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性別変更の「生殖不能手術」は違憲 決定した戸倉三郎裁判長が目指した「納得性の高い判断」

2023年10月25日 16時04分

出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際に手術が必要だとする法律の規定を巡り、最高裁は25日、生殖機能をなくす手術を求める規定は「違憲」と判断した。

今回の裁判長の戸倉三郎・最高裁長官は以前、性別変更や同性婚の訴訟には「納得性の高い判断が求められる」と語っていた。(デジタル編集部)

◆性別変更「広い視野と深い洞察力で」

今回の判断は最高裁大法廷で行われ、戸倉長官をはじめ15人の裁判官全員が参加した。生殖機能をなくす手術を求める規定は「違憲」とした判断は、全員一致だった。

最高裁の戸倉三郎長官(最高裁提供)

最高裁の戸倉三郎長官(最高裁提供)

戸倉長官は今年5月、憲法記念日を前にした記者会見で、性別変更や同性婚など性的少数者(LGBT)について関心が高まっている点を問われた。

「広い視野と深い洞察力で、多様な利害や価値観の対立の本質を柔軟に受け止め、納得性の高い判断をする能力が求められる。国民の価値観や意識の多様化による新たな社会問題についても同様だ」と社会の多様性にも言及していた。

戸倉長官は一橋大を卒業後、1982年に判事補に任官。裁判官として刑事裁判に長く携わってきた。2017年3月に最高裁判事に就任し、2022年6月に最高裁長官に就いた。70歳を迎える2024年8月までが任期となる。

 

 

◆過去の裁判は?

最高裁判事時代には、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定が憲法に違反するかどうかを審理した2021年6月の最高裁大法廷での決定で、「合憲」と判断した。

1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害された強盗放火殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんの審理を高裁に差し戻す決定をした。

 

 

公衆浴場の混乱「極めてまれ」 最高裁の三浦守裁判官、性別変更の外観要件も「違憲」

2023年10月25日 18時40分

最高裁は25日、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖機能をなくす手術を求める法律の規定について「違憲」と判断した。

判断したのは、15人の裁判官全員が参加する大法廷。このうち三浦守裁判官(67)は、申立人の性別変更を認めるべきだとする反対意見を述べ、「少数者の権利利益が軽んじられてはならない」と付け加えた。

◆三浦裁判官の反対意見のポイントは

「生殖不能」を求める規定について、三浦裁判官は2019年の段階で「違憲の疑い」を指摘していた。

三浦守裁判官(最高裁提供)

三浦守裁判官(最高裁提供)

今回の反対意見では、その後の医学的知見の進展や、全国の自治体にパートナーシップ制度が広がるなど、近年の社会状況の変化に言及。生殖不能要件について「現時点で、必要かつ合理的なものとはいえない」と述べた。

さらに、変更後の性別の性器に似た外観を求める「外観要件」についても「違憲」だとした。

公衆浴場などでの風紀を乱す可能性については、外観などを基準とした事業者の措置によって維持されていることに触れ、「社会生活上の混乱が生ずることは極めてまれ」と論じた。外観要件の必要性は「相当に低いものになっている」と述べた。

◆三浦裁判官の「付言」

反対意見の最後に、三浦裁判官は、2019年の決定からの4年間でも「本件規定により重大な影響を受けた者は少なくない」として、さらに「国の責務」やマイノリティーの尊重についても付言した。

2008年に改正された「性同一性障害特例法」では、性別変更の制度について必要性に応じて検討を加えることが定められていた。だが、「改正以来15年以上にわたり、本件規定等に関し必要な検討が行われた上でこれらが改められることはなかった」と述べた。

三浦裁判官は「全ての国民は、個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」として、そのための措置を講じるのは「国の責務である」と指摘した。

さらに「 指定された性と性自認が一致しない者の苦痛や不利益は、その尊厳と生存に関わる広範な問題を含んでいる。民主主義的なプロセスにおいて、このような少数者の権利利益が軽んじられてはならない」と締めくくった。

 

 

意に反する手術は「過酷な選択」 最高裁の宇賀克也裁判官、性別変更の外観要件も「違憲」

2023年10月25日 19時05分

最高裁は25日、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖機能をなくす手術を求める法律の規定について「違憲」と判断した。

判断したのは、15人の裁判官全員が参加する大法廷。このうち宇賀克也裁判官(68)は、申立人の性別変更を認めるべきだとする反対意見を述べた。

◆宇賀裁判官の反対意見のポイントは

生殖機能をなくす手術では、精巣や卵巣を摘出する。

宇賀裁判官は、性別変更には生殖不能にする手術が必要とする法律の規定について、身体の自由を含む個人の尊重を定めた憲法13条に違反していると指摘。

宇賀克也裁判官(最高裁提供)

宇賀克也裁判官(最高裁提供)

さらに、変更後の性別の性器に似た外観を求める「外観要件」についても、意に反して手術を受けるか、性別変更を諦めるかの「過酷な二者択一」を迫るものだといい、正当化できるほどのものではないとして、「違憲」と判断した。

◆宇賀裁判官、これまでの裁判では?

宇賀裁判官は、これまでのジェンダーや家族の多様性を巡る裁判でも個別意見を述べたことがある。

2021年、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変更する際、未成年の子がいないことが必要だとする法律の規定「子なし要件」について、合憲とした第3小法廷の決定では、担当した5人の裁判官の中で唯一、反対意見を述べた。

子どもの心理的な混乱や学校での差別の可能性など、「子の福祉への配慮」のための規定だとする説明について「漠然とした観念的な懸念にとどまる」「十分な説得力を感ずることができない」と論じた。

また2021年、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲とした大法廷の決定では、「違憲」と反対意見を述べた。この規定は、夫婦同等の人格的利益を求める人にとって「自由かつ平等な意思決定を侵害する」と指摘した。

 

 

◆宇賀裁判官、どんな経歴?

最高裁ウェブサイトによると、宇賀裁判官は研究者出身で、2019年3月に任命された。専門は行政法で、行政手続きや情報公開などを研究してきた。

1978年に東京大法学部を卒業。同大助手、助教授を経て1994年から教授を務めた。放送大、米ハーバード大の客員教授なども歴任した。

趣味は、美しい自然の景観を眺めること、近所の公園の散策。作家の故・司馬遼太郎さんのファン。

 

 

公衆浴場での懸念は「可能性低い」 最高裁の草野耕一裁判官、性別変更の外観要件も「違憲」

2023年10月25日 20時11分

最高裁は25日、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖機能をなくす手術を求める法律の規定について「違憲」と判断した。

判断したのは、15人の裁判官全員が参加する大法廷。このうち草野耕一裁判官(68)は、申立人の性別変更を認めるべきだとする反対意見を述べた。

◆草野裁判官の反対意見のポイントは

草野裁判官は反対意見で、変更後の性別の性器に似た外観を求める「外観要件」についても検討した。外観要件の目的は「公衆浴場などで意思に反して異性の性器を見せられないこと」だとして、合憲の場合と違憲の場合を比べた。

草野耕一裁判官(最高裁提供)

草野耕一裁判官(最高裁提供)

外観要件を合憲だとすれば、公衆浴場などで意思に反して異性の性器を見せられることが「およそ起こりえない、静謐な社会」だが、それは「性同一性障害者の自由、利益に対する恒常的な抑圧」によるものだと論じた。

一方、外観要件を違憲とした場合でも、性同一性障害の人の人口が少なく、公衆浴場などでは管理者が注意して規則を定めることが期待できる、と指摘。意に反して異性の性器を見せられないという利益は「損なわれる可能性は低い」ことに加え、「性同一性障害者の自由、利益に対する抑圧は大幅に減少する」として、外観要件は「手段としての相当性を欠き、違憲」と結論づけた。

 

 

◆草野裁判官、これまでの裁判では?

草野裁判官は、これまでも家族の多様性を巡る裁判で個別意見を述べたことがある。

2021年、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲とした決定では、「違憲」だと反対意見を述べた。「選択的夫婦別氏制によって向上する国民の福利は、同制度によって減少する国民の福利よりもはるかに大きいことが明白」と指摘した。

◆草野裁判官、どんな経歴?

最高裁ウェブサイトによると、草野裁判官は弁護士出身で、2019年2月に任命された。弁護士としては主に企業法務、金融法務の分野で活動。2002年にスイスの製薬大手ロシュが国内大手の中外製薬の株式を取得する際、ロシュの法律顧問を務めた。

1978年に東京大法学部を卒業し、1980年に弁護士登録。2004年から西村ときわ法律事務所(現・西村あさひ法律事務所)代表パートナー、2013年から慶応大教授を務めた。東京大、米ハーバード大の客員教授なども歴任した。

趣味は「勉強」で、数学やフランス語、日本の中世史などを学んでいるという。

 

 

性別変更の「違憲」判断、法改正への「期待」を付け加えた最高裁の岡正晶裁判官

2023年10月25日 19時10分

最高裁は25日、トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖機能をなくす手術を求める法律の規定について「違憲」と判断した。

判断したのは、15人の裁判官全員が参加する大法廷。このうち岡正晶裁判官(67)は、個別に補足意見を示した。

岡正晶裁判官(最高裁提供)

岡正晶裁判官(最高裁提供)

最高裁裁判官の個別意見のうち、「補足意見」とは、法廷の結論に賛成した上で説明などを付け加えるもの。

◆岡裁判官の補足意見のポイントは

今回の決定を受けて、今後は「性同一性障害特例法」が改正されることが想定される。

岡裁判官は補足意見で、「特例法のその他の要件も含めた法改正を行うことは当然に可能」と指摘。法改正では、ただ生殖機能をなくす手術の規定を削除するだけでなく、新たな要件を設けることも含めて国会が「立法政策上の裁量権を合理的に行使すること」への期待を述べた。

最高裁の裁判官15人(最高裁提供)

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◆岡裁判官、どんな経歴?

最高裁ウェブサイトによると、岡裁判官は弁護士出身で、2021年9月に任命された。

1980年に東京大法学部を卒業し、1982年に弁護士登録。日本弁護士連合会副会長、第一東京弁護士会会長を務めたほか、住友生命、三井住友銀行の社外取締役も歴任した。

趣味はトレッキングと、30年以上続けているチューリップやバラなど花の栽培。