シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その457〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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今回は、ホツマツタヱの中で、旧来、「天地の歌」などと云われているウタについて解説します。
日本の歌に興味のある向きには外せない話です。

このウタはかつて、先人によって、「天地の歌」などと呼ばれていたのですが、完全な間違いであることが解っています。



「あ」ではじまって「わ」で終わる、これが「アワのウタ」、つまり天地のウタだ、我が国の始まりの心だ! なーんて言って、意味も知らずに、何もわからずに、形だけで「日本は凄いんだ!神の国なんだ!」と吠えていた人ばかりだったのです。
こうして、「読めていない人」の妄想が、皇国史観を支持していたのです。

ところが、私のように、古い文法はダメだ、日本語アナリズロジークが必要なのだ!と思う人は、なかなか出てきませんでした。
私は、しかたなく、自力で読み始めたということになります。

私は、本文のコーパス化から始めなくてはなりませんでした。
コーパスというのは、コンピュータで利用できるデータ形式のことです。
紙の資料ではデータベースに入力するのは至難の業で、全部手作業になります。
そこで、まず、ホツマ文字のフォントを作って、それで紙をスキャンして、OCRで読ませればよいだろうと考えてフォントを作成しました。
ところが、OCRは特定フォントと日本語辞書に依存しているので、なんだ、それなら、直接読ませたほうがいいや、とばかりに、作業をはじめたのですが、結局、読み合わせは人手をつかうことになるので、考え方を変え、文法と辞書の両面で解法を考えたのですが、最初は、全部自分で読んだほうがかんたんであることがわかり、文法の作成に注力し始めて、今に至っているのです。

しかし、参考にするべき史料というのが信頼できないため、「長い時間をかけて考察を進めるしかない」ということになりました。
一応、コーパス化はできたので、単語のかたより、音の流れ、仮名遣いの差を掃き出して行くうちに、だんだん内容が把握できるようになってしまったのです。
最終的に学問の世界で完成するにはさらに長い時間がかかると思われますが、「これまでの読み方は皆間違い」だけは確定してきたたのです。


これはモトアケ図ですが、いつ作られた図かもわかりません。(この図はひたかみserifを用いた、単なる私のオリジナル画像です)

そして、此れを用いてどのようなフトマニ占いが行われたかも、解っていません。(つまり、あまり意味の無い史料です)


これはフトマニの例文ですが、ホツマツタヱ本文に記述のあるものはすくなく、いつ編纂されたものかもわかりません。
この例は、少なくともBCからADにかけて使われていたことは想像されていますが、かつて池田満氏が思ったような「フトマニを研究してから急速にホツマツタヱの解読が進歩した」などということはありません。
池田氏ばかりでなく、ほとんどのホツマ研究者を名乗る人は、誤解をしたまま今日に至っているのです。

さて、では「出会いのウタ」の解説にしましょう。


これは、アメ族の領地に住むさまざまな階層の人々に、アマツヒツギになった、ナギとナミが知恵をしぼって作った、「馴れ初め」のウタです。
「いろは歌」と同様、48声を組み合わせて言葉遊びをやっているのですね。

1-4 アかはなま いきひにみうく アカハナマ イキヒニミウク 【ア〔敬〕、御・カ、家・ハナ、始・マ、間、貴女の御家で始めの頃】、【イ、活・キ(分詞)・ヒ、杼・ニ(造格)・ミ、見・ウ、受・ク(分詞)、活き活きと機を織るのを見て】、
1-4 ふぬむえけ へねめおこほの フヌムエケ ヘネメオコホノ 【フ、踏・ヌ、主・ム、宗・エ、愛・ケ、餉、(この家の)主である貴女と食事を共にして】、【ヘ、経・ネ(分詞)・メ、妻・オ(対格)・コ、子・ホ、欲・ノ(生格)、そして妻にして子が欲しいと思った】。
1-5 もとろそよ ヲてれせゑつる モトロソヨ ヲテレセヱツル 【モ、裳・ト、取・ロ(分詞)・ソ(自発)・ヨ(接続格)、(貴方の妻として)裳を着けましょう】、【ヲ〔尊〕・テ、然・レ(分詞)・セ、背・ヱ・得・ツ(再帰)・ル(理由)、そんなふうに夫にしたので】、
1-5 すゆんちり しゐたらさやわ スユンチリ シヰタラサヤワ 【ス、据・ユ(分詞)・ン(意思)、チリ、尻、(貴方は)そのまま居着いたのね】、【シ、其・ヰ、居・タ、父・ラ、母・サ、然・ヤ(反語推量)・ワ、我、居父母も・そう・したように】?


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●連続訳

貴女の御家で始めの頃、活き活きと機を織るのを見て、
この家の主である貴女と食事を共にして、そして妻にして子が欲しいと思った。

貴方の妻として裳を着けましょう、そんなふうに夫にしたので、
貴方はそのまま居着いたのね、居父母もそうしたように?

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●解説

こういったウタの型式を贈答歌と言います。



これは「出相のウタ」前半の24声をナギ(40歳頃)が歌います。


これは後半の24声をナミ(17歳頃)が歌います。

二人は歌で遊説(ゆうぜい)して周ったのですが、行く先というのは、同族の多く住むコロニーで、自分たち、アマツヒツギ(公務員としての全国の指導者)の配下になって欲しい、と訴えたのです。
つまり、その折に、同族のと結束というのは難しいことではなく、女系の家に男が入って、婿になる、それが日本全国を席巻するのが理想だ、と説くウタだったのです。

全国の島(しま、領地)を巡るのには当時の最良の交通手段である船を使ったのは言うまでもありません。
この遊説に依って出来た地方自治体のことを「自ずと凝る」という意味で、「オノコロ」と呼んだのです。

ここで、居父母(ゐたら)というのは、妻の両親、ここではカナサキ(トヨケ)夫婦のことです。
当然のことですが、カナサキに代表される山住(やますみ)のオヤジというのはバリバリのポリガミイ(多婚主義)だったのですね。



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