新創世記(4話)虚構の人格 | anemone-baronのブログ

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落書き小説根底にあるもの!
私の人生は、「存在しなければ、何を言っても正しい」という数学の存在問題の定義みたいなもの。小説なんか、存在しないキャラクターが何を言っても、それはその世界での真実なのだ。

 

 

 
 緊張感が漂う中、ゼックスは画面に映る地球の画像を指差しながら静かに話していた。
 
 ゼックス家族は宇宙船の中央コンソールで緊急ミーティングを開催し彼らの前には、地球の生命体を進化させるという重大な決定が待っていた。オリメ(人工知能)が提案したプランには、全員が興味津々だった。
 
オリメの提案はかなり独創的なもので
 
「……我々はトンボに特別なmRNA(メッセンジャーRNA)を埋め込むことを提案します。これは、”故人への尊敬の念”を表すmRNAです。これらのmRNAは食物連鎖を通じて地球上の生物に広がり、新しい進化のスパイスとなるでしょう。」
 
リーラはゼックスの横に立ち、窓の外に広がるこの惑星の自然を見つめながら考え込んでいた。

 「この美しい青い星には、我々が影響を与えるべき無数の生命が息づいている。この星に私たちが手を加えることが、果たして正しいのかしら……」
 
オリメはさらに説明を続け「
 
この方法により、進化に適応できる生物とそうでない生物に分かれます。この進化の最初のゴールは言葉でコミニュケーションが取れるようになるまでの進化です。」まるでワールドカップの予選ラウンドのよう。

ゾラは、少し考え込んで懸念を「私たちの介入が自然の摂理に反するかもしれないわ。それとも、新しいファッショントレンドを作るようなものかしら?」

アルトとエリダは「だけど、これって地球をもっと面白くするチャンスかもしれないよ!♫でっきるかな でっきるかな はてはてふふうん……」

グランパ・モルフは微笑みながらアドバイスを「リスクはあるが、私たちが持つ知識と技術で、きっと上手くいくさ。多分?そりゃー突然変異で変なものも出てくるさ。」
 
「オイオイオイ。みんな心配しすぎだろ~、今いる生物だって誰かが持ってきたもんかもしれないぜ。」とフロブはゴリラから貰った果樹を食べて酔っ払っている。
 
「だってさ~今まで見てきた惑星でさ、水と大気がある惑星で生命体が居なかった星なんでゴマンとあったぜ。」

 従兄弟キラとトラは首を傾げて「探察トンボってロボットじゃなかったの?何か食べてもジャリジャリして美味しくなさそうだけど。ここの動物たちは食べるの?」
 
 エリダも目を丸くして、「トンボって、本当に生物なの?それともただの飛ぶUSBメモリー?」と疑問を投げかけた。
 
 叔母セレナは「トンボはね私達が作った生命体なの、そりゃ大昔はデッカイロボットだったけど、その機能を細胞質基質と小器官で作っているのよ。自分でエネルギーを捕食するし、繁殖もできるの。だだ、寿命が短いけどね。」まるでプレードランナーの世界。

オンタはみんなの話をふっとばして「”故人への尊敬の念”って行動的には死者の埋葬とかお墓を作るとかのこと?」
 
ゾーラン(哲学者のつもり)がオンタのその問に”お答え”になった。
 
 「文明を作り出せる生命体は
 文化的な ”つながり” によって生きる
 特殊な存在にならなければならない
 
 その生命体が教育において 取得する知識の殆ど全ては
 自分が生まれる前に存在した 先祖によって作り出され
 伝達されてきたものに
 
 そうすることで 自分が生まれる前から
 先祖の生きた”続き”を生きていなねばならぬ。
 
 死によって 全ては無に帰るかのように見える
 しかし 実はそうではわなく 
 
 死者が生前 築き上げてきた財産や知識は
 残されたものの中で生き続けるのである
 
 わかるかな~分かんね~だろうな~」

 オンタも真面目に考え込んで

 「なるほど。いわば”虚構の性(人)格”を植え付けることで生死を超えた”つながり”のなかで生きていることを示し、物語ることによって自分たちの連続性の維持の担保になると……」
 
キラとトラも「ゾーラン叔父さんってオリメ(人工知能)より頭いいの。凄い!」

それを聞いてたオリメ(人工知能)「え……私も説明しようと思えば出来るのですが~皆さん寝てしまいますので……やめ……ピッピブウーン……out」
 
 ゼックスは頭を抱えながら「まっいいか、皆。とにかくこれは大きな一歩だ。
 
でも、我々が開けようとしているのはパンドラの箱かもしれない。もちろん、その中には新しいファッションのトレンドも入っているかもしれないが。」
 
一同は笑いながら、この新しい挑戦に前向きな気持ちで臨むことを決意しゼックス家族にとって、これは地球の生命体との新たな関わりを築く大きな一歩となるのでした。多分。
 
つづく…とっ思う