これまで、甲骨文オタクの日常の作業として、
いや、もはや趣味と化した行為であり、
甲骨文に触れていないと気が済まないため、
ひたすら
一つの甲骨を読んでは、拓本をスキャンして、研究者の訳を読んでは、
落合淳思氏の記述する字源に当てはめて、試訳し、
「面白い」とか、「この内容では人の心には刺さらない」など腕組みをしながら、独り言を言っては、USBに保存して、寝かしてきた。
それが大量になり、分類は行っているのであるが、
中には、古いままの資料が残ったままのものがある。
先ほど、見つけた。
20年前の書道資料、削除しようと思ったが、連続写真があったので、ここに添付しておく。
甲骨文の起筆は、蔵鋒(ぞうほう)です
蔵鋒にして書いていくさまを、ビジュアルで見せようとしたのである。
もちろん、その当時、YouTubeなどあるわけない。
今も、まったくその蔵鋒思考は変わっていない。
筆先を内蔵する蔵鋒の書き方は、
篆書も、篆書以前の先秦の文字も、
王や皇帝、王族、貴族との繋がりの中で、正式なる古代文字では、蔵鋒が選択されたと判断している。
もともとピントが合っていなかったのか、古さを感じさせる写真であるが、我の甲骨文への意気込みが感じられる良き写真である。
ちなみに、これは、甲骨文の「吉」を書いたもの。
今でこそ、甲骨文を書く場合には、
字源、文字変遷を辿って、よりディープな世界に引き込もうと思っているが、
おそらくその当時は甲骨文の深さにアップアップだったと思う。
ただし、今なら、甲骨文の「吉」には、二種類の字形がありましてね~と言って、すぐさま書いて説明でき、続いて、西周金文の字形も書いていける。
その当時は、肌はピンピンでほっぺはpink、白目は真っ白だったろうが、
書家としては、今の方がよっぽど良い。