高校生の頃は毎日のように通い、
オッサンとなった今でも通いつめる中華屋さんがある。
1日3食×1年365日×死ぬまでこの店のメニューだけを、
食い続けても飽きる事はないくらい旨い。
そして安い。顔色を見てドカドカに大盛りしてくれるし。
高3の時、ある新メニューが出来た。
カネはないけどいつも腹ペコな高校生向けラーメン!
それがダブルラーメン。
読んで字のごとく「麺が2玉入り」、たったそれだけ。
チャーシューやメンマ、野菜やナルト等の具は一切ナシ。
ネギだけ入ってたけど普通のラーメンより少ない。
緑の輪っかが2~3切れ。(笑)
しかしドンブリが化け物級!
普通の家庭用フライパンはだいたい直径26cm。
それよりふたまわり大きく、底も深い。
そのドンブリにスープが並々と入ってる。
2リットル以上あるんちゃうかな。
具はなくとも、たったの250円。
これ一杯で確実に満腹にはなるです。
一番安い「普通のラーメン」でも380円くらいやったか。
そしてこのダブルラーメン、
制限時間20分で完食したら無料!
さらに記録と名前を店内掲示!
もちろん化け物級のスープも全部飲み干さなダメ。
さっそく校内の猛者が次々と挑んで全員が撃沈・・。
市内にはサッカーやラグビー、柔道などで全国的に有名な
体育会系の高校があり、そこの生徒が数人だけ成功。
アニマルウォリアーやホークウォリアーみたいな体格の・・
「おれたちは進学校やし、もう誰がやっても無理やろ~」
そんな空気が校内に流れてた。
『時が来た!』
今こそ自分の限界を試す時や。
その店の常連でもあり同級生の友人と二人で挑む事になった。
応援の友人も引き連れて暖簾をくぐる。
並んでカウンターに座ってダブルラーメンを注文。
2杯完食に挑戦する旨もオヤジに告げる。
1杯目のダブルラーメンが登場した。
デカイ。 とにかくデカイ!
ドンブリを両手で持っても腕がプルプル・・
他校生徒が挑戦するんを見た事はあったけど、
目の前に置かれるとハンパなくデカイ。
このドンブリは他に使い道があるんやろか?
(ダ、ダメかも知れん・・)
正直、不安になってきたわしは、ある奇策に出た。
『オヤジ!2杯目も持ってきて♪』
まだひとくちも食べてないし、箸も割ってない。
1杯目でギブする危険もあるのに、こいつはバカなのか?
店主も応援の友人たちも、隣の友人もそんな目でわしを見る。
わし本人、食べきる自信がないからそうしたのだ。
実は財布をわざと持ってきてなかった。
意地でも完食すべく、退路を断つ覚悟を決めて。
もし失敗してもその場になれば誰か500円貸してくれるやろし、
わしも顔なじみ常連やから「ツケ」も利くはず。
しかしそういう展開は一切考えてない。
とにかく「2杯同時に食う!」それがわしの作戦だった。
続く・・