荻野恭子先生の本「ロシアのパンとお菓子」にあるピローグ(пирог)のレシピをいじりまわしていました。
元のレシピは以下の通りです。
強力粉 300g
ドライイースト 小さじ1
牛乳 約180cc
溶き卵 大さじ2
砂糖 大さじ2
塩 小さじ1/2
バター 20g
ドライイースト 小さじ1
牛乳 約180cc
溶き卵 大さじ2
砂糖 大さじ2
塩 小さじ1/2
バター 20g
丸パンもロールパンもピロシキ(пирожики)【ピラシキ】の皮も同じ種(たね)なんですね。
いろいろ試したんですが、もうすこし液体量を増やさないと、ベーカリーが空回りしてしまうので、さまざまに変えてみました。
いろいろ試したんですが、もうすこし液体量を増やさないと、ベーカリーが空回りしてしまうので、さまざまに変えてみました。
ふんわりした焼き上がりを求めると、卵は割愛し、牛乳を増やし、バターも増やしました。
伸びがいまいちだったので、塩も増やし、発酵を深めにするため、砂糖も増やしました。
伸びがいまいちだったので、塩も増やし、発酵を深めにするため、砂糖も増やしました。
で、現在のレシピ(рецепт)ですが
強力粉 300g
ドライイースト 6g
牛乳 約250cc
砂糖 65g
塩 3g
バター 30g
ドライイースト 6g
牛乳 約250cc
砂糖 65g
塩 3g
バター 30g
あれ、砂糖、随分多いじゃね、と思われるかもしれませんが、実は理由があるのです。
最初、少しだけ増やしたところで、あれ、この風味、なんか懐かしい、そうだ、山崎パンの「ロシアパン」だ!
と気がついて、もっと増やせば、そっくりになるんじゃね、と、にわかに昭和の記憶が蘇ってきたのです。
私が小学生の頃の記憶で、学校の前に、「文化堂」というパン屋(菓子類も文房具も売っていました)があり、そこで、あいまいな記憶ですが一個40円だったような・・・(一個といっても相当大きかったような・・・)
実に、種は、甘い菓子パン的なものでした。
記憶はあいまいなのですが同じような形状でブドーパンもあったと思います。
山パンの、ケース整形のブドーパンと混同しているかもしれません。
こちらは、レーズンが死ぬほどぎっしりはいった「甘い」パンでした。(大好き!)
なにしろ、「山パンは入れすぎで下品だ」とかいう批判もあったぐらい、他社のはちょぼちょぼしか入っていませんでした。
実際、20年前には山パンは他社の追従をゆるさないくらい、ふんだんに原料を使っていたのです。
(これは幹部のキリスト者としての使命感がそうさせたのかもしれません、まさに食文化のリーダー的な)
と気がついて、もっと増やせば、そっくりになるんじゃね、と、にわかに昭和の記憶が蘇ってきたのです。
私が小学生の頃の記憶で、学校の前に、「文化堂」というパン屋(菓子類も文房具も売っていました)があり、そこで、あいまいな記憶ですが一個40円だったような・・・(一個といっても相当大きかったような・・・)
実に、種は、甘い菓子パン的なものでした。
記憶はあいまいなのですが同じような形状でブドーパンもあったと思います。
山パンの、ケース整形のブドーパンと混同しているかもしれません。
こちらは、レーズンが死ぬほどぎっしりはいった「甘い」パンでした。(大好き!)
なにしろ、「山パンは入れすぎで下品だ」とかいう批判もあったぐらい、他社のはちょぼちょぼしか入っていませんでした。
実際、20年前には山パンは他社の追従をゆるさないくらい、ふんだんに原料を使っていたのです。
(これは幹部のキリスト者としての使命感がそうさせたのかもしれません、まさに食文化のリーダー的な)
これは山パンの「沿革」から拝借した画像です。
概ね、コッペパンに近い大きさです。
丈が約24cm、コッペよりすこし太いかも。
コッペはおよそ一食分、ロシアパンはもう少し太いので、一度に食べ切れる量ではなかったと記憶しています。
この画像のように、クペは3条です。
けっして、現在のような「大ロシア」ではなかったんですが、山パンが「大ロシア」を企画したのはもうすこし後だと思います
これはあるキリスト者のページにあったものですが、私は、創業社長とその幹部が大ロシアの販売企画をしているシーンだと解釈しています。
http://windychapel.com/blog2/?p=199
画像をよく見ると、かなり大きく、丈は40cmはあると思われます。
これは往時の「大ロシア」とみて間違いないでしょう。
また、クペが4条なのがわかります。
かつて、山パンの創業社長は新宿中村屋に居たそうですが、そこでロシア文化に触れたのではないでしょうか。
中村屋はインドの独立運動家チャンドラ・ボースで有名ですが、相馬愛蔵(そうまあいぞう)と妻、黒光(こっこう)はやはりキリスト者だったようです。
後に娘婿(むすめむこ)になった革命家のビハリ・ボースは日本にインドカレー(ベンガル式か?)を伝えた人として知られています。
そのカレーは新宿中村屋で今に伝えられています。(大好きです☆)
後に娘婿(むすめむこ)になった革命家のビハリ・ボースは日本にインドカレー(ベンガル式か?)を伝えた人として知られています。
そのカレーは新宿中村屋で今に伝えられています。(大好きです☆)
同時期に日本にインドカレー(ケララ式か?)を伝えた人物としてAMナイルというのも居ました。
私は、高校生の頃、九段のアジャンタで影響を受けたためか、銀座のナイルレストランへ行っても、「全然美味くない」とおもいました。
ケララカレーは玉ねぎの扱いが特殊なのですね。(酸化式)
私は、高校生の頃、九段のアジャンタで影響を受けたためか、銀座のナイルレストランへ行っても、「全然美味くない」とおもいました。
ケララカレーは玉ねぎの扱いが特殊なのですね。(酸化式)
その中村屋ではロシア革命を逃れて来た白露人(ギリシャ系)キルピデスの技術指導でロシアパンとロシア菓子を作っていたそうです。
店員の制服に、日本でルパシカと呼ばれるロシア風のシャツ(Рубашка)【ルパーシカ】を用いるなどしていたようです。
これは「新宿中村屋 - 写真で見る中村屋」というサイトから拝借したものです。
この第二号の表紙に「Накамурая」と綴ってあるのが印象的ですね。
黒光さんのロシア通(つう)は相当なものだったようです。
ここのサイトは実に良く書かれており、私が拝借した絵だけでは不足です。
ぜひ、全部読んでいただきたいと思います。
ぜひ、全部読んでいただきたいと思います。
こんなところで「大ロシア」に関するトリビア的な理解を得られるのではないでしょうか。
結果、上のレシピで、一次発酵控えめ、きっちり整形して二次発酵を限界までやると昭和の姿が見えてきます。
皮が強く張る傾向がありますので、スチームを効かしたほうが仕上がりが優しくなります。
皮が強く張る傾向がありますので、スチームを効かしたほうが仕上がりが優しくなります。
■ 昭和のロシアパン
作り方
バターは室温に戻しておきます。
牛乳は35度くらいに温めておきます。
パンケースに砂糖と牛乳と塩を入れます。
粉を入れ、その上からドライイーストを振りかけます。
ベーカリーの電源を入れ、良く捏ねます。
途中、バターを投入し、さらに良く捏ねます。
小麦粉は塩を加えることでバラバラになったタンパク質が、からみあって強力なグルテンを形成し、内部から湧き上がるガス圧を支えることによって、焼き上がりの伸び方が決まります。
失敗しないようにするには、捏ねを充分にすることです。
失敗しないようにするには、捏ねを充分にすることです。
私のベーカリはツインバードの安物ですので、規定時間捏ねると、過熱して冷却サイクルに入ってしまうので、続きをやりたいときは、手で捏ねることにしています。
うちのトは初めの頃、手に握力が無く、手捏ねが苦手だったのですが、今ではすっかり手で捏ねるのが気に入っているようです。(バトンナレズノイでは全部手でやっているようです)
うちのトは初めの頃、手に握力が無く、手捏ねが苦手だったのですが、今ではすっかり手で捏ねるのが気に入っているようです。(バトンナレズノイでは全部手でやっているようです)
捏ね上がりの判断は最終的には生地の表面を見ただけでもわかりますが、初めのうちは両手でもって端を指で拡げ、強靭な薄い膜状になって破れず向こうがすけて見えるくらい、と判断してください。
捏ね上がったら一次発酵を行います。
この種では、一次発酵はこの程度で、生地に力が残っている程度を限度とします。
ガス抜きをしたら半分に分割します
この分量で「昭和のロシアパンが2本できます。
次は延ばす工程ですが、失敗例をひとつ。
次は延ばす工程ですが、失敗例をひとつ。
たったこれだけのことなんですが、二次発酵の後では・・・
なぜか大きく折れ曲がっています。
クペすると大きな泡が現れ、問題は顕著になります。
焼きあがっても、もはやどうにもなりません。
トの技術はまだまだ未熟で、延ばしたときに中央部が細くなってしまいます。
中央部が心持ち太くなっていないと、薄い部分は締りが弱くなり、大きな泡の原因にもなります。
一旦くびれてしまった生地は絶対に滑らかなカーブを描くことはありませんので、さらなる練習が必要でしょう。
中央部が心持ち太くなっていないと、薄い部分は締りが弱くなり、大きな泡の原因にもなります。
一旦くびれてしまった生地は絶対に滑らかなカーブを描くことはありませんので、さらなる練習が必要でしょう。
このような構造を良く理解しないとダメですね。
戦術を理解した上で、続きをやってもらいましょう。
まず掌で押して大まかな形を作ります。
なるべく、きれいな楕円形になるように延ばします。
小指を上手に使って、きっちり巻きます。
今度は大丈夫そうですね、二次発酵にいきましょう。
これで二次発酵はOKです。
オーブンを200度に設定し、12分程焼きます。
私の、東芝ER-D5000では過熱水蒸気190度で18分です。
私の、東芝ER-D5000では過熱水蒸気190度で18分です。
どうでしょう、これで完成で良いのではないですか。
「ロシアのパンとお菓子」に、丸パン(пампушки)【パンプーシキ】と、ロールパン(пышки)【プィシキ】というのが出てきましたが、пампушкиで画像検索すると「丸パン」が多くヒットしますが、пышкиだと、ほとんどが揚げたドーナツになるところが面白いですね。
それはロシアの話で、ウクライナではпампушкиも揚げたドーナツだ、という説も。
それはロシアの話で、ウクライナではпампушкиも揚げたドーナツだ、という説も。
語尾を変えて、пампушкаで検索すると太めの女の子がいっぱいひっかかるようになります。
Пампушкаは女の子の名前でしょうか、愛称かな?
丸パンとどちらが先かな?
Пампушкаは女の子の名前でしょうか、愛称かな?
丸パンとどちらが先かな?
以前紹介したプリュシカ(плюшка)というのも、同様に画像で調べると子猫の絵がいっぱい出てきますが、猫に(犬もです)そんな名前をつけたりして、「可愛い娘ちゃん」のニュアンスもあるようです。
いずれも、ふっくらと竈伸び(かまのび)したところが「コロコロしたおデブちゃんの女の子」というイメージがぴったりです。
いずれも、ふっくらと竈伸び(かまのび)したところが「コロコロしたおデブちゃんの女の子」というイメージがぴったりです。
次は昭和の記憶・ヤマザキのロシアパン、そしてピローグとピロシキへ(2)をやりましょう。