ロシアのリンゴのプディング「シャルロットカ」 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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もう冬がちかいのですが、放射能はさておき、少し、リンゴの季節に甘えてみましょう。

ロシアでシャルロットと云うと、ついシャルロットリュス(charlotte russe)を思いうかべるかもしれません。
それはビスキュイキュイエールをぐるりと廻らしたものに、梨のムースだったりババロアだったりを流し固めたものに、たっぷりの生クリームを添えたものですが、今日ご紹介するのはロシアの一般家庭でごく簡単に作られているものです。
まあ、イギリス的な言い方をするとリンゴのプディングでしょうか。(フランスならタルトオポムか)

それも、短い夏のあいだに大量に市場に出回る、アントノフカ(антоновка)という種類を使うらしいのですが、わたしはロシアに行ったことはなく、どんなものかわかりません。
想像するに、日本の紅玉(こうぎょく)の酸味と王林(おうりん)のモロっとした組織を組み合わせたようなものなんじゃないかと考えております。

残念なことに、大々的にリンゴの育種が広まったのはアメリカからだそうです。
日本では古典的とされる紅玉(ニューヨーク州)、国光(バージニア州)、印度林檎(インディアナ州)などと呼ばれた銘柄はみなその辺りが起源だそうです。
もちろん、果実は土の影響が強く、これらの品種が根付いたのは日本の風土とよく合っていた、ということでしょうか。
私は、小さい頃、「りんごは固いから嫌だな」と思っていました。
周囲では皆、「ガリガリ齧るのが好き☆」なんて言っていたのを覚えています。

やがて時は流れ、日本でも育種の意欲が高まり、スターキングからゴールデン、ふじ、つがる、陸奥(むつ)と、銘柄も出揃ってきたのですが、どれも私の好みにはあいませんでした。

それがある日、「王林(おうりん)」に出会ったのです。
印度林檎(いんどりんご)を思わせる吟醸酒(ぎんじょうしゅ、逆説的だけど、ね)のようなフルーティーな馥郁とした香り、そして柔らかな歯ざわりとタップリの果汁が私を魅了しました。
「これだ、これこそ、オヤジのためのリンゴだぁぁぁ!」
まあ、残念なことに酸味だけは非常に少ないのは、印度の性質でしょうか。

困ったことに、私は小さい頃からレモンは好きではなかったので、製菓用のレシピでレモン汁で酸味を補うものが多いのには辟易させられていました。
私は負けずに、レモンの味に慣れる訓練をしました。
今では、はちみつレモンみたいなのも好きになっています。

まあ、とりあえず焼いてみるか、とばかりにビスキュイ種に生の王林を入れて焼いてみたのですが、おとなし過ぎるのですね。
やはり、酸味の効いたリンゴでないとだめなのかも。
レモン汁を入れてみたら、さっそく、ヱからNGが出ました。

ヱ こんなの喰えねー

ト 親子だねぇ


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これがアントノフカ、どことなく野生を感じますね。

じゃ、「ふじ」で試してみよう、と、やってみたのですが、シャキシャキ感が強すぎて、こりゃ、煮なくちゃ、ダメだな・・・

柔らかくなるまで煮てやればいいだろう、とやってみると、煮たリンゴは重いので下に沈んでしまうのです。

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これでは「底」の食感が楽しめません

ロシア人はどうやって簡単に解決しているのでしょうか?

あちこちのサイトを漁っていると、「リンゴを小さく切ると、溶けてしまうぞ」と書いてあるではありませんか。

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これはアントノフカの尻、花の付いていた部分が野生っぽい感じがします。

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これはカリンの尻、野生っぽいとこが似ています。

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これは王林の尻、見た目も綺麗に改良されていますね。

カリンは煮てジャムにすると美味しいのですが、そのまま食べる人はいませんね。

どうやら、日本のリンゴでは日本のやり方でないと希望する結果にはならないようです。

せっかくビスキュイ種を使うのですから、先に底だけ焼いてしまいましょう。


では、日本のレシピで、シャルロットカを作ってみましょう。

■材料

○ リンゴのプリザーブ

・リンゴ   お好きなものを  中3個
・砂糖             70g
・バター            20g


○ ビスキュイ種(スポンジ種にバターを効かす)

・卵              3個
・薄力粉            100g
・砂糖             100g
・バニラ            少々
・バター            40g


リンゴの準備

リンゴは4つ割にし、端から7mm厚くらいのイチョウ切りにします。

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まずリンゴを刻み、砂糖を振りかけます。

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砂糖を入れたら少し置くと水気が出て煮やすくなります。

電子レンジを使うときはこのまま、柔らかくなるまで煮ます。
フライパンを使うならバターで炒めるように煮ます。

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色着くまでよく炒めることもできます。(それも美味しい☆)


ビスキュイ種の準備

バターは溶かしておきます。
全卵を立てます。(ぜひハンドミキサを使ってね)
半立ちになったら砂糖を加え、完全に立てます。
バニラも加えます。
振るった粉を加え、ホイッパで下から持ち上げて落とし、さっくりと混ぜます。
バターを加え、軽く(ただし充分に)混ぜます。

オーブンは170℃で予熱しておきます。

型にクッキングペーパーを敷きます。
縁は大きめにしないと種が吹き出してこぼれます。

まず種の1/3程度を流し入れ、平らにします。(底を作るのです)

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型をオーブンに入れ、170℃で7分焼きます。

一旦、鉄板ごと型を取り出します。

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煮たリンゴを残りの種と合わせ、さっくりと混ぜます。

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混ざったら型の底の上に流し入れます。

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後は170℃で45分焼けばOKです。

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焼き上がりました


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冷めてから紙を剥がしたものです

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断面を見ると、ちゃんと底があるのがわかります。

いかがでしょうか、底を貼るだけであらゆるバリエーションが可能になります。
添えるものとしては生クリームあるいはスメタナ、または、サービスする直前に、皿の上にクレムオングレーズを薄く敷くのもよいでしょう。

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ロシアからは遠く、これはこれで完成、いろいろとバランスが良く、焼き具合も上々です
どうやら、ある程度の「重さ」が必要なのではないでしょうか。

ロシア人は、私のような「俄(にわか)」ではなく、伝統的なレシピとしてアントノフカとベーキングソーダの組み合わせを示していますので、彼らの判断は的確なものだと思われます。
西ヨーロッパでは、フランスのタルトオポムと同様で、流れはタルトタタンに見られるように、煮た、あるいはキャラメリゼしたリンゴとアマンドプードルの組み合わせに向かって行ったのではないか、と考えています。

興味がある人がいるかもしれないので、念の為にШарлотка традиционная【シャルロトカトラディツォーネ】のレシピを貼っておきましょう。

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ロシアに行ったら確かめる事が、またひとつ増えてしまいました。