The Voice of Russia に掲載されているイワノワさんの署名記事、なかなか興味深いないようです、少々長いですがお読みください。
以下、転載
中国と日本は世界の終わりに歩を進めている(Китай и Япония могут приблизить конец света)
イリナ イワノワ(Иванова Ирина)
日本と中国の政治エリートたちの中には、尖閣(釣魚)諸島をめぐる二国間関係の将来的な悪化がはらむ危険を理解しているものもいる。しかし東京も北京も、ナショナリスティックとは言わないまでも、過激な傾向をもつ世論の強力な突き上げに見舞われている。
領土問題において、日本市民も中国市民も、相手の譲歩ばかりを望み、自らの譲歩には備えていない。そう指摘するのは、モスクワ国際大学国際研究所の専門家、アンドレイ・イワノフ氏だ。
―中国専門家が語ったところによれば、正常な対話を再開するためには、日本側の譲歩が必要不可欠である。すなわち、釣魚島をめぐる領土問題の存在を認めることである。中国側は、日本がこの一歩を踏み出すことは困難ではない、と考えている。というのも、日本政府は既に1970年、毛沢東および鄧小平との交渉において、その存在を認めているのだから。両名とも、賢明にも、この問題を将来に先送りすることを決断し、合意を得た。中国の専門家によれば、今再び、同様のことをすればよいのだ。問題は、日本の専門家や外交官が、かつて日本政府が領土問題の存在を認めたことはない、と主張していることであり、日本が再び先送り措置をとることは不可能であると確信していることである。
日本政府は一面で中国との領土問題の存在を否定しながら、他面で、そうした退歩に憤激し、内閣の退陣を迫るような、世論の突き上げを受けている。また日本側は、もしも領土問題の存在を認めれば、中国側の領土「返還」主張に付け入る隙を与えるのではと危惧している。この危惧が杞憂でないことは、南クリル諸島の例が教えてくれる。1980年代、ゴルバチェフが問題の存在を認めるが早いか、日本側は自身の立場を硬化させた。2000年、プーチンが1956年代の日ソ共同宣言の有効性および平和条約締結後の2島先行引渡しの理論的可能性を認めるが早いか、日本政府は四島一括返還を主張し出した。
問題の存在を認めたあかつきには、中国は南クリル諸島の例にならい、釣魚島の返還要求を加熱させるかもしれない。日本側は、そのことを理解しているようである。これを危惧するからこそ、日本政府は中国との領土問題の存在を認めないのである。その間にも、日中関係は悪化を続ける。
問題を解決するために、日本政府が講じる方策は、妥協と退歩によって中国政府との関係を正常化させることでなく、米国との軍事協力を発展させ、自国の軍事力を増強することであるようだ。しかしこの方策は、日本にとって危険含みである。そして世界全体にとっても、深刻な不快事である。アンドレイ・イワノフ氏はそう見なしている。
―日本では既に、中国海軍の鋭意増強とバランスさせるための海上自衛隊の強化について、討議が始まっている。また、中国を相手とした集団的自衛権の行使を米国とともに行う道を開くために、憲法の条文を改める可能性についての発言も行われている。日米軍事同盟の強化は、中国にとって不愉快な「プレゼント」となる。しかし、日本にとっても、確実に問題の数は増えることになる。
米国を首魁とする、アジア太平洋地域における反中国ブロックの構築に突き動かされ、中国はますます自国の軍事力を増強させていく、とイワノフ氏は続ける。軍事費の膨張が中国経済に否定的な影響を与えることもあり得る。中国政府はそのことの責めを日米の敵対的外交に負わせるだろう。そしてそのことが、反日・反米的気分の新たな高まりを呼ぶであろう。結果、軍事力による問題解決を主張する中国のナショナリスト及び軍人たちのポジションが強化される。同様のプロセスが、日本においても起こるであろう。というのも、中国との経済協力が頓挫することは、日本経済にとっても痛撃であろうから。結果として、日本にナショナリストの政権が出来ること、また日本政府が自ら背負った核武装放棄の約束が破棄されることも、可能性から排除してはならない、ということになる。これら全てのことは、相当に間近に起こりうる。もしも、(そんなことが起こらないようにと願うばかりであるが、)日中関係が軍事衝突というステージにまで進んでしまったら、それこそ文字通りの「この世の終わり」である。少なくとも、現在見られる世界秩序が拠って立つところの国際関係モデルは終焉を迎える。イワノフ氏はそう考えている。
以上、転載終わり
詳しくはこちら、The Voice of Russia (http://rus.ruvr.ru/2012_11_29/Kitaj-i-JAponija-mogut-priblizit-konec-sveta/ )
ロシアはこんなふうに見ているのでしょうか。
ロシアの出方にも注意が必要です。