医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き、気管切開部の管理,人工呼吸器の管理,吸引,在宅酸素療法,胃瘻・腸瘻・胃管からの経管栄養,中心静脈栄養等の医療的ケアが日常的に必要な児童のことです。

 


(資料)日本重症心身障害福祉協会医療問題検討委員会報告(2017年5月19日)

医療的ケア児の数は2005年の9,987人から2018年の19,712人へと約10年間で2倍近く増加しています。



2021年度障害福祉サービス等報酬改定において、医療的ケア児に対する支援の充実が図られました。

 



今回の改定で見逃せないのは、知的・肢体に障害はないが医療的ケアが必要な「動ける医療的ケア児」へのサービスが評価されたことです。


これまで動ける医療的ケア児の基本報酬は、自閉症等の一般的な障害児と同じ830単位でした。このため、人工呼吸器等の医療機器の管理や見守りにかかるコストを吸収できず、受け入れが進まなかったのです。
詳細は上図の通りですが、人工呼吸器を装着していて、外れた場合に即時対応が必要で、胃瘻をしている場合、人工呼吸器(基本スコア)10点+人工呼吸器(見守りスコア)2点+胃瘻(基本スコア)8点=20点、報酬単価は1,885点と大幅にアップします。これにより、ケアに必要なだけの看護師を配置できるようになりました。

医療的ケア児に対する支援充実に向けた取り組みが本格的にスタートしたことは高く評価されると思います。地域包括ケアの概念は、単に高齢者にとどまらず,障害児者も含めた様々な支援を必要としている人たちが,地域で暮らしていくための地域共生社会へと進化しつつあります。引き続き、医療的ケア児を持つご家族の方の声に真摯に向き合い、国政に訴えていきたいと思います。