~何もしない、一日、二日ってのも、
たまには、イイもんだね。思ったよ。
アパートに内風呂が無いからさ、近所の銭湯で、朝湯を頂いて。
昨夜、酒屋の主人から頂いた、清酒をキリリと冷やしてさ、あんまり、
家で飲むって、侘しいからしないんだけど、
チビリチビリと頂きましたよ。
学舎の図書館で借りてきた、
藤沢周平の「蝉時雨」なんざ、読みながらさ、
あれも下級武士の悲哀か。一節を拝借するに、
文四郎が、清涼たる森林の、
小路をくだり小川に赴くと、
12歳の少女、お福が、
お姿を見て、気恥ずかしく、
~フイと、姿を消しちまう。
なんとも風流な描写だねー
「粋」って、もんですよ。
近現代の少女コミックなんざ、
やれイケメンだ、優秀だ、スポーツマンだ、なんてさ。
馬鹿馬鹿しくて、読んでらんないよ。まったく。
さりとて、思春期のころの手前にも、
そんな感性はあったのかね。
江戸っ子ってのは、愚直なもんでさ。
「あのひと、ヤボったいね・・・」か、
「粋だね!」って、二択しか、無いわけ。
ちょいと、流し目。
お声頂きゃ、これ、幸い。
そんなもんですよ。
もっともさ、
こんなミクにも、好いたひとがいてさ、
なんてこたないよ。学生の頃からの付き合いだ。
告げられて、応じ、
そのまま、同棲なんて時代もありましたよ。
今のアパートの場所でさ、えぇ
「ロジスティック」なんて言うと、ちょいと高尚な響きもあるかもしれないけどさ、
なんてこたーないよ。人手が足りなきゃ、てめーでトラック乗って、なんて、
ちっぽけな会社に勤めてたよ。
とある朝、ミクもその頃には、
学校、卒業して、病院で看護士やってたからさ、
慌しく、朝食の準備しながら~どんな事だったか…
些細な事で、クチ喧嘩しちゃってさ、
意地悪して、お弁当も持たせてあげないで、
フイ!と、そのまま出勤してさ、
過日の震災だよ。
何はともあれ、まずは直近の事態に応じなければならない。
公人の身の上は辛いものだよ。お仕事しながらも、気が気じゃない。
なんていったって、彼が、
月に2本くらい~あるか、ないか?っていうトラックに乗って、
東北地方の沿岸部に行ってた日だったからさ。
~その後、会社のナンバーの付いたトラックは、
沖合いで、見つかったって伺った。
でも、運転席には誰もいなかったってさ。
だからね、私は、こう思っているんだよ。
波にさらわれちまってさ、
記憶でもなくなっちまって、
どっかの無人島ででも、
ノンビリ暮らしてるんじゃないかな?ってさ、
それにしたって、遅い帰りだよ。まったく!
どこで油、売ってるんだか知らないけど。
ただ、
なんで、あの時、
お弁当持たせてあげて、優しい言葉で、
送り出してあげられなかったのか?って、
つくづく思い起こすんです。
時折ね。