病気やけが等のさまざまな疾患が発症し治療を受けた後、社会復帰のために行う訓練を総称して「リハビリテーション」といいます。語源はラテン語の「re(再び)habiris(適した)」です。

 

 

3月9日、自民党厚生労働部会・リハビリテーションに関する小委員会において、「介護領域でのリハの課題について」というテーマで講演する機会をいただきました。

 

 

上図は、私が理事長を務める永生会におけるリハビリテーションの概要です。リハビリテーションはその段階によって、医療領域の「急性期」「回復期」と介護領域の「生活期」の3つに分かれます。

たとえば大腿部頚部を骨折した場合、まず手術後入院して「急性期」のリハビリを受けます。次に、回復期リハビリテーション病棟や外来通院により「回復期」のリハビリが実施されます。ここまでが医療のリハビリテーションです。その後、日常生活での自立を支える目的で「生活期」=介護のリハビリテーションが行われます。

介護保険におけるリハビリテーションを整理すると下表の通りで、訪問リハ、通所リハ(デイケア)、老健施設でのリハ等があります。

 

 

自民党厚生労働部会に対して私からは、以下の13項目を提言いたしました。

1.要介護状態の高齢者をつくりださない

廃用症候群の患者を生み出さないよう急性期医療におけるリハビリを充実させることが重要。

2.通所リハビリ(デイケア)へのアクセス

通所リハビリが少なく、利用したくてもできないという声がある。施設基準の要件緩和やサテライトの増設に向けた仕組みが必要。

送迎の原則が「居宅から施設」であり送迎範囲外の方は自力通所できない限りデイケアを利用できない。居宅以外の「待ち合わせ場所」への送迎も認めてほしい。

3.訪問リハ・通所リハに対する退院時共同指導管理加算

病院退院時カンファレンスに訪問リハ事業所も参加して入院リハ職等と連携しているが無償であり、評価してほしい。

4.予防訪問リハに対する加算

予防訪問リハは、軽度認知障害(認知症の前段階)やフレイルの予防の観点から重要であり、要介護前の社会参加を促進するためにも評価してほしい。

5.多職種所属の事業所の評価

事業所に管理栄養士(専任)や歯科衛生士(専任)がいることで、より心身機能の向上が見込まれる。

6.介護医療院でのリハビリの充実

介護医療院では入所4ヵ月以降のリハビリは減算されてしまうが、必要なリハビリを充実できるような体制が望ましい。

7.在宅から入院する際の情報連携の評価

在宅医療(リハ)と入院医療(リハ)との連携に対する評価がなく情報が途切れてしまう。

8.適切な福祉用具を選択できる仕組み

施設で生活する要介護者が、身体の状態に合った福祉用具を容易にレンタルできるようにする。

9.リハビリ(介護)にアクセスしやすい仕組み

複数の介護を掛け持ちする利用者は、医師の診察や介護サービスの契約等に関する負担が増えるため、ワンストップで事務手続きできる仕組みが必要。

10.LIFEへの入力簡素化

  LIFE(科学的介護のベースとなる情報収集システム)へのデータ入力が煩雑化、現行の加算では費用対効果が低いため、入力簡素化や代替策を検討してほしい。

11.リハ職の処遇改善

リハ職、特に理学療法士の所定給与は15年以上変化がなく、他職種と比較した伸び率が低く、処遇改善を検討してほしい。

12.医療職が受ける研修・自己研鑽費用に関する税制優遇

リハ職をはじめ医療職にとって、最新情報のキャッチアップに向けた自己負担での研修受講は大きな負担となっており、自己研鑽にかかる費用の一部を所得控除できる税制優遇を要望。

13.厚生労働省医政局内にリハビリテーション課を新設

リハビリテーション領域の立場を代表する者が不在で社会保険に係る議論が進むことが多く、リハビリテーション課を新設するとともに、各審議会等における委員としてリハ職の活用を検討いただきたい。