わしは目の前に置かれたダブルラーメンにまだ箸をつけてない。
オヤジは怪訝そうな顔で2杯目を作りにかかる。
出来上がるまで1杯目をジッと見つめるわし。
店内の時計はどんどん進んで行く・・
わしの話題でラーメンの話はけっこう多いけど、
実はあまり好きではなかったりする。
もちろん嫌いではない。あまり食べんゆうのが近い。
見た目はラーメン大好き小池さんやけど。
ラーメンを好んで食べない理由・・
それは超猫舌だから。
ぬるめなら大好きやけど、のびた麺は不味い。
その兼ね合いが難しい。
焼きそばや冷たい麺類なら無条件に好きやのう。
激辛と大食いは自信あっても、熱いもんは苦手。
しかもこれだけの特大ドンブリにこぼれんばかりのスープ。
冷ますのに相当時間が掛かる。
一気に2つ注文して冷まさない限り、勝機はないと悟った。
2杯目が出てきたのが5分後くらい。
そこからようやく食べ始めるわし。
5分程度では1杯目も全然冷めず、中身はまだまだメチャ熱。
麺を2、3本つまんではフーフーしながら食う。
友人は猛烈な勢いで半分以上食ってる。
後で聞いた話やけど、
(メガネの猫舌兄ちゃんはまず無理やな・・)
そう直感したらしい。
10分過ぎて友人は1杯目を完食。
わしはまだ4分の1くらい。
ギャラリーも店主も友人のほうに声援を送ってる。
わしは独りぼっちでチュルチュルすすりながら、
左手を使って2杯目をレンゲでかき回して冷ます・・
(いける・・ ここまできたらイケる・・)
熱くないと見切ったわしは猛然とスパート!
そこから3分と経たずに1杯目を完食。
2杯目も3分ジャストで完食。
スープも全て飲み干して、店内最短記録更新の16分。
わしの頭にあったんは、
制限時間に冷ます事が出来るかどうかの1点だけ。
量的には不安もなかった。
スープも水やと思えばナンボでもいける。
自信がなかったんは、
「巨大すぎて冷ませなかったらどうしよう?」やった。
店主もそこからのマッハ食いにはビックリしてたのう。(笑)
そういえばもう一人のチャレンジャーである友人。
わしが食い終わった時点で2杯目の残りが半分。
この5分ほど箸は止まったままやし、ため息ばかり。
今度は彼のほうが「もう無理か」みたいな視線を受け・・
しかしわしの完食に触発されたのか、悔しいのか、
無理矢理食べ始めた。
食べるゆうか、
「お菓子ビニール袋詰め放題売り場」のオバチャン軍団みたいに
とにかく押し込む!押し込む!
綱取物語のエンディング祝杯みたいに
ドンブリを両手で持ち上げて食道に流し込む。
見てて可哀想なくらいやったけど、
制限時間ギリギリ20分で何とか完食した!
固く結んだ口からは麺がチョロっと出てる・・
その場にいた全員が祝福の拍手っ!ワーワー♪
と、その時。
彼が白目をむいた。
グ、グ、グガ・・
『ブボ―――――――――!』
結局、ぶちまけてしまいました。
ところが両手で持ってたドンブリでそれをキャッチ。
更に驚く事に、それをまたもう一度飲み込む彼・・(汗)
結果的に時間オーバーの完食になってしもたけど、
彼のド根性を称えてオヤジは『OK♪』にしてくれた。
喜びも束の間、バイトの時間が迫ってたので撤収。
記念の札に名前だけ書いてお店を後にした。
バイト先のゲーセンまでそこから走って行った。
ゼーゼーゆうてるわしに、早番のオバサンが差し入れをくれた。
「これでも食べて落ち着きなさい。」
みかんをドッサリもろた。
その場の空気的に全部食べさせられた。
次回、「前人未到、トリプルダブルラーメン編」・・。