独りで居酒屋で飲んでいても、普通はいくら飲んでも酔わないので、わざとビール、日本酒、酎ハイとちゃんぽんで呑むことがある。たいがいそんな時は、たまたま出会った何か辛いことを考えているか、あるいは頭の芯に降りてきた大したこともない着想に刺激されて、想像力が活発に動いている時かである。人と呑むと楽しいが、余計な気配りやエネルギーを使うので、それが本来の自分から離れて、私の細胞に自由裁量を与えて酔ってしまうのである。そうすると酒などいつも独りで呑むにかぎるが、それでは世の中、やはり寂しすぎるような気もする。華やかさや賑わいの陰で、世の中にある淡々として抑制が効き、けして劇的でないものの、しかしそのツボにはまった時の強い喚起力のある人の営みや作品もあることを思い出しながら、今もひとりで呑んでいる。