シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その333〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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今回はホツマツタヱ7アヤの解説、そのPart4です。
ソサノヲのエピソードをつづけましょう。

●一行訳7

7-29 うばいはむ そさヲのしわざ ウバイハム ソサヲノシワザ 【ウバイ、奪・ハ、喰、ム(完了)、味方につけた】。【ソ、曽・サ、南・ヲ〔雄〕・ノ・シ(分詞)、為・ワザ、業、ソサノヲの仕業としたものは】、
7-29 アぢきなく のしろしきまき アヂキナク ノシロシキマキ 【ア〔敬〕ヂ、味・キ、気・ナ、無・ク(状態)、公徳心が無く】、【ノ、苗・シロ、代・シキ、重・マキ、播、苗代の重播き】、
7-29 アおはなち みのらずみソの アオハナチ ミノラズミソノ 【ア〔敬〕、畦・オ・ハナチ、放、(公共財としての)畦を壊して(田の水を抜き)】【ミノラ、実・ズ(否定)ミ(寧)ソ〔水〕ノ(そのせいで稲が)実らず、御稲穂の】、
7-29 にいなめの かんみハおれハ ニイナメノ カンミハオレハ 【ニイ、新・ナメ、嘗・ノ、新嘗祭に用いる】、【カン、上・ミ(寧)・ハ・オレ、織・ハ(同期例示)、御上の御衣を織れば】、
7-30 とおけがす これたゝされて トオケガス コレタタサレテ 【ト、門・オ・ケガ、汚・ス、為、門を汚しました】。【コレ。此・タタサ、糾・レ(受け身)テ(結果)、これを糾されて】、
7-30 そさのヲが ヒとりかふむる ソサノヲガ ヒトリカフムル 【ソ、曽・サ、南・ノ・ヲ〔雄〕・ガ、ソサノヲが】、【ヒ〔独〕ト(類)リ、人・カフム、被・ル(分詞)、独りで被る(ことになったのです)】。
7-30 ゐんハとの とづれバいかる ヰンハトノ トヅレバイカル 【ヰン、忌・ハ〔衣〕トノ、殿、(ソサノヲは抗議しますが)忌み織り殿を】、【トヅ、閉・レ(条件)バ(分詞)イカ、怒・ル(不完了)、閉ざされてしまったので怒った(ソサノヲでした)】。
7-30 ぶちこまお ゐらかうがちて ブチコマオ ヰラカウガチテ 【ブチ、斑・コマ、駒・オ(仮属詞)、斑のある馬の(小屋の)】、【ヰラカ、瓦・ウガチ、穿・テ、屋根に穴をあけるほど】、
7-31 なげいるゝ はなごおどろき ナゲイルル ハナゴオドロキ 【ナゲ、投・イル、入・ル(完了)、(物を】投げ(馬が驚いて暴れ)】【ハナ、華・ゴ、子・オドロ、驚・キ(状態)、ハナコは驚いて】、
7-31 ヒにやふれ かみさりますと ヒニヤフレ カミサリマスト 【ヒ、杼・ニ・ヤ(反語推量)・フレ、触、杼のトゲに刺されたのでしょう・か】、【カミ、神・サリ、去・マス、坐・ト(伝聞)、失神しました、と】、
7-31 なくこえに きみいかりまし ナクコエニ キミイカリマシ 【ナ、鳴・ク(原因)・コエ、声・ニ、訴える声に】、【キミ、君・イカリ、怒・マシ、坐、キミ(ここではアマテル)はお怒りになり】、
7-31 そさのヲに なんぢきたなく ソサノヲニ ナンヂキタナク 【ソ、曽・サ、南・ノ・ヲ〔雄〕・ニ、ソサノヲに(言います)】。【ナンヂ、汝・キタナ、汚・ク(形容)、汝はなぜ非道な】、
7-32 くにのぞむ みちなすうたに クニノゾム ミチナスウタニ 【クニ、国・ノゾム、望、国(のありさまを)望むのか】、【ミチ、道・ナス、為・ウタ、歌・ニ、道理を示す歌に(あるではないか)】、
7-32 アめがした やわしてめくる 「アメガシタ ヤワシテメクル 【「ア〔天〕メ・ガ・シタ、下、天下を】、【ヤワシ、柔・テ・メクル巡、柔して巡る】、
7-32 ヒつきこそ はれてアかるき ヒツキコソ ハレテアカルキ 【ヒ〔日〕・ツキ、月・コソ(強調)、日月は】、【ハレ、晴・テ(結果)・アカル、明・キ(状態)、晴れて明るい】、
7-32 たみのたらなり タミノタラナリ」 【タ、手・ミ、身・ノ・タ、父・ラ、母・ナリ、也、家臣の親なのだ」】。
7-33 そさのヲハ いわおけちらし ソサノヲハ イワオケチラシ 【ソ、曽・サ、南・ノ・ヲ〔雄〕ハ、(一方的に批難された)ソサノヲは】、【イワ、言・オ・ケ、蹴・チラ、散・シ、言葉を荒げて】、
7-33 なおいかる きみおそれまし ナオイカル キミオソレマシ 【ナオ、尚・イカ、怒・ル(不完了)、尚怒ります】。【キミ、君・オソレ、恐・マシ、坐、キミは(自分の判断ミスに気づき)その剣幕に恐れて】、
7-33 いわむろに いりてとさせバ イワムロニ イリテトサセバ 【イワ、言・ムロ、室・ニ、祈祷室に】、【イリ、入・テ・ト、戸・サ、差・セ(敬語)・バ(状態)、入って戸を閉めたので(ツキヨミ事件同様の職場放棄)】、
7-33 アめがした かがもアやなし アメガシタ カガモアヤナシ 【ア〔天〕メ・ガ・シタ、下、天下に】、【カ、清・ガ、濁・モ・アヤ、綾・ナシ、無、(キミが裁きを下すことから逃げたので)無法になりました】。


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●連続訳7
ソサノヲの仕業としたものは、公徳心が無く、苗代の重播き、畦を壊して(田の水を抜き)、そのせいで稲が実らず、御稲穂の、新嘗祭に用いる、御上の御衣を織れば、門を汚しました。
これを糾されて、ソサノヲが、独りで被ることになったのです。
忌み織り殿を、閉ざされてしまったので怒ったソサノヲでした。
斑のある馬の小屋の、屋根に穴をあけるほど、物を投げ、馬が驚いて暴れハナコは驚いて、杼のトゲに刺されたのでしょうか、失神しました、と、訴える声に、キミ(ここではアマテル)はお怒りになり、ソサノヲに(言います)。
「汝はなぜ非道な、国のありさまを望むのか、道理を示す歌にあるではないか、天下を柔して巡る、日月は、晴れて明るい、家臣の親なのだ」。
一方的に批難されたソサノヲは、言葉を荒げて、尚怒ります。
キミは、自分の判断ミスに気づき、その剣幕に恐れて、祈祷室に入って戸を閉めたので(ツキヨミ事件同様の職場放棄)、キミが裁きを下すことから逃げたので、天下が、無法になりました。

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●解説7

 この当時、田の畦(あぜ)は、コミュニティに属し、公共の使用に供されていました
通常、一つの村は一つの家族だったようです。

水田稲作というのは、農業従事者でないかぎり、かなり誤解されているようです。
弥生時代の稲作は「ヒラバノオタ(低地の泥田)」と、「高田」があったようで、ヒラバノオタは、播きっぱなしで田植えはしないタイプ畦を造り、水路で灌漑をするタカタは代掻きと田植えがひつようなのです。
作柄の悪い年でも、とりあえず、喰うだけあれば済むのですが、手間をかければ、収量は5倍にもなるという優れものなのです。
新田として開いた田でも、腰まで泥に沈んでしまうような「湿田」は客土をしないかぎり、耕作は容易にならないのです。
昭和の時代まではまだそういう湿田が残っていたようで、小学校でも湿田の話はしていたのです。


これは田舟、泥田の必需品で、収穫物を乗せたり、農具を移動したり、またこの上に人がのって作業をすることもできるのです。


後述されますが、ネタバレしておくと、このような悪事はすべてシラヒトの一味がやったことで、ソサノヲには責任がありません。

謂れの無い誹りを受けたソサノヲは癇癪を起こして者を投げました。
ブチコマオのところで、(仮属詞)と注釈をつけましたが、実際にソサノヲがやった行為は、物を投げて馬小屋の屋根を壊したことだけだったのですが、それらはすべて省略されており、属詞が何かも、理解できないと思われます。

これはアナリズロジークの便法で、省略されていても、文法上の仮属詞としておけば、意味を把握できると思ったのです。

フランス語の属詞は英語と同じ、アトリビュートを表現しているものです。

北鎌フランス語講座
http://class.kitakama-france.com/index.php?%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E%E6%96%87%E6%B3%95%E7%94%A8%E8%AA%9E

ここにはフランス語の大概な要素を解説してありますが、私が見てほしいのは、明治・大正・昭和・平成・令和の学習者の苦労の跡が見てとれるからです。
フランス語の文法用語を日本語の単語に置き換えて翻訳し、適切と思われる使い方を広めていったのです。
しかし、我が国の「国学」はどうでしょうか?
伝承者であったはずの和仁估安聡(わにこやすとし)の拙い漢訳を読んで、ホツマツタヱの内容を理解してしまったことを認識しなくてはならないのです。
平安文法でホツマツタヱを読み解いたのならまだしも、偽書だというのは間違いだ!と吠えながら、新たな誤読をくりかえして来たのです。
これまでの学習者はみなこのパターンを持っていたのでしょうか。
私は、漢訳文を見ても、心に響くものなどなかったのです。
私が「間」だと言っているものは総て「魔」に置き換えられているのです。
この基本的な勘違いが、真名の意味の取り違えに繋がっているのです。
丸の中に四角のパターンに「尊敬」を見出していた池田満氏でさえ、真名を考慮しない翻訳を繰り返していました。
そして、日蓮宗のイメージで「魔」にこだわってきたのです。
あまつさえ、漢字以前の文書なのだから漢字を使って訳してはダメだ!として極めて多くの学習者に遠回りを強いてきたのです。

私は、真名を中心に解析を進めて今に至り、池田満氏に学ぶことは多かったのですが、別の道を歩いているようです。


ソサノヲは貴人で、一人なのですから。


大部分の人が、「杼に破れ」と読んだと想像できますが、ここは、「杼に触れたのだろうか」が正しいのです。
痛!っといって、意識を失ったのですね。
それで、「カミサリマストナクコエニ」なのですよ。


記紀の読者は「〜で死んだ」、が好きなようで、ホツマツタヱにもそれを求めるのでしょうか。


「イワムロ」という言葉と「イハト」という言葉が出てきますので、訳文も使い分けなくてはなりません。
いずれも、「岩」でも、「磐」でもありません。
ここでは「言室(祈祷室)」としましたが、現代の儀式でも、このムロは聖別されており、キミ以外、入ることは許されません。
このイワムロには明かりが無く、真っ暗な闇の中で鏡と向き合って先祖の天皇達と対話をするのです。
昔、小泉純一郎が総理大臣をやっていたとき、天皇の暗闇の儀式の間中、ずっとこの部屋の外で待たされたので、思わず「改革だ!」とつぶやいたそうです。
小泉は北朝鮮のエージェントでしたが、天皇は東朝鮮のトップ、さぁ、どっちが上だったのでしょうか。

この習慣がイサナギの時代からあったのか、倭媛の宗教改革以降なのか、はたまた、神武以降だったのか、どこにも答えはありません。

この時代、しばしば、鳥をシンボライズして表現しますので、「ナク」は「鳴く」であり、不満や悲しみを「訴える」、また人を「呼ばわる」、という意味で使っているようです。
同様に、飛脚はキジ、急ぎのときはハヤキジ、いずれも、「飛ぶ」と言っております。
弥生時代では「オトロク」は驚愕の意味ですが平安時代では目を覚ますですね。

現在、死者が増えたので、バレないように、無料のワクチンはプラセボがほとんどだと考えられますが、有償化すると、全数がホンモノの毒ワクになると考えられますので、今ほど安全ではなさそうです。
小児用もプラセボではないと考えられ、極めて危険です。
まあ、普通の人は、もうやらないと思われますが、こんな収束の仕方はダメですね。
正しい対応は、最初に死んだ26歳の看護師の認定、保証をしないかぎり、政府を信用するなど夢のまた夢です。


●一行訳8

7-34 やすがわの やみにおどろく ヤスガワノ ヤミニオドロク 【ヤ、野・ス、洲・ガワ、側・ノ・野洲川の辺りは】、【ヤミ、闇・ニ・オドロ、驚・ク(結果)、(夜のことなので闇に)、話を聞いて驚きました】。
7-34 おもいかね たビまつにハせ オモイカネ タビマツニハセ 【オモイ、思・カネ、兼、オモイカネは】、【タ、手・ビ、灯・マツ、松・ニ・ハ〔衣〕セ、馳、松明を手にしてタカマに馳せ参じ】、
7-34 こにとひて たかまにはかり 「コニトヒテ タカマニハカリ 【「コ、此・ニ・トヒ、問・テ、ここに伺って】、【タカ、高・マ、間・ニ・ハカリ、諮、タカマに諮る(一大事です)】、
7-34 ゐのらんや つハものぬしが ヰノランヤ ツハモノヌシガ 【ヰ、威・ノラ、宣・ン(意思)・ヤ(反語婉曲強要)、稜威を示してください」と】、【ツハ、強・モノ、兵・ヌシ、主(オモイカネ)が(宣ります)】。
7-35 まさかきの かんゑハにたま マサカキノ カンヱハニタマ 【マ、間・サカ、栄・キ、木・ノ、真榊の(枕)】、【カン、上・ヱ、笑・ハ・ニ、瓊・タマ、珠、御上の笑みは太陽なのです】。
7-35 なかつゑに まふつのかがみ ナカツヱニ マフツノカガミ 【ナカ、中・ツ・ヱ、会・ニ、中央の会には】、【マ、間・フツ、総・ノ・カガミ、鏡、マフツノカガミを置きました(御上が居ればそこがタカマです)】。
7-35 しもにきて かけゐのらんと シモニキテ カケヰノラント」 【シモ、下・ニ・キ、来・テ(状況)、(準備はできています、)伏して】、【カケ、陰・ヰ、威・ノラ、宣・ン(意思)・ト(要求)、僭越ながら、キミの御稜威の言を乞います】。
7-35 うすめらに ヒかげおたすき ウスメラニ ヒカゲオタスキ 【ウス、若・メ、女・ラ、等・ニ、若い姫達の】、【ヒ〔日〕・カゲ、陰・オ・タスキ、助、日陰のミヤビ(キミへの想い)を顧み】、
7-36 ちまきほこ おけらおにハビ チマキホコ オケラオニハビ 【チ、地・マキ、幕・ホコ、戈、近衛として護る物部】、【オケ、置・ラ、等・オニ、鬼・ハ、払・ビ〔灯〕、衛士と鬼払いの篝火に至るまで、(キミがいなければ無力です)】。
7-36 さゝゆはな かんくらのとの ササユハナ カンクラノトノ」 【ササ、支・ユ(分詞)ハナ、華、(それらを)支える華である】、【カン、上・クラ、座・ノ・トノ、殿(呼びかけ)、御上座の殿、アマテル様】!
7-36 かんかがり ふかくはかりて カンカガリ フカクハカリテ 【カン、上・カガ、考・リ(分詞)、御上の・考えを】、【フカ、深・ク(状態)・ハカリ、量・テ(分詞)、深く量った】、
7-36 おもいかね とこよのおとり オモイカネ トコヨノオトリ 【オモイ、思・カネ、兼、オモイカネが】、【トコ、常・ヨ、世・ノ・オトリ、躍、常世の節で】、
7-37 ながさきや わざおきうたふ ナガサキヤ ワザオキウタフ 【ナ、名・ガ・サキ、幸・ヤ、「ナガサキヤ」を】、【ワザ、技・オキ、置・ウタ、歌・フ(完了)、とても上手に歌った】。
7-37 かぐのき  かれてもにほゆ 「カグノキ カレテモニホユ 【「カ、夏・グ、具・ノ・キ、木、「カグノ木は】、【カレ、枯・テ(状態)モ(逆接)ニホ、匂・ユ(継続)、枯れても匂い続ける】、
7-37 しほれてもよや アがつま シホレテモヨヤ アガツマ 【シホレ、萎・テモ(逆接)ヨ、良・ヤ(強調)、萎れても(それでもなお)良いのだ】。【ア、吾・ガ・ツマ、妻、(私は)吾が妻に】、
7-37 アわ アがつまアわや しほ アワ アガツマアワヤ シホ 【アワ、相、会いたい】。【ア、吾・ガ・ツマ、妻・アワ、相・ヤ(願望)・ シホ、萎、吾が妻に会いたい。しほ】ー
7-38 れてもよや アがつま アわ レテモヨヤ アガツマ アワ」【レ、萎・テモ(逆接)・ヨ、良・ヤ(強調)、(しお)れていても良いのだ】。【ア、吾・ガ・ツマ・アワ、相、吾が妻に会いたい」】。
7-38 もろかみハ いハとのまえに モロカミハ イハトノマエニ 【モロ、諸・カミ、守・ハ、諸守は】、【イハ、祝・ト、戸・ノ・マエ、前・ニ、祝戸の前に】、
7-38 かしまどり これぞとこよの カシマドリ コレゾトコヨノ 【カ、畏・シマ、島・ドリ、取、畏しこんで陣取り】、【コレ、此・ゾ(強調)・トコ、常・ヨ、世・ノ、これこそが常世の】、
7-38 なかさきや きみゑみほそく ナカサキヤ キミヱミホソク 【ナ、名・ガ・サキ、幸・ヤ、御家の幸せだ、(と寿ぎました)】。【キミ、君・ヱミ、笑・ホソ、細・ク(状態)、君は笑み・細く(戸を開けて)】、
7-39 うかゝえハ いハとおなぐる ウカカエハ イハトオナグル 【ウカカ、窺・エ(継続)、ハ(結果)、覗えば】、【イハ、祝・ト、戸・オ・ナグ、投・ル、(イワムロの戸を)投げる(ように一気に開けました)】。
7-39 たちからヲ みてとりいだし タチカラヲ ミテトリイダシ 【タ、手・チカラ、力・ヲ〔雄〕、タチカラヲ(甥のタケミカツチ)は】、【(キミの)御手を取り、(イワムロから導き)出し】、
7-39 たてまつる つハものぬしが タテマツル ツハモノヌシガ 【タテマツ、奉・ル(完了)、奉りました】。【ツハ、強・モノ、兵・ヌシ、主・ガ、強将軍(ここではオモイカネ)が】、
7-39 しめなわに なかえりましそ シメナワニ ナカエリマシソ 【シメ、締・ナワ、綯・ニ、締めくくりに】、【ナ、無・カエリ、帰・マシ、坐・ソ(禁止)、お戻りにならないで下さい、と(乞いました)】。


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●連続訳8
野洲川の辺りは、夜のことなので闇に、話を聞いて驚きました。
オモイカネは、松明を手にしてタカマに馳せ参じ、
「ここに伺って、タカマに諮る一大事です、稜威を示してください」と、【ツハ、強・モノ、兵・ヌシ、主、強将軍(ここではオモイカネ)が宣ります。
「真榊の(枕)、御上の笑みは太陽なのです。
中央の会には、マフツノカガミを置きました、御上が居ればそこがタカマです。
準備はできています、伏して、僭越ながら、キミの御稜威の言を乞います。
若い姫達の、日陰のミヤビ、キミへの想いを顧み、
近衛として護る物部、衛士と鬼払いの篝火に至るまで、キミがいなければ無力です。
それらを支える華である、御上座の殿、アマテル様!」
御上の考えを、深く量った、オモイカネが、常世の節で、「ナガサキヤ」を、とても上手に歌いました。

「カグノ木は、枯れても匂い続ける。
萎れても、それでもなお良いのだ。
私は、吾が妻に、会いたい。
吾が妻に会いたい。
しおれていても良いのだ。
吾が妻に会いたい。」

諸守は、祝戸の前に、畏しこんで陣取り、これこそが常世の、御家の幸せだ、と寿ぎました。
君は笑み、細く戸を開けて覗えば、イワムロの戸を、投げるように一気に開けました。
タチカラヲ(甥のタケミカツチ)は、キミの御手を取り、イワムロから導き出し奉りました。
強将軍(ここではオモイカネ)が、締めくくりに、お戻りにならないで下さい、と乞いました。

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●解説8

ここで、オモイカネの口上ですが、これはクシミカタマは手を加えていないだろうと思えるくらい、ヨイショしていますね。
本文にもあるように、オモイカネは御上の立場を良く理解しているようです。
ただ、ここでは自信を失って逃げにはいっていたアマテルを蘇らすには、ひたすら持ち上げるしかないとおもわれますが、即興でこれだけ言えるってのはすごいですね。
中華小噺を思い出してしまいました。
都で賄賂三昧をして死んだ役人が地獄の閻魔大王の裁きをうけるのに、おべんちゃらを繰り返すので、閻魔は起こって、力んだために屁をたれてしまったのを、この役人はすかさず褒めまくるのです。
曰く、其の芳香は千里にたなびき云々。
さすがの閻魔も、こんなやつを地獄に置いておくわけにはいかない、と娑婆に帰してしまったという噺。

前回出てきた、速川一族は要注意だけど、争わないで済むように、うまく纏めてほしいという想いが感じられます。
ここでは、ソサノヲに泣いてもらって、サホコをうまく繋げようという、タカミムスビの熱意が感じられます。
その辺まで加味して考えると、やはりアメワカヒコを死なせたのはワザとだったのかもしれません。
タケミカツチって、傍目には筋肉バカにみえますが、かなりの策士ですね。
智慧のレベルでは後年のソサノヲといい勝負だと思われます。

この「ナガサキヤ」の歌には、3行の間に6個の御家を表す「ア」が使われています。
単純なパターンの繰り返しにも見えますが、意味はよくわからないのです。
亡き妻を偲ぶ歌なのでしょうか。
御家についた妻、つまり「居妹」ですね。
しがないお婿のボクちゃんにも、いつも優しかったなぁ、なのでしょうか。



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