とアルトが指を差して興奮しながら言った。モニターには、小鳥が敏捷にトンボを捕食する様子が映し出されていた。

 トンボは小鳥の体内で特別なmRNAを放出し、小鳥はそれを無意識のうちに他の生物に伝達していく。

 エリダは瞳を輝かせて、「トンボが捕食されるたびに、新しい進化のメッセージが広がっていくんだね!」と言った。

 リーラはモニターを見つめながら感慨深く、「私たちの小さなトンボたち、自らを犠牲にして地球の生物たちに新しい命を吹き込んでいるのね。なんか泣けるわ」と言った。

 ゼックスはリーラの肩を抱いて「そうだな、トンボが捕食されることで次々と他の生物に伝播される。新たな進化の可能性を与えるプロセスだよ。」
 
「僕たちもそろそろ新しい進化した生命を誕生させないか。ムフフ」リーラの耳元で囁いた。

 リーラはゼックスの耳をつまみ上げて「この船が定員オーバーになるから母星に帰ってからにしましょ」と、今それどころではない様子で言い放った。
 

 オンタは機器を操作しながら、「このプロセスを通じて、トンボのmRNAは地球上の様々な生物に伝わり、進化の過程が加速されるんだな。なんかワクワクする」

 キラとトラが興味深げに質問しました。「水中の生き物には影響は少ないんじゃないの?」
 
 セレナはお茶を飲みながら「トンボの卵は水中に落とされるの。”変態”して、成虫になるまでの間、トンボは水の中で生活するのよ。
 
そのため、トンボが持っている特別なmRNAは、水中生物にも影響を及ぼすことになるわ。水中生態系でも、トンボ(幼虫)を介して食物連鎖が同じように進行するの。」
 
 リーラは画面に映るトンボの幼虫の映像を指さしながら「ただ、幼虫時代は複眼センサーは限られているから、オリメ(人工知能)に入って来る情報は少なくなるけどね」

 オリメ(人工知能)「ピッピッ……今のところの情報では、この惑星(地球)の生命体の約90%は一夫多妻制みたいです。動物の繁殖システムは、単婚、ポリジナミー、ポリアンドロミー、ポリジナモアンドロミーの4つの主要なカテゴリーに分けられているようです。」
 
 「交尾によるDNAの組み換えテストが盛んに行われているようです。」
 トンボからの情報を元に報告した。
 
 フロブは顔面を船の窓に押し付けて「”変態”で、なおかつ交尾盛んで、”ポリガミー”って、どんだけ素敵な星なのかしら~アルコール入りの食い物もあるし、ワシも酸素に適応して外で暮らしたいw~」
 
セレナは「バカッ!あんたは、ただの変態でしょ。第一、一夫多妻制なんて、多くのオスから選ばれたスーパーアイドル一人だけよ、その他のオスは悲惨なんだから。」

ゾーランは窓の外を見ながら手を広げて 

 「これは、宇宙の大いなる秩序の中で
 自らを超越する道を選んだ生命の行為である。
 
 彼らは自己の存在を地球の命の連鎖に捧げることで
 実践理性の最高の形
 つまり自然の目的を超えた道徳的義務を果たしている。
 
 この行為は、目に見える形で現れた純粋な道徳法則の具現であり
 すべての生命が共有する普遍的な価値の表現なのだ。」 

 
 ゾラがまた始まったって顔をして「私なら、”まるで生命の伝書鳩みたいだな。自分たちの命を使って、地球に新しい命のメッセージを届けている。”でいいんじゃない」

「ゾラ姉さんの方が、分かりやすい」アルトとエリダ が拍手した。なぜか、オリメも拍手動画を出していた。
 
 この長期にわたる進化は、微細な変化の積み重ねとして現れる。
 新しい形質や能力が発現する可能性があり、長期にわたる進化の結果、地球上の生物多様性に顕著な変化が生じ、生物種間の相互作用の中で徐々に現れてくるだろう。
 
 これには、新たな種の出現や、既存の種の行動や生態系での役割の変化が含まれるかもしれない。

 進化の過程では、適応能力に優れた種が生き残り、適応できない種は絶滅の危機に瀕する、この自然選択のプロセスは、生態系全体のバランスに影響を及ぼす。

 これは彼らにとっても、地球にとっても、新しい章の始まりだった。彼らの行動がもたらす長期的な影響に対する認識は深まり、それが新たな”創生”への扉を開くこととなるのであった。
 
 ……人類の発生までもう少し……

 

 

つづく…いつか