妄想ゼビウスで徹底的に五感を研ぎ澄ます事ができた。
目を閉じて全神経を集中すれば、
アリさんとアリさんがごっつんこする音でも聞き取れる気がする。
隣の換気扇から漂う匂いで、味噌汁の具も当てる自信がある。
今なら森羅万象の全てを全身で感じ取れるはずだ。
以前、実戦データ取りをしてる助様に、
「昼メシどないしよか?」みたいに話し掛けた事があった。
『じゃあ、ラーメンにしときますか♪』
なんて助様は答えつつ、左手でペンを走らせ、
右手では玉増やし中。顔の向きはこっち。
同時にそんな事しながら、止め打ちなんてできるのか!?
『電チューとか小デジはほとんど見てないですよ♪』
『身体が覚えてるので、指が勝手に動くんです。』
軍団技術の凄さにあらためて驚いたが、
その時は「若さ」の違いやから仕方ない♪
…そう思うようにしてた。
しかし、今のわしは違う。
ポンコツおやじを卒業する時が来たのだ。
ちっこいランプの抽選結果も、
チューリップを動かそうとしてる歯車の音も、
玉に削られて磨り減りゆく釘の息吹も手に取るように感じる。
目をつぶってても、100回転で1箱くらい増やしてしまいそう。
さっそく覚醒した能力を試してみる。
静かに目を閉じて心の眼で見るのだ。
考えるな!感じろ!
心眼打法開始!
そろそろ「下皿レバーを引いて下さい」と、
機械に説教されるほど玉が溢れ返ってるはず♪
目を閉じていると、金の延べ棒に囲まれて
足の踏み場もない光景が浮かんできた。
これはえらい事になるで…
そして時短終了。
…今日はこれぐらいにしといたる。