シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その314〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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今回は、ホツマツタヱ27アヤの解説、Part5です。

はじめる前は、情報はほとんど改竄されてしまっていると思っていたのですが、意外に残っているものですね。
オオタタネコは、元の文を見て、なーんだ、これじゃ、わしらの世界と同じだぁ、と思ってしまったので、そのまま転載しているものもあるのです。
しかし、そのままでは現代人の誤読と同じなのですよ、これが。

ではそんな古い断片を拾い集めるべく、本文に行きましょう。


●一行訳9

27-44 なあてなし こやねふとまに ナアテナシ コヤネフトマニ 【ナ、名・アテ、宛・ナシ、為、対象を求めて】、【コ、児・ヤ、屋・ネ、根・フト、太・マニ、占、コヤネはフトマニで】、
27-45 うらなえバ ヤせひめよけん ウラナエバ ヤセヒメヨケン 【ウラナエ、占・バ、占うと】、【ヤ〔八〕セ、瀬・ヒメ、姫・ヨケ、良・ン(推量)、ヤセヒメが良いでしょう、と】。
27-45 ヤヒのヰハ なかのヤとなる ヤヒノヰハ ナカノヤトナル 【ヤ〔八〕・ヒ〔一〕・ノ・ヰ〔五〕ハ、8・1・5は】、【ナカ、中・ノ・ヤ〔八〕ト・ナル、成、中でも「八」である】、
27-45 しのはらハ はゝとはらめる シノハラハ ハハトハラメル 【シ、嗣・ノ・ハラ、腹・ハ、世継の腹は】、【ハハ、母・ト・ハラメ、孕・ル(可能)、母として孕むことができるだろう】、
27-45 やのつほね うちめハなかの ヤノツホネ ウチメハナカノ 【ヤ、家・ノ・ツホネ、局、宮内の局では】、【ウチ、内・メ、姫・ハ・ナカ、中・ノ、ウチメは中ぐらいの】、
27-46 くらいなり としもわかバの クライナリ トシモワカバノ 【クライ、位・ナリ、也、地位なのです】。【トシ、歳・モ・ワカ、若・バ、端・ノ、(局の中では)最も若く】
27-46 ヤせヒめお ソヒのきさきも ヤセヒメオ ソヒノキサキモ 【ヤ〔八〕セ、瀬・ヒ〔人〕メ、姫・オ、ヤセヒメを】、【ソ〔十〕ヒ〔一〕・ノ・キサキ、妃・モ、(残りの)11人の妃達も】、
27-46 みないはふ おしくもきよめ ミナイハフ オシクモキヨメ 【ミナ、皆・イハフ、祝、皆が祝福しました】。【オシ、忍・クモ、雲・キヨメ、清、オシクモは清めた】、
27-46 よつぎやに いのれハしるし ヨツギヤニ イノレハシルシ 【ヨ、代・ツギ、継・ヤ、屋・ニ、世継のミヤに】、【イノレ、祈・ハ・シルシ、験、祈ると験があり】、
27-47 はらみゑて ソヰつきにうむ ハラミヱテ ソヰツキにウム 【ハラミ、孕・ヱ、得・テ、孕みまして】、【ソ〔十〕ヰ〔五〕ツキ、月・ニ・ウム、産、十五ヶ月目に産まれました】。
27-47 ヰつせきみ ヤせヒめみやに ヰツセキミ ヤセヒメミヤニ 【ヰ〔五〕ツ(類)セ、瀬・キミ、君、(八瀬川の)五番目の瀬のキミです】、【ヤ〔八〕セ、瀬・ヒ〔人〕メ、姫・ミヤ、宮・ニ、ヤセヒメをミヤに】、
27-47 いるゝまに ついかみとなる イルルマニ ツイカミトナル 【イル、入・ル(不完)・マ、間・ニ、入れないうちに】、【ツ、突・イ、意・カミ、神・ト・ナ、成・ル(完了)、急死してしまいました】。
27-47 おチなくて ふれたつぬれハ オチナクテ フレタツヌレハ 【オ(寧)チ〔乳〕・ナク、無・テ、(子のための)御乳が無くて】、【フレ、触・タツヌレ、尋・ハ、お触れを出して尋ねましたが】、
27-48 これのさき かもたけすみと コレノサキ カモタケスミト 【コレ、此・ノ・サキ、前、これより前に】、【カ、賀・モ、茂、タケ、高・スミ、住・ト、カモタケスミと】、
27-48 いそよりと ソミすゝまても イソヨリト ソミススマテモ 【イソ、磯・ヨリ、依・ト、イソヨリと】、【ソ〔十〕ミ〔三〕スス、鈴・マテ、迄・モ、13年の間】、
27-48 こなきゆえ わけつちかみに コナキユエ ワケツチカミニ 【コ、子・ナキ、無・ユエ、故、子が生まれなかったので】、【ワケ、分・ツチ、土・カミ、神・ニ、国境の神に】、
27-48 いのるよの ゆめにたまわる イノルヨノ ユメニタマワル 【イノル、祈・ヨ、夜・ノ、祈った夜の】、【ユメ、夢・ニ・タマワ、賜・ル(伝聞)、夢のお告げで賜わった】、
27-49 たまのなの たまよりヒめお タマノナノ タマヨリヒメオ 【タマ、珠・ノ・ナ、名・ノ(比喩)、珠のような名の】、【タマ、珠・ヨリ、依・ヒメ、媛・オ、タマヨリヒメを】、
27-49 うみてのち ヒたしてよハひ ウミテノチ ヒタシテヨハヒ 【ウミ、産・テ・ノチ、後、産んだ後】、【ヒ、肥・タシ、足・テ・ヨハヒ、齢、養育して歳の頃も】、
27-49 ソよすゝに たらちねともに ソヨススニ タラチネトモニ 【ソ〔十〕ヨ、余・スス、鈴・ニ、十年あまりになって】、【タ、父・ラ、母・チ、道・ネ、根・トモ、共・ニ、両親共に】、
27-49 かみとなる かあいのかみそ カミトナル カアイノカミソ 【カミ、神・ト・ナル、成、神上がりました】。【カ、河・アイ、合・ノ・カミ、神・ソ、(それが)河合の神です】。


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●連続訳9
対象を求めて、コヤネはフトマニで占うと、ヤセヒメが良いでしょう、と。
8・1・5は、中でも「八」である、世継の腹は、母として孕むことができるだろう、宮内の局では、ウチメは中ぐらいの地位なのです。
局の中では最も若くヤセヒメを、残りの11人の妃達も、皆が祝福しました。
オシクモは清めた世継のミヤに、祈ると験(しるし)があり、孕みまして、十五ヶ月目に産まれました。
八瀬川の五番目の瀬のキミです。
ヤセヒメをミヤに、入れないうちに、急死してしまいました。
子のための御乳が無くて、お触れを出して尋ねました。
これより前に、カモタケスミと、イソヨリと、13年の間、子が生まれなかったので、国境の神に祈った夜、夢のお告げで賜わった、珠のような名の、タマヨリヒメを、産んだ後、養育して歳の頃も、十年あまりになって、両親共に、神上がりました。
それが河合の神です。

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●解説9


これはフトマニの「シハラ」の項目です。
毎度書いていることですが、フトマニの記述は、それらしいのをぴっくあっぷしただけで、特に意味はなさそうです。
ただ、「嗣の腹」はぴったりなモチーフですね。

ヤセヒメは名もない家の姫だったのですが、これで貴人になったのも束の間、死んでもあまり報われていないようです。
八瀬自体が、比叡の麓の高野川の流域に根付いた、出雲系の村だったのでしょうか。
国でさえもないのです。
このアヤでは物部(もののべ)の話も出てきません。


八瀬はその名の示すように8つの瀬がある地域だったのでしょう。
ヰツセはその「五番目の瀬の子」というくらいの意味なのでしょうか。

八瀬天満宮社(やせてんまんぐうしゃ)
京都府京都市左京区八瀬秋元町639
35.083780,135.820370

祭神
菅原道真

標高 185m
利用河川 高野川(たかのがわ)

祭神が菅公なのは、後世の人の趣味ですね。
この地域の氏神ということなので問題はありません。

この文も改竄前のものだと思われるのですが、どこまで本当かはわからないので、困るのです。



●一行訳10

27-50 たまよりハ モまつりなして タマヨリハ モマツリナシテ 【タマ、珠・ヨリ、依・ハ、タマヨリヒメは】、【モ〔喪〕・マツリ、祭・ナシ、為・テ(親の)喪の祭を為して】、
27-50 たゝヒとり わけつちかみに タタヒトリ ワケツチカミニ 【タタ、只・ヒ〔人〕ト(類)リ、独、ひとりきりで】、【ワケ、分・ツチ、土・カミ、神・ニ、国境の神に】、
27-50 またもふて ゆふさゝくれバ マタモフテ ユフササクレバ 【マタ、又・モフテ、詣、また詣て】、【ユフ、幣・ササク、捧・レ(定常)バ、幣布を捧げていたので】、
27-50 うつろいが うたがいとわく ウツロイガ ウタガイトワク 【ウツロイ、移・ガ、通りがかりの者が】、【ウタガイ、疑・トワ、問・ク(婉曲)、不審に思い聴きました】。
27-51 ヒめヒとり わけつちかみに ヒメヒトリ ワケツチカミニ 【ヒ〔人〕メ、媛・ヒ〔一〕ト(類)リ、人、媛がただひとりで】、【ワケ、分・ツチ、土・カミ、上・ニ、国境の御上に】、
27-51 つかふかや こたえしからず ツカフカヤ コタエシカラズ 【ツカフ、仕・カヤ(反語)仕えるのでしょうか】?【コタエ、答・シカラ、然・ズ(否定)、(媛は)答えて「違います」と】。
27-51 またとわく よにちなむかや マタトワク ヨニチナムカヤ 【マタ、又・トワ、問・ク(婉曲)、またも聴きます】、【ヨ、世・ニ・チナム、因・カヤ(反語)、「誰でも関係するのかな」】?
27-51 ヒめこたえ なにものなれバ ヒメコタエ ナニモノナレバ 【ヒ〔人〕メ、媛・コタエ、答、媛は答えて】、【ナニ、何・モノ、者・ナレ、也・バ(限定)、(汝は)何者故に】、
27-52 おとさんや われハかみのこ オトサンヤ ワレハカミノコ 【オトサ、貶・ン(分詞)ヤ(反語)貶めるとは】!【ワレ、我・ハ・カミ、上・ノ・コ、子、私は御上の子なのです】。
27-52 なんぢハと いえバうつろゐ ナンヂハト イエバウツロヰ 【ナンヂ、汝・ハ・ト、汝は誰なのか】?【イエ、言・バ(結果)・ウツロ、虚・ヰ、居、言うと、ウツロヰは】、
27-52 とびあがり なるかみしてぞ トビアガリ ナルカミシテゾ 【トビ、跳・アガリ、上、跳び上がって驚き】、【ナル、鳴・カミ、神・シ、為・テ・ゾ(強調)、怒鳴り散らしながら】、
27-52 さりにける あるヒまたいで サリニケル アルヒマタイデ 【サリ、去・ニ・ケル(完了)、去って行きました】、【アル、或・ヒ〔日〕・マタ、又・イ(継)デ、出、ある日また現れ】、
27-53 みそぎなす しらハのやきて ミソギナス シラハノヤキテ 【ミ、身・ソギ、添・ナス、為、身添ぎ(縁結び)しました】。【シラ、知・ハ〔衣〕・ノ・ヤ、爺・キ、来・テ、(ワケツチの)司が来て】、
27-53 のきにさす あるじのおけの ノキニサス アルジノオケノ 【ノキ、軒・ニ・サ、指・ス、軒に印(家紋の懸魚)を付けました】、【アルジ、主・ノ・オケ、置・ノ、その司の住居となり】、
27-53 とゝまりて おもハすヲのこ トトマリテ オモハスヲノコ 【トトマリ、留・テ、とどまって】、【オモ、想・ハス(否定)、ヲ〔雄〕・ノ・コ、子、幸運にも男の子を(授かり)】、
27-53 うみそたつ ミつなるときに ウミソタツ ミツナルトキニ 【ウミ、産・ソタ、育・ツ(継続)、産んで育てました】。【ミ〔三〕ツ(類)・ナル、成・トキ、時・ニ、三才になった時、】
27-54 やおさして ちゝというとき ヤオサシテ チチトイウトキ 【ヤ、爺・オ・サシ、指・テ、夫を指して】、【チチ、父・ト・イウ、言・トキ、時、父と呼ぶようになりましたが、】
27-54 やハのほる わけいかつちの ヤハノホル ワケイカツチノ 【ヤ、爺・ハ・ノホル、上、(その)男はミヤコに上りました】、【ワケ、分・イカツチ、雷・ノ、ワケイカツチの】、
27-54 かみなりと よになりわたる カミナリト ヨニナリワタル 【カミ、神・ナリ、也・ト、神であると、】、【ヨ、世・ニ・ナリ、鳴・ワタ、渡・ル(完了)、世の中に噂されるようになりました】。
27-54 ヒめみこお もろかみこえど ヒメミコオ モロカミコエド 【ヒメ、媛・ミ(寧)コ、子・オ、(その)媛御子を】、【モロ、諸・カミ、上・コエ、請・ド(逆接)多くの御上が欲しがりましたが】、
27-55 うなつかす たかのゝもりに ウナツカス タカノノモリニ 【ウナツカ、頷・ス(否定)受け入れませんでした】。【タカ、高・ノ、野・ノ・モリ、森・ニ、高野の森に】、
27-55 かくれすむ わけいかつちの カクレスム ワケイカツチノ 【カクレ、隠・スム、住、ひっそりと住んでおりました】。【ワケ、分・イカツチ、雷・ノ、ワケイカツチ神の】、
27-55 ほこらなし つねにみかげお ホコラナシ ツネニミカゲオ 【ホコラ、祠・ナシ、成、祠を造り】、【ツネ、常・ニ・ミ(寧)カゲ、蔭・オ、(斎として)常に御蔭(御恩)を】、
27-55 まつるなり みふれによりて マツルナリ ミフレニヨリテ 【マツル、祀・ナリ、也、祀っていました】。【ミ(寧)フレ、触・ニ・ヨリ、依・テ】、


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●連続訳10
タマヨリヒメは、親の喪の祭を為して、ひとりきりで、国境(くにさかい)の御上に、また詣で、幣布を捧げていたので、通りがかりの者が、不審に思い聴きました】。
媛がただひとりで、国境の御上に、仕えるのでしょうか?
媛は答えて「違います」と。
またも聴きます、「誰でも関係するのかな」?
媛は答えて、汝は何者故に、貶めるとは!私は御上の子なのです。
汝は誰なのか?
言うと、ウツロヰは、跳び上がって驚き、怒鳴り散らしながら、去って行きました。
ある日また現れ、身添ぎ(縁結び)をしました。
ワケツチの司が来て、軒に印(家紋の懸魚)を付けました、その司の住居となり、とどまって、幸運にも男の子を授かり、産んで育てました。
三才になった時、夫を指して、父と呼ぶようになりましたが、その男はミヤコに上りました。
ワケイカツチの、神であると、世の中に噂されるようになりました。
その媛御子を、多くの御上が欲しがりましたが、受け入れませんでした。
高野の森に、ひっそりと住んでおりました。
ワケイカツチ神の、祠を造り、斎として常に御恩を、祀っていました。

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●解説10

このへんが27アヤで意味のある部分と思われるのは、白羽の矢というエピソードの元ネタなのでしょうが、ここで訳したような真相が隠されていたことが、クシミカタマが元々書いていた文なのです。
オオタタネコはあっさり、この話に乗るのですが、気がついていたのか居なかったのか、さあ、どうでしょうか。
ここの訳ではワケツチカミとワケイカツチの神が同一なのか別の人なのか、神話にならないところがクシミカタマの値打ちなのですよ、これが。

この場所はヤセヒメのところから2.6kmしか離れていません。


これはウツロヰが媛をからかっていたところですが、女系の媛は、夫、あるいはその父の家に「居つく」ところから「斎(いつき)」という呼ばれ方をしたものと考察されます。

出雲高野神社(いづもたかのじんじゃ)
京都府京都市左京区上高野西明寺山34
35.065611,135.800667

祭神
玉依姫命

利用河川 高野川

話のやりとりからは、ギリシャなどの神殿の巫女というのは、特定の夫をもたず、あるいは神に仕えるということになっていますから、信者から金を徴収する売春婦だというのと似ていますが、アメ族には確立された通貨経済が無いようなので、若干異なる婚姻形態と考えられるのです。

ここで、印というのは、神社の軒先にある神紋をあらわした懸魚(げぎょ)のことなのですね。
神紋は別の場所に飾ることもありますが、施主の家を表しているようです。

その夫が、ミヤコに行ってしまったので、媛は別の場所に祠(ほこら)をかまえるのです。
ここではその夫、あるいは別の支援者が祠の建設をしたものと考えられます。


これは御蔭神社、なぜ隠れ住むのかは良くわかりません。
御蔭(みかげ)の意味は遺影や御神影という意味の肖像ではなく、「おかげさまで」という御蔭なのですね。

御蔭神社(みかげじんじゃ)
京都府京都市左京区上高野東山207
35.062777,135.806465

祭神
賀茂建角身命荒魂
玉依日売命荒魂

標高 150m
利用河川 高野川



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