シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その494〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

 アンドロゴス生涯学習研究所

   生涯学習はじめませんか


今回は、ホツマツタヱ16アヤの解説、そのPart9をやります。

まず本文から。

●一行訳17

16-85 かえりけり のちにかとりの カエリケリ ノチニカトリノ 【カエ、帰・リ(分詞素)・ケリ(完了)、帰りました】。【ノチ、後・ニ(前置格)・カ、夏・ト、執・リ(分詞)・ノ(生格)、その後・カトリの】、
16-85 みやにゆき かたりてともに ミヤニユキ カタリテトモニ 【ミヤ、宮・ニ(前置格)・ユ、行・キ(分詞素)、ミヤに行って】、【カタ、語・リ(分詞)・テ(態)・トモ、共・ニ(造格)、打ち合わせをした後・揃って】、
16-86 ヒたかみに つくれハきみも ヒタカミニ ツクレハキミモ 【ヒ〔日〕タカ、高・ミ、見・ニ(前置格)、日高見に】、【ツ、告・ク(分詞素)・レ(条件)・ハ(順接)・キミ、君・モ(例)、(ヒタチオビ衆結成の仔細を)告げるとキミも】、
16-86 よろこびて けふのほそぬの ヨロコビテ ケフノホソヌノ 【ヨロコ、喜・ビ(分詞素)テ(態)、喜んで】【ケ、今・フ、日・ノ(生格)・ホソ、臍・ヌ、主・ノ(生格)・今日の・中核である、主な(部隊を)】、
16-86 おらしむる たかまのはらの オラシムル タカマノハラノ 【オ、織・ラ(分詞素)・シ(使役)・ム(義務)ル(完了)、織らしめました】。【タカ、高・マ、間・ノ(生格)・ハラ、腹・ノ(生格)、タカマの中核を占める】、
16-86 かりみやに おひたまわれバ カリミヤニ オヒタマワレバ 【カ、仮・リ(分詞素)・ミヤ、宮・ニ(前置格)、(トミの集う)仮ミヤに】、【オ、生・ヒ(分詞素)・タマ、給・ワ(分詞素)・レ(再帰)バ(結果)、住まわれたので】、
16-87 もろかなも ひたちのみやと モロカナモ ヒタチノミヤト 【モロ、諸・カ(生格)・ナ、名・モ(例)、皆が呼んだ名でもある】、【ヒ、常・タチ、陸・ノ(生格)・ミヤ、宮・ト(造格)、常陸の宮(現鹿島神宮)として】、
16-87 ものゝへが めでゝつくれる モノノヘガ メデテツクレル 【モノ、物・ノ(生格)・ヘ、部・ガ(主格)、物部衆によって】、【メ、愛・デ(分詞素)・テ(態)・ツク、造・レ(自発)・ル(完了)、愛され、造られた】、
16-87 かしまみや こやねとヒめと カシマミヤ コヤネトヒメト 【カ、夏・シマ、島・ミヤ、宮、夏の島のミヤです】。【コ、児・ヤ、屋・ネ、根、ト(並立)・ヒ〔仁〕メ、媛・ト(並立)、コヤネとヒメは】、
16-87 いきすみや ヒめハもろめの イキスミヤ ヒメハモロメノ 【イキ、息・ス、栖・ミヤ、宮、(物部の集う)息栖宮に(住み)】、【ヒ〔仁〕メ、媛・ハ(主格)・モロ、諸・メ、女・ノ(主格)、全女性が】、
16-88 はらむとき いきすつゝしみ ハラムトキ イキスツツシミ 【ハラ、孕・ム(分詞素)・トキ、時、孕んだ時】、【イキ、活・ス、数・ツツ、慎・シ(分詞素)・ミ、身、元気な時、慎む時を】、
16-88 ヲしゑます やめるハくすり ヲシヱマス ヤメルハクスリ 【ヲ〔尊〕・シ(再帰)、ヱ(分詞)マ、坐・ス(分詞素)、指導され】、【ヤ、病・メ(分詞素)・ル(伝聞)・ハ(主格)・クス、薬・リ(分詞素)、病んでいれば投薬し】
16-88 これおうく かとりとかしま コレオウク カトリトカシマ 【コ、此・レ(分詞素)・オ(対格)・ウ、受・ク(分詞素)、(妊婦達は)それを受けました】。【カ、夏・ト、執・リ(分詞素)・ト(並立)・カ、夏・シマ、島、香取・鹿島の流れの】、
16-88 いきすみや たまふひたちの イキスミヤ タマフヒタチノ 【イキ、息・ス、栖・ミヤ、宮、息栖宮で】、【タマ、給・フ(分詞素)・ヒ、肥・タ、立・チ(分詞素)・ノ(生格)、供給する肥立ちの】、
16-89 おびのなも ヰはたおビとぞ オビノナモ ヰハタオビトゾ 【オビ、帯・ノ(生格)・ナ、名・モ(例)、帯の名も】、【ヰ〔五〕ハタ、旗・オビ〔仁〕、帯・ト(造格)・ゾ(強調)、(統合された)5つの物部の名を冠したのです】。
16-89 たけやたハ やそヨろヲのこ タケヤタハ ヤソヨロヲノコ 【タケ、丈・ヤ、家・タ、手・ハ(主格)、(その)丈夫である家の者は】、【ヤ、家・ソ(強調)・ヨ〔百〕ロ、全・ヲ〔雄〕・ノ(生格)・コ、子、一族の全男子の】、
16-89 なれたけぞ はらみのうちの ナレタケゾ ハラミノウチノ 【ナ、均・レ(自然)・タケ、丈・ゾ(強調)、平均身長なのです】。【ハラ、孕・ミ(分詞)・ノ(生格)・ウチ、内・ノ(生格)、妊娠期間中の】、
16-89 あそヒにハ まめおヒろえよ アソヒニハ マメオヒロエヨ 【アソ、遊・ヒ〔日〕・ニ(前置格)・ハ(主格)、遊休日には】、【マ、間・メ、面・オ(対格)・ヒ〔仁〕ロ、拾・エ(分詞)・ヨ(指示)、夫への心を尽くしなさい】。
16-90 まめなるぞ もしもソフこお マメナルゾ モシモソフコオ 【マ、真・メ、面・ナ、也・ル(分詞素)・ゾ(強調)、(それが)精勤なのです(付加表現)】。【モシ、若・モ(例)・ソ〔十〕フ〔二〕コ、子・オ(対格)、若しも12人の子を】、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●連続訳17
その後・カトリのミヤに行って、打ち合わせをした後・揃って、日高見に、ヒタチオビ衆結成の仔細を告げるとキミ(ここでは上皇ヲシホミミ)も、喜んで、今日の中核である、主な部隊を、織らしめました。
タカマの中核を占める、トミの集う仮ミヤに、住まわれたので、皆が呼んだ名でもある、常陸の宮(現鹿島神宮)として物部衆によって、愛され、造られた、夏の島のミヤです。
コヤネとヒメは、物部の集う息栖宮に住み、媛は、全女性が孕んだ時に、元気な時・慎む時を、指導され、病んでいれば投薬し、妊婦達はそれを受けました。
香取・鹿島の流れの息栖宮で、供給する肥立ちの帯の名も、統合された5つの物部の名を冠したのです。
その丈夫である家の者、一族の全男子の、平均身長なのです。
妊娠期間中の、遊休日には、夫への心を尽くしなさい。
それが精勤なのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●解説17

カトリのミヤ(現香取神宮)というのは児屋(こや)のあるミヤで、ソサノヲが初代になるようです。


これは現在の香取神宮

この当時、ヲシホミミはヒタカミ(現常陸大宮市甲神社)に居たのですね。
オシホミミの墓所は、(まだだいぶ先ですが)湯河原にあります。


これは歴代のキミを祀った五所神社と、ヲシホミミの墓所である山の神社(やまのかみしゃ)の場所を示しています。


これは山の神社、ヲシホミミの墓所です。


これは現在の鹿島神宮、物部氏の最大の拠点であると考えられます。(つまりタケミカツチの生きた時代に最大隆盛を極めたのです)


●一行訳18

16-90 まめなるぞ もしもソフこお マメナルゾ モシモソフコオ 【マ、真・メ、面・ナ、也・ル(分詞素)・ゾ(強調)、(それが)精勤なのです(付加表現)】。【モシ、若・モ(例)・ソ〔十〕フ〔二〕コ、子・オ(対格)、若しも12人の子を】、
16-90 うむはゝハ つきのくらいそ ウムハハハ ツキノクライソ 【ウ、産・ム(分詞素)・ハハ、母・ハ(主格)、産んだ母は】、【ツキ、月・ノ(生格)・クライ、位・ソ(強調)、月の位に叙します】。
16-90 ヒとはらみ ミつこおうめハ ヒトハラミ ミツコオウメハ 【ヒ〔一〕ト(類)・ハラ、孕・ミ(分詞素)、一度の妊娠で】、【ミ〔三〕ツ(類)コ、子・オ(対格)・ウ、産・メ(分詞)・ハ(結果)、三つ子を産んだなら】、
16-90 ミヒかりの さいわひありと ミヒカリノ サイワヒアリト 【ミ〔三〕ヒ〔日〕カ、借・リ(分詞素)・ノ(生格)、日の権威を借りた(アシツヒメの故事)】、【サ、小・イワ、祝・ヒ(分詞素)・ア、在・リ(分詞素)・ト、慶事があった・と】、
16-91 アめにつぐ あまねくふれて アメニツグ アマネクフレテ 【ア〔天〕メ、君・ニ(与格)・ツ、告・グ(分詞素)、(中央の)君に報告しなさい】。【アマネ、遍・ク(分詞素)・フ、触・レ(分詞)・テ(態)、広く公布して】、
16-91 ほつまくに ヲさまるのちに ホツマクニ ヲサマルノチニ 【ホ、穂・ツ(生格)・マ、間・クニ、邦、豊かな全国が】、【ヲ〔尊〕サ(自発)・マ(分詞素)・ル(完了)・ノチ、後・ニ、治まってから】、
16-91 ふつぬしの かとりのみちお フツヌシノ カトリノミチオ 【フツ、総・ヌシ、長・ノ(生格)、フツヌシ(ソサノヲ)の】、【カ、夏・ト、執・リ(分詞素)・ノ(生格)・ミチ、道・オ(対格)、カトリの職責一切を】、
16-91 ことことく こやねにさつけ コトコトク コヤネニサツケ 【コト、事・コト、々・ク(態)、悉く】、【コ、児・ヤ、屋・ネ、根・ニ・サツ、授・ケ(分詞素)、コヤネに授けて】、
16-92 かくれます かしまのみちの カクレマス カシマノミチノ 【カク、隠・レ(分詞素)・マ、坐・ス(分詞素)、(ソサノヲは)お隠れになりました】。【カ、夏・シマ、島・ノ・(生格)・ミチ。道・ノ(生格)、鹿島の職責及び習俗の】、
16-92 おくもみな こやねにさつく オクモミナ コヤネニサツク 【オク、奥・モ(例)・ミナ、皆、奥義も皆】、【コ、児・ヤ、屋・ネ、根・ニ(与格)・サツ、授・ク(分詞素)、コヤネに授ける】、
16-92 かすがとの たまかえしなす カスガトノ タマカエシナス 【カ、春・スガ、日・ト、門・ノ(生格)、春日一門の】、【タマ、霊・カエ、還・シ(分詞素)・ナ、為・ス(分詞素)、霊還しをする】、
16-92 おくのりも こやねにさつく オクノリモ コヤネニサツク 【オク、奥・ノリ、則・モ(例)、奥義・も】、【コ、児・ヤ、屋・ネ、根・ニ(与格)・サツ、授・ク(分詞素)、コヤネ(カツテ)に授け】、
16-93 このゆえに よものまつりも コノユエニ ヨモノマツリモ 【コ、此・ノ・ユエ、故・ニ(造格)、こうして】、【ヨ、世・モ、表・ノ(生格)・マツ、奉・リ(分詞素)・モ(例)、世表の奉り・も】、
16-93 おのづから ヒとりにつけり オノヅカラ ヒトリニツケリ 【オノ、己・ヅ(分詞素)・カラ、自、はじめから】、【ヒ〔一〕ト(類)リ、人・ニ(前置格)・ツ、継・ケ(分詞)・リ、一人に・継げたのです】。
16-93 かしまかみ ヒめうむときに カシマカミ ヒメウムトキニ 【カ、鹿・シマ、島・カミ、守、カシマカミ(タケミカツチ)は】、【ヒ〔仁〕メ、媛・ウ、産・ム(分詞素)・トキ、時、媛を産んだ時・に】、
16-93 はゝがなお こえどなづけず ハハガナオ コエドナヅケズ 【ハハ、母・ガ(生格)・ナ、名・オ(対格)、母の名を】、【コ、請・エ(分詞素)・ド(逆接)、襲うことを願い・ましたが】、
16-94 まれヒとり ヒめハヒめなり マレヒトリ ヒメハヒメナリ 【マレ、稀・ヒ〔一〕・ト(類)・リ、人、一人の稀人(まれびと)と】、【ヒ〔仁〕メ、媛・ハ・ヒ〔仁〕メ、媛・ナリ、姫は・(跡継ぎの)独人姫・なので】、
16-94 またうまハ まきれんために マタウマハ マキレンタメニ 【マタ、又・ウ、産・マ(分詞素)・ハ(順接)、再度・産んだなら】、【マキ、紛・レ・ン(意思否定)・タメ、為・ニ(造格)、紛れないように】 、
16-94 いみなせん まつヒめかみと イミナセン マツヒメカミト 【イ、意・ミ、身・ナ、名・セ(再帰)・ン(意思)、イミナをつけますが】、【マ、先・ツ(類)・ヒ〔仁〕メ、媛・カミ、上・ト(態)、最初は・媛・御上・と】、
16-94 ばかりいふ ゆえにこやねも バカリイフ ユエニコヤネモ 【バカ、許・リ(分詞素)・イ、言・フ(分詞素)、だけ言うのです】。【ユエ、故・ニ(造格)・コ、児・ヤ、屋・ネ、根・モ(例)、そこでコヤネも】、
16-95 よゝのりと はつハひめきみ ヨヨノリト ハツハヒメキミ 【ヨ、代・ヨ、々・ノリ、則、代々そうであるように・と】、【ハツ、初・ハ(生格)・ヒメ、姫・キミ、君、最初の子は「ひめきみ(女子様)」】、
16-95 つきのなも たえのおくのり ツキノナモ タエノオクノリ 【ツキ、月・ノ(生格)・ナ、名・モ(例)、「つき・たち」という謂れも】、【タエ、妙・ノ(生格)・オク、奥・ノリ、則、大昔からの慣わしである】、
16-95 つゝしみの ヒたちおびこそ ツツシミノ ヒタチオビコソ 【ツツ、伝・シ、染・ミ(分詞素)・ノ(生格)、言い伝えである】、【ヒ〔仁〕タ、立・チ(分詞)・オ、帯・ビ(分詞)・コソ(強調)、貴人になる初めの帯・こそ】
16-95 いともかしこし イトモカシコシ 【イト(強調)・モ(例)・カシコ、賢・シ(分詞素)、なんと(尊く)畏れ多いことでしょう】。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●連続訳18
もしも12人の子を産んだ母は、月の位に叙します。
一度の妊娠で、三つ子を産んだなら、日の権威を借りた(アシツヒメの故事)、慶事があったと、中央の君に報告しなさい。
広く公布して、豊かな全国が、治まってから、フツヌシ(ソサノヲ)の、カトリの職責一切を、悉く、コヤネに授けて、ソサノヲはお隠れになりました。鹿島の職責及び習俗の、奥義も皆、コヤネに授ける、春日一門の、霊還しをする奥義も、コヤネ(カツテ)に授け、こうして、世表の奉りも、はじめから、一人(カツテ)に継げたのです。
カシマカミ(タケミカツチ)は、媛を産んだ時に、母の名を襲うことを願い・ましたが、一人の稀人(まれびと)と、跡継ぎの独人姫・なので、再度産んだなら、紛れないように イミナをつけますが最初は、媛御上とだけ言うのです。
そこでコヤネも、代々そうであるようにと、最初の子は「ひめきみ(最初の女子様)」、「つき・たち」という謂れも、大昔からの慣わしであり、言い伝えである、貴人になる初めの帯こそ、なんと尊く、畏れ多いことでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●解説18

ここでは、ソサノヲの骨折りによって、それまで息栖宮に集う豪族にすぎなかった物部氏は常陸の国のキミ達になったということなのですね。
ソサノヲの終焉の地は、(まだだいぶ先ですが)ホツマクニの、ヒスミのミヤ(現関和久官衙遺跡)です。
そして墓所は関和神社と考えられます。


この図、の拠点記号があるところがソサノヲの墓所のようで、下の方にあるのがヒスミのミヤの跡です。
ソサノヲは晩年、ヒスミに住んでいたようで、出雲に伝承がある地は、後世の誤解ではないでしょうか。

16アヤはこれでおしまいです。
イワタ帯の由来が良くわかる話ですね。



さて、ホツマツタヱに関するご意見ご要望、いちゃもん、文句、NGのあるかたは掲示板のほうに書いていただければ、うちのヱが対応します。
http://hot-uma.bbs.fc2.com/