なぜ母親は13歳の娘に不倫相手との性行為を見せたのか「変な親心で…」児童福祉法違反などの罪に問われた母親が裁判で語ったこと 子供の性被害がなくならない

なぜ母親は13歳の娘に不倫相手との性行為を見せたのか「変な親心で…」児童福祉法違反などの罪に問われた母親が裁判で語ったこと 子供の性被害がなくならない|TBS NEWS DIG

 

チューリップテレビ

 

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不倫相手との性行為を当時13歳の娘に見せ、さらに娘にも淫行をさせたなどとして、母親と、その交際相手の男が児童福祉法違反と富山県青少年健全育成条例違反の罪に問われました。なぜ母親は、そんなことをしてしまったのでしょうか?
母親が裁判で語ったのは「変な親心」という言葉でした。

富山県青少年健全育成条例違反と児童福祉法違反の罪に問われているのは、無職の女です。裁判では、被害者保護のためとして、女の氏名や年齢などは明らかにされていません。

女は2023年2月15日、富山県内の公園の駐車場に停めた車の中で、不倫関係にあった男との性行為を当時13歳の娘に見せたほか、男に対して淫行をさせたとされています。

2024年2月22日、富山地裁でおこなわれた初公判。女は起訴内容を認めました。

 

女は髪を1つにまとめ、眼鏡をかけ、グレーのトレーナーにジーンズ姿で現れました。

 

 

 

 

『ママが交際相手に行為するところを見てみたい』

年齢は30代から40代くらいに見えました。検察側の冒頭陳述などによりますと、不倫相手は夫の会社の同僚で、娘が当時13歳だったことを知っていたといいます。

また、被害者である娘は、母親である女に対して、厳しい処分を求めない一方、行為を止めなかったことに対して「母親としておかしかったのではないか」「子供の面倒をきちんと見てほしい」などと話しているといいます。

 

弁護側からの被告人質問では、女が犯行に至る前、不倫相手との性行為について、自ら娘に話していたことが明らかになりました。女は椅子を両手で引いてゆっくりと座り、終始、か細い声で質問に答えました。

 

弁護側:「交際相手との性行為について、自分から被害者(娘)に話しましたか?」
女:「はい」「娘に彼氏がいることを知り、性的なことを話せると思い話しました」

弁護側:「被害者の反応は?」
女:「『あーそうなんだね』とさらっと話していました」
弁護側:「被害者は性行為を見たいと言いましたか?」
女:「言いました」
弁護側:「具体的には?」
女:「『ママが交際相手に行為するところを見てみたい』」

弁護側:「あなたは何と答えましたか?」
女:「その時は軽はずみだったと反省していますが『いいよ』と言いました」

 

 

軽はずみになって自暴自棄になるというか…

女は29歳の頃から精神疾患を患い、県内にある病院の精神科に通院していたといいます。娘の「性行為を見たい」という要求を受け入れた理由については「うつ症状がよく出ていて、自暴自棄になっていた」と話しました。

 

弁護側:「性行為を被害者(娘)に見せるのは良くないとわかっていますか?」
女:「その時はわかっていませんでした」
弁護側:「今はわかっていますか?」
女:「はい」

 

女は事件後、共犯者である不倫相手の男と会っていないといいますが、実は他にも交際している男性が複数いたことも明かされました。

 

弁護側:「なぜ共犯者(不倫相手の男)と会っていないんですか?」
女:「うつがひどいのもありますし、こういう事件になったので会えないと思います」「二度と会いません」

弁護側:「ほかに交際している男性たちとは会っていますか?」
女:「会っていません」「足腰が痛くなったり、うつもひどくなったりして会っていません」「今後も二度と会いません」

 

女は「今は深く反省している」「今後二度とこのようなことはしない」と話しました。今回の事件については、自分の父親に話したといいます。

 

弁護側:「父親は何と言っていましたか?」
女:「『もう二度とそのようなことはするな』と言っていました」

 

事件の後、父親は、女に深く反省するよう長文の手紙を送ったといいます。女は、今後悩み事があった場合には、父親のほかケアマネージャーやヘルパー、精神科の医師、カウンセラーなど周囲の人間に相談し、二度と違法行為をしないと話しました。

続いて、検察側から被告人質問が行われました。

 

検察側:「被害者に対してこのようなことをしたのは1回だけですか?」
女:「1回だけです」

 

女は、精神疾患の影響で「自暴自棄になり、娘に性行為を見せてしまった」と話しました。このことについて問われると―。 

  

検察側:「自暴自棄になると、娘に性行為を見せてしまう。なぜつながるのですか?」
女:「軽はずみになると思います」
検察側:「“軽はずみ”とは?」


女:「…(長い沈黙)」「悪いことだとわかっていたとしても、軽はずみになって自暴自棄になるというか。すみません。まとまっていないかもしれません」

 

 

 

母として被害者とどのように接していくのか

検察側:「被害者の年齢(当時13歳)で、今回のことをさせてはいけないのはわかりますか?」
女:「はい」
検察側:「あなたのしたことの何が悪かったですか?」

女:「性行為をする姿を娘に見せたり、娘に淫行をさせたりしたことです」
検察側:「それがなぜ悪いことなのですか?」
女:「まだ13歳の未成年に対してのことだったからです」
検察側:「被害者(娘)は、物事の判断がきちんとできない年齢です。あなたは母として教えてい
くべき立場にあります。今後、被害者とどのように接していくのですか?」
女:「良いことと悪いことをきちんと教えていこうと思います」

検察側:「またあなたが性行為をする姿を見たいと言われたら?」
女:「『見せられない』とはっきり言います」
「『悪いことだから見せられない」と言います」
検察側:「別の交際相手との行為を見せてほしいとお願いされたら?」
女:「断ります」

 

変な親心で見せてもいいと感じていた…

児童福祉法では「児童に淫行をさせる行為」を禁じています。淫行とは「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性行為類似行為」をいい、罰則は10年以下の懲役または300万円以下の罰金と定められています。

再び弁護側から、事件後の被害者(娘)との関係について問われると。

 

女:「良好だと思います」
弁護側:「なぜそう言えますか?」
女:「お互いの言いたいことが言えている感じがするからです」

 

女は娘との関係は良好だと話しました。最後に、秋庭美佳裁判長から被告人質問がおこなわれました。女は性的な行為を見せることについて「悪いことだとわかっていなかった」と話しました。

 

裁判長:「被害者(娘)の年齢(当時13歳)からして、性的な行為を見せたりさせたりしてはいけないと、当時わかっていなかったのですか?」
女:「性的な行為を見せることが悪いことだとわかっていませんでした」「淫行をさせたりすることは(悪いことだと)わかっていました」

裁判長:「どうして見せて問題ないと思っていたのですか?」
女:「『見たい』と言われて、変な親心で見せてもいいと感じていました」

 

見せた理由を“変な親心”と話しました。

 

被害者に『やってみる?』と穏やかに…

裁判長:「あなたは被害者を守る立場にある。そういうことをしてはいけない。おかしいですよね?」「あなたが『交際相手と性行為をしている』と話したことが原因です。なぜ話すのですか?」
女:「なんだか言いやすくなって、ついつい軽はずみになってしまいました」

裁判長:「娘を犯罪に巻き込み、傷つける行為でした」
女:「そうでした」
裁判長:「また自暴自棄になったらどうするのですか?」
女:「これからは反省して二度としません」

 

その後、検察側の求刑がありました。検察側は「被害者である娘の未熟さに乗じた悪質な犯行であり、被害者の健全育成に多大な影響を与えている」「被告(女)は本来大人が教え、守る存在である被害者(娘)に対して、犯行に及んでいる」などとして、懲役2年を求刑しました。

弁護側は「被害者(娘)が嫌がっていなかった。事件は5分という短時間だった」「被告(女)は精神疾患を患い、意思決定に問題を抱えていた」「被告が性行為をする姿を、被害者が『見たい』と言って見せた」「被害者に淫行をさせたことについて、『やってみる?』と穏やかな質問で、40秒ほどで短時間だった」「被害者は厳しい処罰を望んでおらず、被告は二度としないと反省している。今後は、被告の父親が監視、監督をしていく」などとして寛大な判決を求めました。

 

精神疾患を患っていたことから更生の機会を

裁判長に、最後に言いたいことを問われると…。

 

女:「反省しています。二度と同じことはしません」

 

裁判は即日結審しました。そして2月29日に行われた女に対する判決公判。

秋庭美佳裁判長は、被害者(娘)の未熟さに乗じた悪質な犯行であり、被害者の健全育成に多大な影響を与えた一方、被告(女)に前科がないことや犯行を認め反省していること、精神疾患を患っていたことから、更生する機会を与えるなどとして、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

最後に裁判長は、被害者の母親である女に対して「今後、被害者を健全に監護育成するように」と説諭をしました。

富山県では、子どもの性被害が高い水準で推移しています。富山県警の調べで、去年1年間に被害にあった児童を罪種別で見ると、児童ポルノが2人、
富山県青少年健全育成条例が7人、強制性交と略取誘拐の重要犯罪が2人となっています。

また年齢別では12歳が1人、13歳が2人、14歳が3人、15歳が2人、16歳が2人、17歳が1人となっています。児童ポルノ事件の検挙件数は31件で、過去5年で最高となりました。

県警は、啓発活動の実施や学校など関係機関との連携を強化していく方針です。