シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その223〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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今回はホツマツタヱ12アヤの解説をするのですが、少々方針を変えることにしました。
中学校の国語の授業じゃあるまいし、生徒にテキストを読ませて、途中、「ハイそこまで」といって段落を切るのはどうかな、と思ったからです。

段落を切る作業をするのは良いのですが、読者に私の感覚をおしつけているのでは?という疑問がわいたのです。
しかも、結果、私自身の手間がかかっているだけで、説明的な授業風景からは、新たな理解には至らないのではないでしょうか。

そこで、表形式の見出しはやめて、エピソード単位で図解して行くことにしました。
アニメ屋がシーンを解説するのに、「絵コンテ」というのを使いますが、私には漫画が描けないので、図で表現します。
つまり、図コンテですか。

ただし、段落が悪いわけではなく、長すぎると飽きてしまうと思われますので、私が適当に切ることにします。
特に、ウタの心得の無い向きには、切れるところがわからないと思いますので、前後は切ることにし、それぞれの断片に名前をつけることはやめました。
また、名前が無くてファイル管理ができなくなるのも困るので、シーケンス番号はふっておきます。


■アキツヒメのアマガツのアヤPart1

まず、本文の一行訳を貼っておきましょう。

●一行訳1

12-1 アきつヒめアまがつのアや  アキツヒメアマガツノアヤ 【ア〔敬〕キツヒ〔人〕メとアマガツのアヤ】
12-1 さつさつの こゑといもせの サツサツノ コヱトイモセノ 【サツ・サツ、めでたいめでたい・ノ】、【(歌う)コヱトイモセノ、声と妹背(新郎新婦)の】
12-1 さゝいハふ そのもとおりハ ササイハフ ソノモトオリハ 【ササ・イハフ、幸せを祝う】、【その基は】、
12-1 アまがつお はやあきつめの アマガツオ ハヤアキツメノ 【ア〔天〕マガツ、稚児人形を】、【ハヤアキツヒメが】
12-2 つくりそめ アまてるみこの ツクリソメ アマテルミコノ 【作り初め、ア〔天〕マテルの御子の
12-2 ヲしほみゝ アまつヒつぎハ ヲシホミミ アマツヒツギハ 【ヲ〔雄〕シホミミの】、【ア〔天〕マ・ツ・ヒ〔日〕・ツ・ギ、天の日の長兄は】、
12-2 たかのかふ たくはたヒめの タカノカフ タクハタヒメノ 【タカノカフ、多賀の甲で】、【タクハタヒ〔人〕メが】
12-2 みうちいり そのさきこしの ミウチイリ ソノサキコシノ 【ミウチイリ、宮内に入り、入内しました】。【その先輿の】
12-3 アまがつお しほかまのかみ アマガツオ シホカマノカミ 【ア〔天〕マガツを】、【シホカマの守(当代はハヤアキツの子、アマツヒコネ・タタキネ)が】
12-3 まだしらで かすがのかみに マダシラデ カスガノカミニ 【まだ知らなかったので】、【カスガの守に】、
12-3 ゆえおとふ かすがこたえて ユエオトフ カスガコタエテ 【故を問いました】。【カスガが答えて】
12-3 これむかし アまのますヒと コレムカシ アマノマスヒト 【これは昔】、【ア〔天〕マ・ノ・マスヒト、アメ族のマスヒ〔人〕ト(シラヒト)が】
12-4 そむくゆえ ムハたれよもに ソムクユエ ムハタレヨモニ 【ソムク・ユエ、謀反を起こして】、【ム〔六〕・ハタレ・ヨ・モ・ニ、6つのハタレが世表に】




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●連続訳
アキツヒメとアマガツのアヤ
めでたいめでたい、歌う声と新郎新婦の幸せを祝う、その基は、稚児人形を、ハヤアキツヒメが作り初め、アマテルの御子、ヲシホミミがアマツヒツギを受ける時、多賀の甲で、タクハタヒメが入内しました。
その先輿のアマガツを、シホカマの守(当代はハヤアキツの子、アマツヒコネ・タタキネ)が、まだ知らなかったので、カスガの守に、故を問いました。
カスガが答えて、これは昔、アメ族のマスヒト(シラヒト)が謀反を起こして、6つのハタレが世表に沸き満ちました。
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このハタレの乱というのは主に、イサナギが、多くの有力な族と縁組をしたために、貴族の間でも、行政のとどかない部分があったのでしょう。
そこに不作の年が重なったために困窮したトミ・タミ(当然ですが、その当時の生産性は低く、タミが飢えればトミも植えるのです)が暴れることになったのです。

注目しなくてはならないのは、「ハルナハハミチ(榛名母路)」という言葉から、女系の外戚と考えなくてはならず、イサナミの族にも不満が募った(熊野のイカツチ衆以外でも)ということなのです。


●一行訳2

12-4 わきみちて たみくるしむる ワキミチテ タミクルシムル 【ワキ・ミチ・テ、沸き満ちて】、【タミ・クルシム・ル、タミを苦しめた】
12-4 そのときに アまてるかみの ソノトキニ アマテルカミノ 【その時に】、【アマテル御上の】
12-4 のりおゑて もろかみのうつ ノリオヱテ モロカミノウツ 【ノリ・オ・ヱテ、則を得て、作戦に従い】、【諸守の討つ】
12-5 はたれなか かんつはるなが ハタレナカ カンツハルナガ 【ハタレ・ナカ、ハタレの中で】【カン・ツ・ハルナ・ガ、御上・の・ハルナ・が】
12-5 はからんと かんいきよめハ ハカラント カンイキヨメハ 【謀ろうとして、カン・イキ・ヨメ・ハ【御上(アマテル)の意図を読んだが】
12-5 をヲんかみ これしろしめし ヲヲンカミ コレシロシメシ 【ヲ〔敬〕ヲ〔尊〕ンカミは】、【コレ・シロシ・メシ、これを・知り・たまい】
12-5 ミつのちご てぐるまのうち ミツノチゴ テグルマノウチ 【ミ〔三〕ツ・ノ・チゴ、3歳〈1歳半〉の稚児を]】【テ・グルマ・ノ・ウチ、手輦の内の】
12-6 たもとした おきてたついき タモトシタ オキテタツイキ 【タ、手・モト、元・シタ、下、袂の下に】、【オキテ・タツ・イキ、置いて・立てる息(泣き声、笑い声等の喃語)が】
12-6 ましるゆえ はたれうたがひ マシルユエ ハタレウタガヒ 【マシル・ユエ、混じるために】、【ハタレ・ウタガヒ、ハタレは疑って】
12-6 かぞえせず わさもみたれハ カゾエセズ ワサモミタレハ 【(息を)数える、呼吸を謀ることが出来なかった】。【ワサ・モ・ミタレ・ハ、作戦が乱れたので】




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●連続訳
ハタレがタミを苦しめた、その時に、アマテル御上の作戦に従い、諸守の討つハタレの中で、御上のハルナが謀ろうとして、アマテル御上の意図を読んだが、ヲヲンカミは、これを知りたまい、1歳半の稚児を、手輦の内の袂の下に置いて、立てる息(泣き声、笑い声等の喃語)が混じるために、ハタレは疑って、呼吸を諮ることが出来なかった。
結果を見た、ヲヲンカミは、深慮遠望な方なので、聡くハタレの作戦を見越して御歌を作り、その染札を、笹餅に付けて投げた。

書かれていたサツサ・ツツ・ウタは、
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現代でも、「呼吸を謀る」といえば、単なる諜報活動ですね。
でも、なんか忍者みたいに、手輦の下にはりついて、あわよくば、槍でグサッとか、想像してしまいますね。
すべて、伝記作家の演出にハマッているわけです。


●一行訳3

12-6 かぞえせず わさもみたれハ カゾエセズ ワサモミタレハ 【(息を)数える、呼吸を謀ることが出来なかった】。【ワサ・モ・ミタレ・ハ、作戦が乱れたので】
12-6 をヲんかみ アめつちしろす ヲヲンカミ アメツチシロス 【ヲ〔敬〕ヲ〔尊〕ンカミ、ヲヲンカミは】、【ア〔天〕メ・ツチ・シロス【天地を知りたまう】
12-7 くしひるに さとくはたれが クシヒルニ サトクハタレガ 【クシ・ヒル・ニ、櫛で梳くように人を統治する(深慮遠望な)方なので】【サトク・ハタレ・ガ、聡く・ハタレの】
12-7 いきはかり みうたつくれハ イキハカリ ミウタツクレハ 【イキ、呼吸を・ハカリ、諮り、作戦を見越して】、【ミ・ウタ・ツクレ・ハ【御歌を作り】
12-7 そめフたお さつさもちゐに ソメフタオ サツサモチヰニ 【(その)染札を】【サツサ・モチヰ・ニ、笹餅に】
12-7 つけなぐる さつさつゝうた ツケナグル サツサツツウタ 【ツケナグル、付けて投げた】【サツサ・ツツ・ウタは】




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ちょっとレシピを拾ってみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=IcWKN_8ldIo
 

材料 数量
もち粉 1kg
上白糖 1kg
生こし餡 500g
大さじ1
360cc
笹の葉 80枚



これは難しい問題を含んでいます。
このリンク先のおばちゃんは、五所川原の人ですが、80過ぎて現役で笹餅の製造・販売をやっているそうです。
そこで、この笹餅の種ですが、砂糖がふんだんに使われているのに注目しなくてはいけません。

な〜んだ、砂糖を使っているのなら、新しい物じゃないかぁ! と思った人は、「〜は無かった」に騙されているのです。
こういった砂糖で保水するタイプのモチは台湾にもあることが知られていますが、台湾は遥か南方、サトウキビの産地なのです。

砂糖の歴史は当然のことながら、台湾のほうが古く、日帝が持ち込んだ、などという説も一瞬で否定されます。

日本列島は、というと、アメ族の拠点である伊予、阿波にもサトウキビは植えられています。
一応、商業栽培としては徳島がサトウキビの北限となっています。
サトウキビを収穫するには鎌で刈るのではなく、根本から一本ずつ折り取って行くのだそうです。
全ての株の収穫を終えるまでに、雨にあたらないように、積み上げて、ワラをかぶせておくとか。
サトウキビは収穫期を終えると、古株のメンテナンスをしますが、一旦、根を掘り上げて、糖液を絞ったカスをまぶしかけ、さらにワラを積み上げておくのでしょうか。
春になって気候がゆるんだら植え付けをするのでしょうか、ずいぶんと手間のかかる栽培法ですね。
おおかたの見方と違わず、砂糖は貴重品なのです。

それで笹餅は、といえば、由緒のある話になってしまいますが、1個だけ、吟味しながら調製し、立派なウタミを付けて、ハルナの陣地に投げ込んだのですね。

「おやかた様〜、こんなものが・・・」とハルナに差し出すと、「ん、これは天下の美味、笹餅じゃないかぁ、これをワシに・・・」
ハルナの勢力は飢えてはいませんでしたが、その生活には「華」がかけていたのではないかと、推察されます。
ハルナは一瞬で決断したことでしょう、「皆のモノ、兵を引け、戦ってはならん」と。

アメ族の社会は、「マヒナヒ」で信用を確保するので、これは効果的です。
 

●一行訳4

12-8 さすらでも はたれもはなけ サスラデモ ハタレモハナケ 【「サスラデモ、そんなにしても】、【ハタレモハナケ、ハタレも鼻息が】
12-8 ミつたらす かかんなすがも ミツタラス カカンナスガモ 【ミ〔三〕ツタラス、ちょっと足りない】【カカン・ナス・ガモ、どのようにしても、いくらがんばっても】
12-8 てだてつき かれのんてんも テダテツキ カレノンテンモ 【(もう)手立ては・無いよ】【カレ、だから・ノン、言う・テン、する・モ、だから・何をしても】
12-8 アにきかず ヒつきとわれハ アニキカズ ヒツキトワレハ 【ア〔天〕ニキカズ、アメの御上には効かない】【ヒ〔日〕ツキトワレハ、日月のように・わしらは】
12-9 アワもてらすさ アワモテラスサ 【ア〔天〕ワ〔地〕モ・テラス・サ、天地を照らすのさ」】




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●連続訳
ウタミにはこんなことが書かれていました。
「そんなにしても、ハタレも鼻息が、ちょっと足りない。
いくらがんばっても、もう手立ては無いよ。
だから、何をしてもアメの御上には効かない。
日月のように、わしらは、アとワを照らすのさ」。
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ここでは、最後の一行だけが重要です。

私は、「日月のように、わしらは、アとワを照らすのさ」と、「わしら(アマテルとハルナ)」と訳しました。
これは、わしらは協調して政権を執っていこうじゃないか、という提案だったのです。

さらに、その属性を考えてください。
アマテル:日
ハルナ:月。

もっと宗教的にいえば、
アマテル:アユキ
ハルナ:ワスキ

神道的にいえば、
アマテル:天神
ハルナ:地祇

ということになりますね。
もはや、反論の余地は無いと思われます。

キツネ衆に対しては、デモに参加した、トミ・タミの空腹を満たすべく「揚げ捏摘み」を与えましたが、今回のものは「提案」であり、施しではないのです。
そうそう、揚げ捏摘みで思いだしました。
指先でつまんでネタを扱うことを「摘(つむ)」と言うのです。
例; ひっつみ汁(引摘汁)
キリっと引き締まった塩味の野菜の汁に多加水の小麦粉の麺を指先で引っ張って伸ばして、ふわりと入れて煮込むのですが、これが旨いんだなあ。
ひっつみは盛岡だけど。

津軽地方は、オホナムチの引き連れた80の家族によって大きくなった地域だったのです。
五所川原の地域は80の家によって、トミの文化を現代に紡いできたのです。
この笹餅のおばちゃんの母も、祖母も、この辺はみんなこうしていた、といいますから、200年まえにはすでに、砂糖の文化が根付いていたのです。
明治政府のワザじゃないんです。
全部地元の物と云っていましたが、映像には間違いなく大手製糖の上白糖。

それもそのはず、津軽に入植したトミは、それ以前は出雲のトミだったのですから。
出雲はホソホコ(細穂子)というくらい、生産性は低く、商品作物には見放された地域だったのです。
それゆえ、豊かな伊予などから砂糖も輸入していたのでしょう。
もちろん、それは贅沢品ですからタミの口にははいりません。
通常、餅米は陸稲栽培をしますから、水利の貧しい地域でも自家消費分は容易に調達できたので、塩味の餅にして、ぁぁ、あの三角形で豆が入っているやつ、大好き☆



豆餅のように、保水効果は塩でも実現できますが、その直截的な表現はタミのものです。


さて、ホツマツタヱに関するご意見ご要望、いちゃもん、文句、NGのあるかたは掲示板のほうに書いていただければ、うちのヱが対応します。
http://hot-uma.bbs.fc2.com/